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地球にダンジョンが出来て早30年、俺はいま魔法少女やってます。〜最強と呼ばれる魔法少女の正体は俺です。バイト時々魔法少女な二足のわらじ生活〜 - 第40話 熱い視線
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第40話 熱い視線

「ももやんパイセーン、オーダーお願いしまーす」


「了解」


 俺は30層から帰った翌日、こうして朝からバイトに汗を流している。

 箱根ダンジョン開放初日ほどの客の入りはないが、それでもまだまだ多い。

 バイト先である喫茶【イブニング・ルー】は、朝7時から開店とはいえ、ギルド自体は24時間営業で常に人が多いのも要因だろう。


 普段はお昼から入ることが多い大学生バイトの大貫おおぬきさんも、こうして朝から精を出している。



「ごめんね、桃谷くん。千里ちさとちゃんと一緒にゴミ出し行ってきてくれるかな」


「了解です。行こうか大貫さん」


「了解でーす」


 混雑も一段落といったところで、店長が台車に乗せた大量のゴミ袋を持ってきて、申し訳なさそうに頼んでくる。

 ギルドに入るまではゴミ出しなんて一日一回でお釣りが来たものだが、このゴミの量だけでも繁盛具合が分かるというものだ。

 そうして俺たちはギルド地下のゴミ捨て場まで移動するために、バックヤードから抜けた。


 千里ちゃんと言うのは大学生バイトの大貫さんのことで、店長と年が近いこともあり、2人が楽しそうに話しているのをよく見かける。

 見た目は完全に今時のギャルで、派手な金髪と淡々とした性格でありながらも、非常に綺麗な顔立ちをしていることから、ここを利用する探索者からの人気があるようだ。


 なんなら、小柄で可愛らしい店長と、身長が高めでクールビューティーな大貫さんのコンビを態々わざわざ見に来るくらいの人気だ。

 因みに、大貫さんは派手でありながらも、普段の日常生活からネイルや香水といった、飲食店に向かないことを一切しないのも人気の秘訣だろう。



 ――いや待ってくれ、別に俺はストーカーでも何でもない。何故普段の彼女を知っているかと問われれば、バイトメンバーで組んだグループレインの雑談で仕入れた情報だからだ。

 断じてストーカーでない。



「よいしょっと……」


「パイセン、次これですー」


「了解」


 到着したゴミ捨て場に、細かく分別されたゴミ袋を放り込んでいく。

 大貫さんから渡されたゴミ袋を俺が捨てていくリレー形式で捨てていくのだが、先ほどから俺の顔をじっと見つめてくる。

 ……もしかして、何かついているのだろうか。



「えっと、大貫さん? さっきからなんだか見られてる気がするんだけど、俺の顔に何かついてるかな?」


「……なんかももやんパイセンって変わりましたー?」


 最後のゴミ袋を捨て終え、台車が空になってもまだ見てくるものだから、流石に気になったので聞いてみたのだが……

 これまた抽象的というか、返事に困る答えが返ってきたな。


「う〜ん……変わったって、どんなふうに?」


「んー、私もよく分からないですけど……なんか変わったなーって。前のパイセンも良かったですけど、いまのパイセンのが良いですねー。すごく良いです」



 俺が首を捻っていると、大貫さんは顎の下に綺麗な指を当てながら、またしても抽象的に返してくる。

 だがその視線は真っ直ぐに俺を向いており、真剣そのものに見える。


 (なんだろうか、もしかしてステータスが上がって雰囲気でも変わったのかな?)



 ――いや、きっとそうだろう。ステータスが上がったことによって男らしさも上がってしまったのだろう。

 だとしたらこの熱視線も納得というものだ。


 これはもしかすると彼女いない歴年齢という不名誉な記録も、近いうちにストップしてしまうかもしれないな。

 俺はワイルドで不敵な笑みを見せながら、大貫さんに返事を返す。


「はは、そうかな? 確かに少し変わったかも……ね?」


 俺は精一杯な男らしさを引き出しながら大貫さんに返事を返すと、大貫さんもにっこりと笑いながら口を開く。


 

「いやー、最近のパイセンマジカワイイなーって。その笑みもめちゃ可愛いですよー」 



 ……どうやら違ったらしい。

 っていうかティアの影響だこれ!!


 俺が自意識過剰な勘違いに恥ずかしくなっていると、大貫さんが更なる追撃を放ってくる。


「最近てんちょーともよく話してるんですよねー。パイセンマジ可愛くなったよねーって」


「――そ、そこまで! 先輩をからかうのはそこまでだ! ほら、戻るよ」


 攻撃の手を――もとい、口撃の手を緩めない大貫さんに俺は耐えられなくなり、顔を赤くさせながら空になった台車を押しながら上に戻る。



 ……そんな恥ずかしいやり取りを挟みながらも、朝のバイトはこうして続いていく。



★✫★✫



 問題なく――かどうかは分からないが、無事にバイトも終わり、ギルドの外へ出ると眩しい光が差し込んでくる。

 時刻は正午だ、まだまだ太陽が高い。


 俺はスーパーに寄って、家を出る時に碧依から頼まれていた食材と、ついでに碧依の大好物であるプリンを購入して家に帰った。



「ただいまー」


 俺がマンションの玄関ドアを開けると、奥からパタパタと碧依が出迎えてくれる。

 

「お兄ちゃんおかえり〜。バイトお疲れさま〜! ってプリン!!」


 目ざとい妹は、俺の手に持つスーパーの袋から覗くプリンが目に入ったようで、飛びついてきた。


「ほら、頼まれてた食材と……ついでにプリンな」


「お兄ちゃんありがとう! じゃあ、あたしからも……はいこれ」

 

 俺はプリンを取り出して碧依に上げると、碧依からも代わりに紙を渡された。



 ……なんだこれ?


 俺は渡された紙をよく見ると、何やら書類のようでそこに書かれていた内容は……



「た……探索者資格合格通知書!?」


「えへへ、早ければ今日話せるかもって、昨日言ったでしょ? ということで、あたし探索者になります!」



 確かに、昨日そんな話をした覚えはあるが、これは流石に予想外だった。


 サプライズ成功と言わんばかりに、弾ける笑顔で胸を張る妹を前にしながら、俺は衝撃の報告でしばらく固まってしまうのだった。


大貫さん「パイセーン、今度一緒にTokTik撮りましょー」

天霧「あ、うん。……そのうちね?」


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