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旭光の新世紀〜日本皇国物語〜 - 太陽系クライシス
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旭光の新世紀〜日本皇国物語〜  作者: 僕突全卯
第4章 宇宙戦争篇
66/103

太陽系クライシス

短いですが投稿します

2199年7月18日 火星 第3の都市 セレーノ・アクア


 火星第3の都市セレーノ・アクアの沖合に、宇宙漂流連合女王府の本拠である宇宙艦「ミーナン」が停泊している。女王が地球を視察している今、この艦は地球視察団と母艦との連絡仲介役となっており、女王の無事を母艦へ伝える定期連絡を仲介していた。


『こちらチキュウ視察団、チキュウの災害・タイフウにより定期通信の遅れあり。女王陛下に大事なし、直ちに母艦へ伝えられたし』

「こちらマズナー、了解した」


 この日の定期連絡は台風の影響により5時間遅れで火星に到着していた。地球視察団の通信要員は速やかに母艦へ連絡するように指示する。


「こちらマズナー女王府、チキュウ視察団より入電あり。陛下の御身に異変なし。通信が届き次第返答を求む。終わり」


 火星から冥王星までは光速でも5時間はかかる。そのため、惑星間での通信はリアルタイムでの会話はできず、一方的なメッセージの送信に終始することとなる。

 故にこの時、地球視察団も火星に駐留していた女王府の役人たちも、母艦で起こっている事態を把握する術などなかった。そしてこの5時間の遅れが、地球人類の歴史上最大の危機を招くこととなった。


〜〜〜


同時刻 冥王星軌道 宇宙漂流連合 母艦 コロニー中心部


 女王府、そして王宮の前に位置する広場では、数多の市民が押しかけていた。行政部から告げられた女王の訃報、ショックのあまり泣き崩れる者、ただ呆然とする者、そして行政部の声明に同調して地球への報復を訴える者、様々な者たちがいる。

 その様子は中心街周辺を巡回している監視ドローンに捉えられ、リアルタイムの映像として、行政部の「大会議室」へと届けられていた。


 大会議室では12人の男女が円卓を囲っている。議長席に座る「カリアン」首相、ガンヴォ・レ・マンシを筆頭に、ライナ、ジンビー、テンコー、サイマ、リュージャン、カーヤ、ダイマース、リンドー、ゲンターク、アンドラード・・・盟主キリエの傘下に集う11種族の代表者が集まっている。

 尚、キリエの代表としては、「顧問兼監査役」として女王府から行政部に派遣されている女性、ルシェーラ・ケルト・ファイアーズが参加していた。


「・・・では、会議を始めようか」


 議長を務めるガンヴォが口を開いた。続け様に、鳥類から進化した種族「サイマ」の種族主席であるゴーバ・レンアリが口を開く。


「・・・表立ったパニックはありませんが、民衆は陛下の死を聞かされ、動揺と悲観に満ちています」


 ゴーバは空中に投影された映像を指し示しながら、市民の様子について説明する。


「チキュウへの宣戦布告・・・理由が理由故、反対する道理はありませんが、せめて我々にもお伝えして頂きたくありましたな」

「左様。表向きとはいえ、我々11種族はあくまでも対等・・・」


 機械化された人類である「ジンビー」、そしてヒューマノイド型の種族である「テンコー」の代表者たちは、独断で地球との本格的な開戦を決めた「カリアン」、そしてガンヴォに苦言を呈した。


「・・・女王陛下を含め、キリエの重役たちはマズナーおよびチキュウへと移り、この母艦においては、言わば『女王府』は空位の状態。道を違えれば全てが混沌に陥りかねないこの事態においては、まず真っ先に目的を定めることが重要と考えた次第なのです」

「それが・・・チキュウへの復讐という訳ですか」

「その通り。ご理解頂きたい」


 ガンヴォは独断で地球との開戦に踏み切ったことへの弁明をした。


「・・・しかし、チキュウ人も愚かなことをしたものだ。科学力では圧倒的に勝る我々が本気を出せばどうなるのか、考えが及ばない訳でもあるまいに」

「マズナーの女王府からの続報は無いのですか?」


 爬虫類系の種族である「リュージャン」代表者の発言に続き、女王への忠義が厚い「ライナ」の総裁は続報があるかどうかをガンヴォに尋ねた。


「・・・いいえ、マズナーからの通信も途絶えています。恐らくは陛下の暗殺と同時にチキュウ軍による襲撃を受けたものかと」

「あの『ミーナン』が、チキュウ人に沈められたと・・・?」


 「ライナ」の総裁を務めるレイ・ラーマル・ウェンパーは、ガンヴォの見解に疑問を抱く。女王の座乗艦として火星に上陸した「ミーナン」は、戦闘用の宇宙船ではないにせよ、地球には無いバリアの構築機能と最低限の武装は有しており、地球側の武装では攻撃は不可能である筈だったからだ。


「・・・まあ、我々もチキュウが有する力の全てを把握している訳ではありません。今回の女王陛下暗殺がチキュウ側もある程度の勝算があっての行動だとしたら、ミーナンに何らかの被害があってもおかしいことはないかと思われます」


 ガンヴォは毅然とした物言いで答える。彼の派閥に属する幾人かの代表者たちは“成る程”、“確かにその通り”と頷いていた。


「・・・ルシェーラ殿はどうお考えでしょうか?」


 「ライナ」総裁のレイは、この場で唯一のキリエ人であるルシェーラに話を振る。ルシェーラは目を見開き、言葉に詰まりながら口を開く。


「あ・・・えっと、女王陛下の訃報は我々キリエにとって前代未聞の事態。チキュウは最早憎むべき仇敵、彼の星の人類に対して苛烈な厳罰を望みます・・・!」

「・・・」


 ルシェーラはハッキリとした言葉で、チキュウへの報復を支持する発言をした。しかし、彼女が右腕につけている端末の画面には、先ほど彼女が口にした言葉が、そっくりそのまま文章として表示されていた。それは行政部に属するカリアン人の官僚が用意したものであった。

 女王府との音信不通によって、キリエは組織として機能不全に至っていた。ルシェーラが担っている「行政部顧問」という役職も、言わば実態のない名誉職であり、今のキリエに矢面に立って連合をまとめられる人物などいなかったのである。


 「キリエ」はかつて、地球より遥かに進んだ科学力を有していた。そして飢えや病からも解放された彼らの祖先は次第に無気力になり、自ら暮らす惑星の環境にすら無関心となるほどに堕落していった。さらに不老不死への探究のため、自らにあらゆる遺伝子改造を施し、結果として長命と華麗な容姿を手に入れたが、種族としての生殖能力は衰退してしまう。だが、永遠に近い時間を生き続ける術を手に入れた彼らにとっては、それすらもどうでも良いことであった。


 そして、自らの享楽のために母なる星を滅ぼした彼らは、AIとアンドロイドに巨大宇宙船を建造させ、新しい母なる星を探す長い放浪の旅に出た。途中で他の11種族と傘下として組み入れつつ、理想の惑星を求めて1300年を超える旅を続けてきた。


 だがキリエは、その旅路の中で無気力な気質を変化させることはできなかった。母艦の運営も他種族へ任せきりとなり、極一部の上層階級を除いて、ほとんどのキリエ人は自ら困難を打開するという思考を得ないまま、この長い年月を過ごしてしまったのである。

 ガンヴォらはその歪みを的確に利用し、母艦の実権を掌握することに成功したのだった。


「では・・・チキュウへの報復攻撃について採択を取りましょう」


 ガンヴォは答えが決まった多数決を取る。結果は圧倒的な賛成多数、そして1人の棄権により採択された。

 そしてその直後、行政部から宇宙漂流連合軍へ正式に出撃命令が下されたのである。地球人類、ならびに太陽系最大の危機が幕を開けたのだ。




宇宙漂流連合 母艦 格納デッキ


 宇宙漂流連合母艦の右舷後方、そこには連合軍の所属艦艇が離発着する格納デッキがあり、内部には無数の戦闘宇宙艦が格納されていた。


『行政部から連合軍司令部へ、右舷のゲートを全て開放し、第1艦隊から第3艦隊を出撃させよ! 繰り返す・・・右舷のゲートを全て開放し・・・』


 鳴り響く警報と共に、格納デッキと宇宙空間を隔てるゲートが開かれていく。カリアン人の作業員が見守る中、数多の戦闘艦が出撃準備を整えていた。

 そして固定具が外された艦艇が1隻、また1隻と浮かび上がり、艦首をゲートへ向けて発進していく。


『各艦隊は直ちに出撃せよ! 繰り返す、直ちに出撃せよ!』


 連合軍は5つの艦隊から構成されている。火星占領のために出撃した「第4艦隊」に加え、さらに第1から第3までの3個艦隊が太陽系各地に向けて続々と出撃していく。

 そのほとんどが無人艦であり、実際に人が乗艦しているのはその中の数%に過ぎない。各無人艦は有人艦である「旗艦」の指揮下にあり、さらに航空母艦内には数多の無人戦闘機が格納されている。銀河最高の科学力を誇ったキリエの刃が、ついに地球へ牙を剥く。




宇宙漂流連合 母艦 コロニー中心部 行政部 大会議室


 全長1200kmの巨大宇宙艦から、無数の宇宙戦闘艦が出撃していく。その様子は映像となって、行政部の大会議室へと届けられていた。

 それだけではなく、コロニー内の街頭ディスプレイにもその映像が映し出されている。行政部の代表者たち、そして連合の住民たちは憎き仇敵に怒りの鉄槌を下そうと出撃していくそれらを見て、得も言われぬ高揚感を抱いていた。


「第1艦隊は金星(ヴェナスト)へ、第2艦隊は木星(ズープ)へ、そして第3艦隊は土星(サターナス)へ・・・。同時多発的にチキュウ人の重要拠点を制圧します。彼我戦力差は絶大、チキュウ人は為す術もなく滅び去ることでしょう・・・」


 カリアン首相のガンヴォはその荘厳な有様を見てほくそ笑む。先祖代々の望み、新たなる故郷を手中に収めるための第1歩が始まったのだ。

 そしてガンヴォにとっての不安要素を払拭するため、彼が別に用意した「別働隊」も秘密裏に出撃していた。それは第4艦隊が占領中の「火星」に向けて進路を取る。

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