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旭光の新世紀〜日本皇国物語〜 - 最後の戦い
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旭光の新世紀〜日本皇国物語〜  作者: 僕突全卯
第4章 宇宙戦争篇
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最後の戦い

宇宙漂流連合 母艦


 ついに扶桑は宇宙漂流連合の母艦へ突入する。隔壁を体当たりで砕きながら、進める限り奥へと進んでいく。艦内には強い振動が加わり、それは女王が待機している士官滞在区画にも届く。


「・・・陛下!」


 侍女のクーラは咄嗟に女王の身を庇う。女王のライザは不安な顔で艦が止まるのを待っていた。彼女の部屋の外には近衛兵たちが控えており、不測の事態に備えている。

 他の部屋では、庭月野をはじめとする日本政府の役人たちが集まり、敵の本陣に突入するその瞬間を待っていた。


「・・・止まった?」


 身を屈めていたライザはそう呟きながら、天井を見上げる。振動はいつの間にか収まっており、扶桑が止まったことを理解した。




扶桑 第1艦橋


 ボロボロになった扶桑は、宇宙漂流連合母艦の内部にある開けた区画に停止していた。レーダー員と通信員が周囲の様子を探る。


「周囲に敵影なし」

「艦外は与圧されており、酸素濃度問題ありません」


 ここは円盤の外側にある、宇宙戦闘艦の格納庫区画である。ここに格納されていた「第2艦隊」は現在地球へ遠征中のため、もぬけの殻になっていた。

 戸惑う幹部たちに対して、女王府総裁のロトリーは声を張り上げて忠告する。


「ここは軍艦の収納区画、そしてこの奥に、連合臣民の居住区画である『都市コロニー』があります! また連合軍にはあなた方が言う“白兵戦”という、人対人戦闘の概念はありません!」

「・・・なるほど」


 艦長の芝蔵大佐はロトリーの忠告を受けると、艦の中で待機していた白兵戦要員たち、そして戦闘機パイロットたちに指示を出す。


「攻撃隊出撃! 艦底部ウェルドックと艦載機格納庫を開放せよ!」




扶桑 第3ウェルドック


 扶桑艦底の第3ウェルドックには、宇宙空間でも活動できる小型艇が並んでいる。その内部には皇国陸軍、民間志願兵、並びに亜人種や魔術師からなる実戦部隊が控えている。


『艦底部ウェルドック開放! 輸送艇出撃!』


 ウェルドック内部にアナウンスが響き渡り、外部空間との隔たりとなっていた巨大なゲートがゆっくりと開き始める。輸送艇のエンジンが駆動し、1隻、また1隻と地球の「人の力」を乗せたそれらは次々と出撃して行った。


『諸君らの任務は連合軍の排除とクーデター政権首謀者の排除である! 皇国の興廃この一戦にあり、各員一層奮励努力せよ!』


 芝蔵大佐はこれ以上のない激励の言葉を無線で送る。扶桑の第1艦橋には、いつの間にか「Z旗」が掲げられていた。

 別のゲートからは艦載機の群れが飛び立っている。それらは輸送艇を取り囲むような陣形を取った。


 軍艦格納庫から都市エリアに続くトンネルへ侵入した攻撃隊は、一路円盤の中心へと向かう。その先頭を走るのは、艦上偵察哨戒機「レコンファントム」である。この機体も扶桑と共に発見された発掘兵器の1つだ。

 その後方を艦上戦闘攻撃機「ゼロファイター」、合計10機が走る。そのパイロットには当然ながら飛行隊の隊長を務める東郷の姿があった。これら戦闘機に囲まれる形で、3隻の汎用輸送艇「S300」が飛行している。




宇宙漂流連合 行政部 執務室


 現在の「宇宙漂流連合」は、君主不在の城郭と化した「女王府」に代わり、女王府直下の行政機関である「行政部」、ひいてはその行政部を掌握した「カリアン人」の首相、ガンヴォ・レ・マンシの独裁政権下にある状態であった。

 当然ながら扶桑襲撃の一報は、その首相であるガンヴォのいる執務室にも届けられている。


「チキュウの戦艦は第2艦隊の格納区画に突入しました。さらに、同艦から輸送艇および戦闘機と思われる機体が多数発進、一路、この都市区画へ向かっています!」

「・・・な、何だと!?」


 カリアン人の役人が、ガンヴォへ現状報告を行っていた。地球の軍勢が母艦に到達し、あまつさえ敵は自分たちの本拠地へ迫ろうとしている。ガンヴォは恐怖に駆られて焦燥しきっていた。


「・・・クソ! 第5艦隊の力を以て! あんな原始人共のボロ船1隻、なぜ葬れない!? お前ら、フザけているのかぁ!!?」


 宇宙漂流連合の歴史において、敵勢力に母艦へ侵入されたことなど史上初のことである。ガンヴォは恥も外聞も無く、怒号を飛ばしていた。


「それが、第5艦隊の照準装置が突如詳細不明な誤作動を起こしまして・・・」


 カリアン人の役人が弁明を口にする。それはイツキの力が引き起こしたものであったが、魔法というものを知らない連合の民が、その原因を知る由もなかった。


「バカ者!」


 ガンヴォは感情のまま、部下を叱責する。宇宙漂流連合の艦内には、内部で発生した暴徒鎮圧のためのシステムは存在するものの、艦内まで外敵が侵入したことを想定とした防御体制は存在しない。ゆえに艦の内部にまで侵入してきた地球人に対して、彼らは全くの無力であった。


「・・・どう、されますか?」


 カリアン人の役人は藁にもすがる思いで指示を仰ぐ。だがガンヴォは椅子に座り込み、頭を抱えるばかりであった。


「・・・保安局を向かわせろ、奴らを何としても排除するんだ!」


 ガンヴォはようやく絞り出した様な声で指示を出す。




宇宙漂流連合 都市エリア


 円盤の中心部へ向かう扶桑の攻撃隊は、何者にも阻まれることなく、連合臣民が暮らす「都市エリア」へ到達する。その巨大な空間には、22世紀の東京も凌駕する未来的な「大都会」が広がっていた。


「う、宇宙船の中にこんな大都市が・・・!?」


 攻撃機を率いる東郷中尉は、眼前に広がる光景に度肝を抜かれる。地球上でも類を見ない「130億人都市」、そのあまりにも圧倒的な光景はこの場に到達した地球人たちの言葉を奪った。


『・・・レーダーに感あり!』


 艦上早期警戒機「インビジブルトレーサー」のレドームが、周囲より近づく敵影を察知する。母艦内部の治安維持を司る「保安局」の警備艇が、侵入者を排除するために出動していた。

 都市は幾重にも重なる“層”によって構成されており、12種族からなる臣民たちは都市の“下層”に向かって避難していた。


「攻撃開始! 敵航空兵器を排除する!」

「・・・了解(Copy)!」


 東郷中尉の命令を受けて、10機の艦上戦闘攻撃機「ゼロファイター」は攻撃を開始する。それらは無人の警備艇に向かってレーザー機銃を発射した。警備艇は治安維持のための兵装であり、また反乱に使用されることを防止するためバリアが備わっておらず、22世紀の戦闘機が有するレーザーとは比較ならない高出力エネルギーを有するそれらは、保安局の警備艇を難なく撃墜した。


 都市エリアは瞬く間に制空権を奪われる。直後、1隻の輸送艇の側面扉が開かれ、その中から複数人の男女が飛び降りた。


「そろそろ頃合いだね」

「地球にしかない『力』を見せてあげよう」

「地球人類80億の恨みを込めて・・・」

「『百鬼夜行』をしてあげる・・・!」


 その直後、飛び降りた人影が巨大な「蒼い龍」へと姿を変える。さらには3人の男女が背中から巨大な蝙蝠の様な翼を生やし、周囲一帯に響き渡るほどの奇怪な笑い声をあげていた。


「・・・見ぃつけた! 異星人の血の味はどうかしら!?」


 吸血鬼族の女性である月神桃真は、屋外に複数の人影を見つける。すると本能が赴くまま、その方向へ飛びかかって行った。


「・・・姉さん!」

「・・・放っておきなさい」


 弟である葵は咄嗟に呼び止めるが、娘の性を知る母親のプランヴィー=ツェペーシュ(和名:夜水雫)は、ハナから放任することを決め込んでいる様だ。

 桃真が飛んで行った先には、複数人の保安局員が潜んでいた。皆、青い肌をしており、彼らがカリアン人であることを示している。


「うわああぁ!」


 彼らは携行していたテーザー銃を放つ。同時に、横並びになっていた3台の機動車から催涙弾が発射された。だがそれらは桃真が展開する“魔法防壁”に阻まれ、本体にダメージが通らない。そして桃真は容赦なく、異星人の首に牙を突き立てた。


「アハハハハ!!」


 狂喜的な笑い声が響き渡る。連合の人々は初めて目にする「地球人」を目の当たりにして、恐怖に震え上がる。

 だが、連合側も防戦一方に甘んじるわけにはいかない。制空権を奪回するため、どこからともなく再び多数の「警備艇」が飛来してきた。巨大な龍に変化していた龍二は、それらを目標として見定めると口の中に膨大な魔力を溜め込む。


(・・・『蒼龍波』!)


 荘厳な蒼い炎が放たれ、警備艇に命中する。バリアという盾を持たないそれらは、容赦なく撃墜されていった。




宇宙漂流連合 中央広場


 都市エリアに侵入した攻撃隊は程なくして、都市の中心部に到達する。そこには広大な広場があり、周囲には連合政府の中枢が設置されている建物が点在していた。

 白兵戦要員を乗せた3隻の輸送艇が広場に着陸する。後方扉が開き、その中からは屈強な皇国陸軍兵士と亜人種の民間志願兵が降りてきた。


「我々の任務は連合中枢部の制圧と反乱の首魁、ガンヴォ・レ・マンシの確保である! 各員の端末にはロトリー氏より提供されたマップと対象の顔写真が送付されている。適宜活用せよ」

「了解!」


 パワードスーツに身を包んだ生身の兵士が自動小銃を抱えて続々と飛び出していく。人員数としては4個小隊規模の彼らは、いくつかのグループに散開してそれぞれの目標地点に向かって行った。


「・・・!」


 当然ながら、中枢まで攻め込まれた連合側も無抵抗ではない。警備用のアンドロイドが群れとなって押し寄せてきた。陸軍兵士たちが銃を構えるが、彼らの一歩前に1人の女性が歩み出て、兵士たちを静止する。


「ここは任せなさい」


 女性はそういうと、片膝をついて右手を地面に付ける。その直後、彼女の右手から放たれた稲妻がアンドロイドの群れに向かって走った。


「・・・『ミダスの右手マノ・デレーラ・デ・ミダース』!」


 触れた無生物を黄金に変質させる力を持つ「ミダス族」、その子孫である小羽ハルナは中央広場の地面を瞬く間に黄金の床に変えていった。

 さらに黄金は流動体の様に動き出し、迫り来るアンドロイドの群れを沼の様に沈め、取り込んでしまった。直後、流動体となっていた黄金は本来の硬度を取り戻し、警備用アンドロイドを一瞬のうちに無力化してしまう。


「・・・凄まじい!」

「これが亜人種の力か・・・!」


 皇国陸軍の兵士たちはその圧倒的な力を目の当たりにして息を呑んだ。同時に、彼女たちが味方であることの頼もしさを感じていた。


「自分たちで戦う術を持たない連中など恐れるな! 目標は目の前だ!」

「・・・おう!!」


 皇国陸軍を率いる斎賀丈道中尉は、まるで戦国武将の様な口上で部下たちを鼓舞する。士気を挙げた兵士たちも、雄叫びを上げながら敵の本陣に向かっていく。


・・・


第2艦隊艦艇格納庫内部 扶桑 第3ウェルドック


 その頃、連合第2艦隊艦艇格納庫の内部に座礁していた「扶桑」では、第3ウェルドック内部に汎用輸送艇「S300」の残り1隻が待機していた。その内部には女王ライザと女王府総裁のロトリーの他、近衛兵や役人たち、そして庭月野をはじめとして日本政府から派遣された役人たちが待機している。


「・・・先ほど、我が軍の攻撃隊が中央広場に到達したとの連絡がありました。地上での戦闘が始まった頃でしょうか」


 庭月野が先遣隊の動向について女王らに伝える。


 「中央広場」は、時に女王の公式参賀の会場ともなる場所であり、正面に「女王府」の建物と王族が暮らす「宮殿」が構え、広場の両脇に「行政部」と「連合最高裁判所」の庁舎、および「連合議会」の議事堂が軒を連ねている。

 都市エリアの治安維持は行政部直下の組織である「保安局」の管轄であり、また女王近辺の警護は「近衛師団」が担当している。そして円盤内部の治安維持機関最大の特徴は、連合の科学力の象徴である「電磁バリア」を持たないことだ。


「・・・保安局および近衛師団を含め、都市エリアでは原則として『電磁バリア』は無効化されるシステムになっています。内部でクーデターや反乱が起きた場合、反乱勢力にそれを奪われて武器とされたり、また立てこもりなどに利用されたりしないようにするためです」


 ロトリーは保安局の兵装がバリアを持たない理由について語る。連合の機密とも言うべきそれを地球人へ語る理由、それはある懸念によるものだった。


「・・・ですが1箇所、1箇所のみ都市エリア内部でバリアを構築できる場所が存在します。反乱の首魁共がもしそれを知っていたら、少々厄介な事態になるかもしれません」

「・・・」


 ロトリーはクーデターを起こした者たちが、その場所に立て篭もる可能性を危惧していた。


・・・


宇宙漂流連合 中央広場 行政部


 堅牢なバリアに守られていた筈の母艦は、敵の侵入に対しては全くの無力であった。ガンヴォは幾人かの腹心の部下と保安局員を引き連れ、すでに根城であるはずの執務室を抜け出し、行政部の下層にたどり着いていた。


「クソッ! クソッ! 役立たずの連合軍が! 原始人共に母艦への侵入を許すとは!」


 ガンヴォは部下たちに連れられながら、連合軍と地球人への罵倒を口にする。だが、彼らにはまだ最後の切り札があった。


「・・・いい気になっているのも今の内だ! 奴らに私は捕らえられん!」


 ガンヴォたちが向かっている先、そこは女王府庁舎に隣接する「宮殿」であった。王族の居城であり、限られた者以外は絶対不可侵の領域であるそこに、彼らは向かっていたのである。

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― 新着の感想 ―
目標が穴倉にこもっているだけなら、女王が「私は帰ってきた。即時交戦を終了せよ。」とやったら終わりですね。
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