第三十六話 六日目 報告後半。
二話目です
「もう一回説明してくれるかな」
「どうしてです? 報告は以上ですけど」
「良いから説明しなさい」
シスターは自分の額を押さえている。
頭痛をこらえているみたいだ。
「何で宮グルス王宮に居ない筈のクリスの兄の豚王子……間違えた、アガスの王子が黒幕というわけを」
「何度も言うのはメンドイんだけど」
「なあに~~?」
「いえ報告します」
僕は反射的にそう答える。
視線はシスターから逸らしてです。
ちびり掛けたのは内緒だよ。
視界の先は格子付きの窓がある。
格子付きのガラス窓は中の人を逃さないようする為の物では無い。
寧ろ中の人を守る為だ。
なにしろこの世界はジョブがあるから並みの窓では侵入される。
だから格子があるのだ。
窓から見える外はグルス王宮しか見えない。
あ~~良い天気だな。
「カイル何処を見てるの?」
サラの声が怖い。
さて……現実逃避は止めようか。(冷汗)
「シスター的には保護者として気になるんだけど」
話しかけられたので僕は視界を戻した。
自分の側頭部を指で解すシスター。
あ――可愛いな。
その仕草。
「駄目駄目シスターはどうせ聞いても分からないけど一応もう一度お願いなの」
「サラちゃん酷っ!」
サラは自然にシスターをディスる。
シスター涙目で拳を握りながら抗議した。
僕はそれを聞き流しながら焼き菓子を食べる。
紅茶が旨いですね。
「もう一度ですか?」
そんな何時もの光景に首を捻る僕。
説明不足だったかな?
仕方ない。
なのでもう少し詳しく話すことにした。
「もう少し詳しく言います」
僕は紅茶を机の上に置く。
「うん。とりあえず保護者としてはシスター的に聞きたいかな」
顔を引きつらせてるシスター。
シスターは頭を掻きながら質問する。
でもその目は怒りを押さえ込んでいる様に見える。
はて?
何で怒ってんだろう……。
まあ簡単に言いすぎたからかな。
それとも分かりにくかった?
でもなんでだろう?
他の全員は頭を抱え込んでるんだが……。
「話は魔術で状態異常になっていたキキとキルを治療した後の事です」
「うんなの」
僕の言葉に頷くサラ。
「僕は彼女達から豚王子が王宮に潜伏してる事を聞きました」
「豚王子では無くクリスの兄なのだけどね~~まあ~~良く憶えていたよねキキとキルの二人は。普通は魔術の影響で操られていた時の記憶は無いのがセオリーなの」
僕の言葉に自分の知ってる知識を参照するサラ。
「腐……普通はね」
「違うんですか? サキ様」
サキ姉さんの言葉に質問するクレナイ。
「人形使いのジョブの場合は術を破られた場合だけど新たに命令を掛けやすくする為に記憶を残すようにしてるの」
「ふ~~ん」
サキ姉さんの言葉に納得するクレナイ。
「サキ姉さんの言う通りです」
「腐……それで?」
サキ姉さんは口を突き出すように続きを促す。
「ですから時間を置けば第二の襲撃を受ける事は分かってました」
「まあ~~そうですよね」
ルージュは僕の言葉に頷く。
「なので此方から急遽襲撃する事にしました」
「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」
僕の言葉に殆どの人がまた頭を抱えた。
だから何で頭を抱えるんですか?
「作戦の第一段階は召喚魔術で黒幕の豚王子の現在位置を確認」
「うん」
シンクが頷く。
「作戦の第二段階で三人には騒ぎを起こしてもらい注意を引き付けてもらいました」
「それは分かります御主人様」
エンは何か疲れたようにグッタリしてます。
「そんで隙を見て僕が裏から潜入し豚王子を無力化したんですよ」
「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」
再び沈黙。
分かりやすいと思うんだが……。
「信じられないの~~警備の人は二倍にしてたのに」
「なのなの」
ふと思いついてキキとキルを見てみる。
何故か部屋の隅で体育座りをしてキキとキルは、どよ~んと沈んでいた。
く……暗い。
キキとキルの目は虚空を見つめている。
そのままブツブツ言っている。
なんか……背中が煤けてるなあ……。
キキの服装ですか?
薄い青のワンピースを着てもらっていてます。
元々着ていた服だそうです。
まあ……あの下着のままではねえ~~。
眼福だが周りの視線が僕に刺さったし。
因みに一緒に襲撃してきた五人とキキが何故下着姿だったのか?
後で聞いたら六人とも服を着替えてる時に豚王子が仕込んでいた術が起動したらしい。
……はた迷惑な豚王子。
話は逸れた。
それはそうと王宮の警備は確かに厳重だった。
普通なら潜入出来ないレベルでした。
普通なら。
けど僕にとってはザルでしたね。
せめて四種類以上の感知系スキルを持ってる大公クラスのレベルの持ち主が五人。
それが僕の潜入を防ぐ為に必要な最低限の条件です。
でないと意味が無い。
まあそれでも出し抜く方法はあるけど。
全てが終わり黒幕を捕まえた僕。
とりあえず今まで起きた事を報告することにしました。
ココロ村から孤児院のメンバーを呼び寄せる僕。
あ……。
後はココロ村の代表としてセリスとマリさんも呼びました。
クリスはどうしたかって?
「うあがあああああああがあな舌を入れやがって」
……部屋の隅で悶えてます。
先ほど僕が御褒美にした接吻を思い出して此れです。
いいじゃん。
ちゃんと約束したんだから。
じゅるり。(思い出して堪能)
ご馳走様でした。
はっはっはっ。(笑い)
因みに通信用のマジックアイテムを通してこの会話を聞いている人の感情なんぞ知りませんよ。
ええ。
多分ですが娘の様子に血涙流してるだろうけど。
知りません。
本当に。
将来の僕の嫁なんだから当たり前です。
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