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冷たい仮面を被り、悪役令嬢と呼ばれた私が国王陛下になぜか気に入られました - 43 謁見の間にて
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43 謁見の間にて

天井の高い謁見の間には、夕刻の光がステンドグラスを通して差し込み、床に淡い光の模様を描いていた。

 重々しい空気の中、陛下は王座に腰掛け、沈黙のまま訪問者を待っていた。


「クラリス・フォン・ローゼンベルク侯爵令嬢、贋作師をお連れしました」


 侍従が伝えた。


 一礼をしてから、進み出る。その後ろには静かに頭を垂れる初老の男……贋作師。陛下の顔を見ると僅かに驚いているようだった。


「アデル・グレンダ? お前か」

「これは陛下……こんな形で再びお目にかかるとは」


 知り合いだったのか……城に足を踏み入れるのは久しぶりだと言っていたけれど、まさか陛下が名前を知っているとは思わなかった。


「陛下、この者が黎明の瞳の贋作を作った職人でございます」

「クラリス嬢、君がそう断言できるのは確かな証拠を得たということか?」

「はい。彼は女官長マルグリート様の密命により、王家の贋作を制作したと自ら証言いたしました」


 贋作師、アデルは頭を深く下げ、深いため息を吐いた。


「私はかつて王家に忠義を尽くした細工師でした。だが十数年前、ある装飾品の修復に失敗し、王宮を追われた。それ以来半ば隠遁生活のように暮らしていたのです」

「覚えている。あのとき、父は君に失望した。しかし私はあの作品を気に入っていた」

「陛下……」


 なるほど……名前までは載っていなかったけれど、装飾の修復を行なった細工師がいた。と書類に書かれてあった。行方不明となっていたからもっと早く年齢が上で、もうお亡くなりになられたかと思っていた。もっと深く調べればよかった……まだまだ足りないわね。


「陛下。女官長は王家の秘宝に執着していたようです。黎明の瞳が相応しいのは自分である。と考えていたようです」

「マルグリート嬢ちゃんは言いました。本物は一時的に預けるだけだ。あの栄光の場に相応しいのは自分だと。だが……王家の紋章を模した宝石など作ってはいけなかった」


 陛下は静かに聞いていた。そして……


「それでも、作った」


 ごくりと唾を飲み込み贋作師アデルは答えた。


「職人とは命じられたら作るもの。だがその命令がかつて自分の腕を信頼してくれた王家っを裏切るものだった時には、もう遅かった」


 一瞬、場が沈黙する。


 ステンドグラスの影が床を滑る、その中で陛下は贋作師アデルをまっすぐ見据えた。



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