Deprecated: The each() function is deprecated. This message will be suppressed on further calls in /home/zhenxiangba/zhenxiangba.com/public_html/phproxy-improved-master/index.php on line 456
冷たい仮面を被り、悪役令嬢と呼ばれた私が国王陛下になぜか気に入られました - 55 エミリア
[go: Go Back, main page]

表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/69

55 エミリア

どうして、あの人のこと悪い人だと思っていたのだろう。

 あの人は人に悪く言われても、それを気にせず背筋が伸びていたから? 目を逸らさず、言葉を濁さず、誰にも媚びることなく立っていたから?


 ……もしかしたら、私はずっと、クラリス様のようになりたかったのかもしれない。


 私は“聖女”と呼ばれてきた。でも、その名前にふさわしい人間だっただろうか。人の心を癒す存在──そう言われながら、私はいつも誰かの顔色ばかりをうかがっていた。

 そして一方の話しか聞かず、それを信じた。自分の目で見たわけでもないのに……


 リサは、私の誇りだった。

 私にとって、手の届かない強さを持ち愛を貫き幸せを掴む象徴だった。

 ……だけど、その“強さ”は、いつの間にか、誰かを踏みつけ、傷つけるものに変わっていた。


 クラリス様に聞かされたとき、胸が痛んだ。

 あの人の声は冷たくて、でも、どこまでもまっすぐだった。冷たい声。でもリサのことも、マルグリート様も、責めてはいなかった。


 責めるのではなく──ただ、事実を受け止めていた。あの人は、怒りに流されず、悲しみに縛られず、一人立っていた。


 私はまだ、その域には届かない。


 だけど──少しだけ、あの人に近づきたいと思った。自分の言葉で、人と向き合えるようになりたい。誰かの陰に隠れず、顔色をうかがうわけでなく、自分を信じられるようになりたい。


 クラリス様が言ってくれた。「自分だけは裏切らないで」と。その言葉が、胸に残る。


 私はもう、誰かに縛られたままではいられない。これからは、私の正しさを探していく。


 リサとも、また向き合う日が来るのだろうか。

 クラリス様とも、もっと話せる日が来るだろうか。


 その時、私は――

 迷わず、笑っていられる自分でいたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ