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Haphazard Fantasy ~エイルの不思議な冒険~ - 脱出
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Haphazard Fantasy ~エイルの不思議な冒険~  作者: 加藤大樹
第三章

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脱出

「よっと……」

 薄暗い森の中で、獲物を待ち構えて大きな口を開けている大穴から、ぴょこんと手が飛び出した。

 エイル・ノルデンのものだ。

 少年は、地下で二度の死闘を経て、ようやく家に帰ろうとしているところだった。


 エイルは今、梯子をのぼっている。あと少しで地上に出る、というところで、腕の力が限界に近づいていた。


「ほら」


 つかむものを探して彷徨っているエイルの手を、もうひとりの少年がしっかりとつかんだ。ヴェルダン・スタール。エイルの親友だ。

 磁石のN極とS極がくっつくよりも固く結ばれたふたりの手は、少年が地上に出るまで、決して離れることはなかった。


「ありがとう、ヴェルダン」

「いいさ」


 エイルが、地上に引き上げてくれた親友に、お礼を言った。

 ふたりは服についた土汚れを払うと、元居た大穴の底に視線を移した。


 大冒険だったな、とヴェルダンがつぶやいた。

 エイルはその言葉にうなずいた。

 すっかり遅くなっちゃったね、とエイルは空を仰いで言った。


 夜空に星々が輝いている。

 ここまでの血と涙に溢れた戦いなど知ったことではない、と済ました顔で煌めく星々は、見る者の心を落ち着かせる。


「……ねえ、ヴェルダン」

「どうした?」

「あのさ……」

 エイルは言葉に詰まった。次に自分が言うことを聞いてしまったら、彼は自分の元から離れてしまうのではないか、と少年は恐れた。


「……僕は、あのとき、ヴェルダンがどこかに消えてしまったとき、本当に見捨てられたと思ってしまったんだ」

「……あー……」


 ヴェルダンは居心地が悪そうに、頭を掻いた。


「まあ、そう思われているだろうなって、わかっていたよ」

「僕は……本当に馬鹿だ。ごめん。ヴェルダン。ごめんよ」


 何度もごめん、ごめんと謝るエイルの唇に指を添えると、ヴェルダンは片目をつむって言った。

「大丈夫。俺がお前を見捨てることなんて、天地がひっくり返ったとしても、ありえない。だから、気にするな」

「ヴェルダン……!」

 ヴェルダンの言葉に胸を打たれたエイルは、自然と目が潤んで、涙を零した。


「ほーら、泣くなよ。泣き虫エイル」

 苦笑したヴェルダンが、エイルの涙を指でぬぐった。


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― 新着の感想 ―
エイルとヴェルダンの信頼関係がとても深く見えるのじゃ。それはきっとこの先も続いてくれるじゃろうな!ここからどんな冒険が待っているのか楽しみじゃ!
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