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黒鉄の冒険者~双剣による勘違い無双譚~ - ゼシルの現実
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ゼシルの現実

32話と33話の内容が被っておりました。

大変申し訳ありません。

32話の内容を本来のものに差し替えたので、お手数ですがそちらを読んでいただけると嬉しいです。

「負傷者十二名……状況は芳しくない」


 これが魔道具製造工場を攻めている討伐隊の状況だ。

 工場があるというテラーズ山脈の中腹にて、僕達は待機していた。

 討伐隊は第四魔術師団で総勢四十七名、そこに僕を加えて四十八名だ。


 第四魔術師団は攻城戦に長けた部隊で、これまではぐれ魔術師が籠城した砦をいくつも落としている。

 確かな実績と実力がある部隊だけに、僕も大船に乗ったつもりでいたんだ。

 ところが討伐戦三日目でこの惨状に陥っている。


 冷える夜の闇の中で、僕達は拠点のテント内にて現実を噛み締めていた。

 第四魔術師団の団長を務めるゲーリオンさんだけが精悍な顔つきをしている。

 この人は父上とも親交がある優秀な魔術師だ。

 シルフェント家の屋敷にも何度か招待されて、僕もかわいがられた。


「が、しかし! 諸君にはこれを打開する力がある! 敵戦力は少々意外であったが、真の脅威はあの魔道機! あれこそが敵戦力の中核をなしている!」

「ゲーリオンさん……いえ、団長! それでも僕の魔法で押していた! 僕さえいればあんなガラクタ、物の数じゃない!」

「ゼシル、魔力をほとんど使い果たしているだろう。明日から後方支援に入ってもらう」

「なっ! それはあんまりだ!」


 ゲーリオンさんが僕に信じられない言葉をぶつけた。

 この僕が未熟だと?

 ではこの魔術師団から出ている死傷者はどうなる?

 

 自分を棚に上げて僕を未熟者呼ばわりは納得がいかない。

 何よりここでそんなしょぼい役割を担ってしまえば、父上は僕に失望するだろう。

 そもそもなぜ僕がこんな仕打ちを受けなければいけない?


 あの魔道機とかいうゴーレムもどき、予想以上の強さだ。

 だけど僕の固有魔法(オリジナル)さえあれば倒せるに決まっている。

 あれだけ負傷者を出させた魔道機を僕一人で追い詰めたんだからな。

 最後は駆けつけたゲーリオンさんが止めを刺したってだけだ。


 その実績を理解せずにゲーリオンさんは何を言っている?


「魔力などマナポーションで補給できます!」

「マナポーションは貴様一人のためにあるのではない!」

「じゃあ他に誰がいる!」

「この私が先陣をきる!」


 それじゃ僕が活躍できないじゃないか!

 僕は陛下に託されたんだぞ。ゲーリオンさんとて知らないわけじゃあるまい。

 なぜこの僕が後方支援なんかに、いや。そういうことか。


 さてはこのゲーリオンさん、僕の素質に嫉妬しているな?

 僕が予想外の活躍をしたものだから、後ろに引っ込めたくなったに違いない。

 自分の部隊が脅かされるんじゃないかと内心ヒヤヒヤしているんだろう。


 思えばシルフェント家の屋敷に来た時も、やたらと上から目線で嫌だった。

 ちょっと先に生まれたからって格上面しやがって。

 そう考えると腹が立ってきた。


「ゲーリオンさん、あんたがなんて言おうと僕の力を……」


 僕が言いかけた時、テントの外から爆炎が聞こえた。

 急いで外に出るとあの魔動機が数体、炎をまとったはぐれ魔術師、奇術師のような風体をした魔術師がいる。

 そして残る一人、水色の長髪の男が澄ました顔で魔道機の傍らに立っていた。


 なんだ、あいつらは?

 これまで倒したはぐれ魔術師とはどこか違うぞ?


「おいおいおいおい……おぉぉーーーい!? どこに隠れてるのかと思えば、こーんなところで縮こまっていたってかぁ! 魔動機と手下どもは役に立たなかったみたいだなぁ!」

「くっ! 結界を張っていたのにもう見つかるとは!」

「おいおい……おぉーーい! まさかあんなしょぼい結界で俺様の目を欺けるってかぁ! わらかしてくれるぜぇ! ゲーラゲラゲラァ!」

「まさかこれほどのレベルのはぐれ魔術師がいるとはな……」


 オレンジの短髪に赤のメッシュが入った粗暴な顔つきをした男が大笑いしている。

 全身にまとわせた炎が小さく爆発して、それが僕達を威圧するかのようだ。


「バシュバリオム、マシなのがいる。あの団長の男と……そうだな。灰色の髪の少年は生かしておけ」

「おいおいおぉぉーーい! イドよぉ、そんなもんてめぇでやっとけや!」

「あのお方が望んでいることだ」

「おいおぉい、そりゃ早く言えや……。だったら残りは全燃でいいってかぁ?」


 あの青色の長髪のイドとかいう奴がリーダー格か?

 そして灰色の髪の少年とは僕のことか。

 よくわからないが凄まじく舐められているのは理解できる。

 どうやらこいつらには僕の力を見せてやる必要があるな。


 僕はマナポーションを飲んでから前へ出た。


「ゼシル! 勝手に前へ出るな!」

「ゲーリオンさん、悪いけどここまでコケにされて引っ込んでるわけにはいかないんだよ」

「見てわからんか! 奴らはお前が敵う相手じゃない! 下手をすれば、おそらく全員が魔術師団の団長クラスだ! お前はすぐに下山して、陛下に報告するんだ!」

「ふざけるな! 僕がはぐれ魔術師ごときに背中を見せろって言うのか!」


 僕が歯軋りをしているとゲーリオンさんが構えた。

 魔力の粒子がゲーリオンの前に集まり、大小無数の刃が出現する。

 まさかあれがゲーリオンさんの固有魔法(オリジナル)、千刃術か?


 僕も初めて見るが、あの圧倒的な刃の手数は見ているだけで寒気がする。

 どれだけ結界を守りを固めようと、わずかな隙間さえあればあの刃は滑り込む。

 さすがの奴らもこれには驚いている様子だ。


「おいおいおぉーーい! さすがに強そうってかぁ!」

「バシュバリオム、あれは生け捕りできそうか?」

「おいおぉぉい! めんどくせーけどやんねーとあのお方がぶちキレるだろうが!」

「来るぞ」


 ゲーリオンさんの無数の刃がはぐれ魔術師達を襲う。

 巨大な魔道機は立て続けに刃を浴び続けて装甲がボロボロになり、関節部分を切り刻まれてしまう。

 態勢を維持できなくなった魔動機が次々と倒れていく光景を見て、僕は愕然としてしまう。


 固有魔法(オリジナル)は基本的に魔力の消費が激しいから、ゲーリオンさんもこれまで使ってこなかった。

 ここに来て全力ということはそれほどの相手なんだ。


 次元が違う。

 これが王国が誇る魔術師団の団長の力か。

 威力的にも第五階級には達しているだろう。

 僕はまだ第四階級だってのに。


「さすがの威力だな……」

「おいおいおいおぉーーい! 熱くさせてくれんじゃねえの!」

「バシュバリオムもイドもどいてよ! ボクが遊んであげるんだからさぁ! ウーーケケケのケェーー!」


 突然、奇術師の風体をした魔術師が踊るように飛び込んでくる。

 次の瞬間、無数の刃が道化師の前に集まってひと塊にまとめられてしまった。

 それがみるみるうちに鉄製の球体へと変化して、道化師が片手に乗せてしまう。


「な、何が起こった……!」

「ボクの遊化術はねぇ、魔力で遊べるのさ。キミのクッソつまらん魔法だってこの通り。ウケケのケェーーー!」


 道化師が鉄製の玉を両手で遊びつつ、ゲーリオンを挑発している。

 魔力を変化させるなんて聞いたことがないぞ!?

 あれじゃどんな魔法も無効化されるじゃないか!


「ヘイヘイ! びびってるぅ! キミ達ってホント常識しか知らないよねぇ! 世の中の非常識を認めようともしない!」

「クッ……まだまだぁ!」

「無駄だって! ウケケーーーケケケェ!」


 ゲーリオンさんが再び刃を繰り出すも、今度はゲーリオンさんの像に変えられてしまった。

 その像の頭に一本だけ残された刃が刺さっていて、完全に侮辱している。

 

 なんだこいつは?

 どうすればこんな魔法が使える?

 こんなのがはぐれ魔術師だって?


「人生なんて遊べばいいんだよ! 常識も非常識もひっくるめて楽しめばいい! 常識だけに縛られて笑って踊れないバカだからいつまでもバカなのさ! ウーーケケケェ!」

「ゼシル! お前だけは逃げろォ!」


 ゲーリオンさんに促されるが、僕は固有魔法(オリジナル)を発動した。

 僕と道化師が赤々とした空間に隔離されて、僕自身も炎の化身と化す。

 これが僕の固有魔法(オジリナル)、灼圧術。


 極限まで高まった熱の空間を形成して、僕自身も一体となって敵を塵も残さず消滅させる。

 僕の圧倒的魔力をもって初めて実現する究極の魔法だ。


「焼け散れぇッ!」


 鉄すらも溶かすこの空間に加えて炎の化身である僕が止めの一撃を放つ。

 理論上、生物である以上は――


「おいおいおぉーーい! ずいぶんぬるいことやってんじゃねえかってかぁ!」

「な、にッ……!」


 突然バシュバリオムとかいう男が空間に突入してきた。

 

「てめぇには圧倒的ッ! 熱さが足りてねぇ! バァアァーーーニングァァァーーーーー!」


 バシュバリオムの拳に炎が集中して僕の腹に入る。

 体の芯まで燃え尽きるかのような熱さを感じそうになった時、僕の意識が飛びそうになる。


「おいおぉーーい? こいつ、気絶しちまったぜぇ?」

「バシュバリオムが僕の遊び相手とっちゃったぁ! おーもしろぉ! ウケケケェ!」


 僕は全身が動かず、気がつけば地面の上に倒れていた。

 奴らの声だけが聞こえている状況で、どうなったのかわからない。

 ゲーリオンさんは? 他の皆は?


「しかしさすがは第四魔術師団、思ったより戦力が削がれた。こうなれば工場を破棄して、物資を移送する。ピケフフ、お前は工場に残って指揮をとれ」

「指揮ねーーー! クッソテキトーにやっておく! ウケケケのケーーー!」


 ダメだ、体が痛すぎて泣きそうだ。

 そんな僕を見た道化師がけたたましく笑い、屈辱を感じた頃には意識が完全に消えた。

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