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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く - 一般兵士に怯える哀れな創造主
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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
一章:ポンコツ、自世界に立つ
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一般兵士に怯える哀れな創造主

「……創造主はね。この世界に言いたいのよ。もうちょっと、のんびり過ごして欲しい」

「我が子に反抗されて哀れですね本当に。って、あぁ、そうじゃなくて。今まで以上に気を付けないといけませんね。ここまで王国の反応が早いとは」


 おい、本音出てるぞコラ。


「見つかれば速攻で断頭台の露です。急いで仕事をして資金を稼ぎ、この国から逃げ出さねばなりません。という事で、先生には申し訳ありませんが……」

「また引き篭もりかいなっ!」


 部屋に戻ってきて、初めての話題がコレって。そもそもどうやったら見つからないかなとかいう、そんな方法を色々考えるとか、しようとか思ったらその前に最適の方法で俺を保護しに来てるよ。俺に与える一切の精神的ダメージを考えてない問題はあるけども。


「はー、結局缶詰かぁ?」

「暫くはこの街に居る、と兵士の方々は言っていたので。まぁその間だけですから」

「あー……しかし完全に舐めてたわ。流石王子……めっちゃ有能じゃんか……」


 ――まぁ、王子は俺が設定した主人公格、人魚姫と双璧を為す超人だ。基本情熱とパッションで生きてるような人魚姫と違い、王族として恥ずかしく無い様な知識を持ったキャラとしてデザインしたんだよね。いやぁ、そのキャラデザインに忠実なキャラだなぁ。


「思考が回る脳筋というのは非常に厄介ですね」

「そこは力持つ賢人と言って欲しいんだけどなぁ。それだったらなんかゴリラみたいな事になっちゃうんだけど?」


 あの、俺の理想を汚さないで……いや、いいや。


「って事は、アイツらが居なくなるまで語りは辞める形?」

「いいえ、寧ろ頻度を倍以上に増やしましょう。先生には必死に頑張って頂かないと」

「エェェェェェェェェ!?」


 いや、あの。今目立つっていう事の意味をねぇ、貴女、貴女、もしやお分かりで無い? 見つからないようにって俺を、さ、連れて来ておいてさ。それをぶち壊しにするお積りですかまさかとは思うけど。


「なんっ、で? あの、理由をさ」

「一刻も早くお金が要りますし。少しでも多く稼ぐのと同時に、私に注意が向けばいいかな、と。私の事は一切何も言っていないので。注意を引くなら丁度いいかと」


えぇ……? そんな、勇気の塊みたいな選択肢ある? ちょっとくらい躊躇おうよ。


「あの、やめてください。危ない」

「そんな事を言ってる場合ではないので」

「いいからやめてくれ。そんな事して俺との関係バレて、とか、万が一にもアンタが捕まったら目覚めが悪いどころの騒ぎじゃないからやめろ。いいから」


 罪悪感で砕け散るぞコラ。


「普通に逃げる為の資金を稼ぐならいいけど。囮とかはやめてくれ、他の人の命の責任負える程俺は強くもなんでもないんだ。それは流石に分かってるだろう」

「しかし」

「くどい。いいから禁止」


 この人が居なくなったらこの世界でピンだろう? そんな無謀犯したか無いよ流石に。編集と作家は一蓮托生、悪いが先に離脱なんてさせてやらん。


「……わかりました」

「良し。ったく、何時もそうやって良い子に言う事訊いてくれりゃあなぁ」

「それでは先生の作品をより良いモノに仕上げるのが難しくなるので、お断りさせていただきますね。全力で口出しをさせてもらいます」


 はいはい。分かってた分かってた。まぁ、そんな分かり切った事はどうでもいい。そもそも言うだけ言っただけで本当に良い子になるのに期待はしてない。この人の忠告とかでよりいい感じになった場所とかもあるし。


「しかし先生。彼らは暫くここの辺りを探す、と言って居ましたこの宿にも当然聞き込みに来ます。出来るだけ早く、この町から離脱しなければならないのに、悠長にしている」

「悠長にはしてない。ただ無茶はするなっていう話だ」

「別に無茶など……」

「なぁに。心配すんな。アンタ程じゃないが俺だって口は回る。それに、この世界について何よりも知っているのは俺だぞ? 兵隊二人位なら、なんとでもなるってんだ」


 そうだ。原典の童話、人魚姫をしっかりと呼んで組み上げたこの世界。兵士二人にその世界の創造主が踊らされてどうするっていうんだ。


「頼りっぱなしだからな、編集さんに。何時までもそのままっていうのも正直、情けないんでな。任せろ」




「――おぉ、来たぜあんちゃん。またあの美人さんだ」

「そうだな。今日も面白い話が聞けると良いんだが」

「違いない……所で、なんでアンタ。そんな布引っ被ってんだ?」

「聞くな」


 一応の変装……みたいなもんだ。流石にこうやって酒場に出て来る時くらいはって事で、近くで買った。めっちゃ怪しいけど、ないよりはマシだと思いたい。もう遭遇するのは前提だ。


「まぁ良いけどよ。あんまりおかしな格好してると、兵隊さん達に目ぇ付けられんぞ。なんかさっき、城から兵士が来て、ここら辺で聞き込みをしてるって。なんでも、城から逃げた危ない奴を探してるんだと」

「ほーん。どんな危ない奴なんだい」

「さぁ、ソイツまでは分からんよ。ただ危ない奴を探しに来た、ってだけで」


 ――人魚姫が陸に上がって来てるのは、最初の方はしっかり伏せられていた。王国が恐るべき魔の軍勢として認識……させられてるから、まぁ、混乱を防ぐためにもって事でなんだけども。だから人魚姫関係って言わないのかね。


「全く、町の雰囲気がひりついていけない。まぁその分気晴らしにこの酒場が使われるからありがたくもあるんだが……っと、来た来た」

「――こんばんは。店主さん」

「よう! 待ってたよ。昨日の続き、聞かせてくれるのかい?」

「はい。あのまま続きを語らない、というのも些か申し訳ないと思ったので」


 編集さんは昨日と変わらずパンツスーツルック。いやまぁ、それ以外持ってないから仕方ないんですけども。


「それで、今日でちゃんと締めてくれるんだろうな?」

「はい。今日で最後まで、物語を綴れるかと。皆様で、お楽しみください」

「そいつはありがたい。なんか、可笑しな兵隊が来てて、変に話が解決しなかったら余計に不満を抱えそうだからな。ちゃんとスッキリさせてやってくれ……っと噂をすればだな。例の兵隊さんだぜ」


 そもそも、服装が違うから怪しまれそうなものだけどまぁ、そんな目立つカラーでも無いせいか服装には触れられてない。やっぱりスーツって万能なんやなって……んぇ? 


「……おい、酒場なんて行く前にまだ聞き込みをだな」

「もう十分やったろうが! 夜だぜ! 少しくらい休ませてくれたって罰当たらんよ!」

「あー分かった分かった! 済まない、カウンター良いだろうか」

「いいぜぇ。まぁ好き勝手に飲んでくんな。今日は、余興もあるしよ」


 ……落ち着け。俺。こうなるのは想像済みだろう。覚悟決めろ。ここで、俺が一発ペテンを決めるだけなんだ。頑張れ、頑張れ俺。兵士二人の威圧感に負けるな。

 

アンデルセン先生ごめんなさい。


普通、凄い強そうな相手とかに怯えると思いますが、我が主人公はこんなもんです。

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