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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く - 酒に飲まれて金に潰され
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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
一章:ポンコツ、自世界に立つ
34/285

酒に飲まれて金に潰され

 ――RPGとかで、何故か情報の集まる場所として設定されているのが酒場でございます故。先ず、我々の方針として人魚姫を見つける事から始める事にしたのではあるが。


「――金髪のどえらい美人?」

「えぇ。お友達から、暇を全部つぎ込んでまで、この辺りで探してると聞きまして。こういう商売をしていると、色々な、それこそ、目立つような方とお話をしてみたいと考える事も多いので……」


 当然ながら聞き込みは編集さん担当になり、そして俺はその隣でジュース、っていうか果実百パーセント汁を飲みつつ。対象は、酒場で酔いが回って、まぁ口が軽くなってしまっているオッサン方。


「なんでさ」

「物語の主人公を語るのに、色々な方を参考したいのです。目立つ方などは、それこそ物語の登場人物の様に輝いて居らっしゃるので」

「はーっ、そういうもんなんか。色々不思議な職業なんだなぁ」


……とか申しておりますが、かんっぜんに口から出まかせも出まかせです。それっぽい事を並び立てて酔っ払いを騙しているだけです。


「いやー、でもアンタも相当な美人だぜ? アンタに匹敵するかって言うのはちょっと分からんけど」

「いえいえ、私などそこまでは……それで、見つけたのですか?」

「あー、噂の美人さんなぁ。見つけてはいないが、進展はあったぜ」

「ほう、進展ですか」

「そうそう。その美人は、良くこの辺りの砂浜に出るって、見た奴が言ってたよ。驚く程の美人だと言ってたけど、アンタより上だとは思えないねぇ!」


 砂浜、成程成程……要するに海辺か。コレは確信と言ってもいいかな。


「砂浜ですかぁ……場所は何方に?」

「ここら辺で砂浜っていったら一つしかない……けど、ちょっと、俺は酒が回っちまってなぁ……見たって奴に聞いた方がいいと思うぜ。まだ店には、居ると思うから……あ~もうだめ……」

「そうですか。ありがとうございました……(コク)」


 ――うん。当たりだ。ささっとソイツにも話を聞かせてもらうとしよう。とはいえその方がどの方か、さっぱり分からない訳なんだけれども。


「もう一度総当たりでしょうか」

「聞こうにも、おっちゃん潰れちまったからなぁ」


 酒は飲んでも飲まれるな。それを良く痛感する。


「国王に人魚姫の事が知れるのは、人魚姫にハートノックが入って、それから一週間は後だ。早めに接触して、後はノンビリ対策を打とう」

「そうですね。上手く行くかは分かりませんけど……」


 まぁ、接触できなかったら最悪、ループすると仮定して、其処の間で接触するしかないか……心が砕け散りそうだが、そうなったら覚悟を決めないといけない。


「ただ問題は、そこまでたどり着けるかですね」

「それはそう」




「――こっから噂の砂浜までぇ? あー……どれくらいかかるんだろうね」

「お酒で気持ちよくなっているところ申し訳ありません、どうにか教えて頂けないでしょうか」

「いやぁ、美人の頼みとありゃあなぁ……教えてやりたいけど……」


 まぁこういう事もあるよなぁ。RPGみたく、酔ってるけどマトモに回答はしてくれるっていう都合の良い事は無く。こうやって思考が死んでるお方に何を聞いてもまぁ、無意味も無意味。何というリアル。


「おい、行商の奴はどうだ?」

「あー……砂浜近くを通って隣まで物売りに行くんだっけか?」

「そうそう。今日も、まぁ、売れ行きがどうこうってここで自慢してやがったから、どっかでまだ飲んでるんじゃねぇか?」

「ほうほう、その方は詳しいと」

「俺じゃあお役に立てないし、ソイツに聞いてみるのが、一番じゃねぇかなぁ……な、ん、て……おぎぇっ!?」

「教えて頂いて、ありがとうございます」


 う、わぁ……ヒールが、手の甲に、突き刺さったんだけど……グサッとかそう言うレベルじゃない。というか、見ても居なかったぞこの人。ビュンって、風を切る音までしてたんだけど。


「……お、お姉ちゃんちからつよいね?」

「自慢ですが、アームレスラーの方に力負けした事はありません」

「あーむ……?」

「力自慢という事ですよ。それでは失礼いたしますね」


 ……信じられないでしょ? マジなのよ。マジで美人体系で無駄なちゃんと肉ついてるようにグラマラス体形だけど、其処には一切無駄の無い筋肉がしっかりあるから。俺がもやしとか言われてもぐぬぬとしか言えないのよな。何だろうこの完璧超人。


「ま、まぁ商人の奴は、確か最後に見た時、奥のテーブルにいたから其処に入って見りゃ良いんじゃねぇか……?」

「分かりました。本当に何から何まで、すみません」


 で、奥のテーブルとなると……おぉ、凄い一杯居るなぁおい。しかも、全員偉い勢いで飲んでるな。


「今日は俺のおごりだ! 皆ド派手に飲んでくれ! 良い話を聞かせてくれた語り部のお嬢さんにも乾杯だー!」

「――アレですね、多分」

「あぁ。分かりやすすぎる。商いで成功したって話だったし」


 じゃあ、ちょいと全力でお話聞かせて貰うとしますか……さっきみたく、思考が死んでいないと良いんだけど。


「だけどあんまり飲み過ぎないでちょうだいねぇー!?」

「あっ、ありゃあ大丈夫だ。飲み会で良くある、調子乗って『金入ったからいっちょ皆に奢ったろ』とか言ったらシャレにならない金額出てった奴だ。多分正気に戻ってる」

「あるんですねぇ、この時代にもそう言うの」


 因みに俺もやったことあります……それはどうでもいいか。


「では」

「あぁ。多分話も聞けるはず……」

「――そうですね。序に恩も売っておくべきでしょうか。必要になるでしょうし」


 ……まぁ、必要になるっていうか、今必要になってるけどね?


アンデルセン先生ごめんなさい。


私はどっちもやらかしたことがあります……

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