After the Nightmares
今回の悪夢はきつかった。
自分が被害者になって殺されることはもちろんそれ自体強烈な衝撃をもたらす。それが100回以上も続けばそれだけで致命的なストレスだ。
しかし、自分が加害者の立場になった上で、殺されることは、その上を行く罪悪感をもたらした。このケースも100回以上続いたのだ。
「彼等」の狙いは分かる。
「彼等」は、何らかの目的で、適切な人材を選別しているのだろう。
候補者に全く同じ状況に置き、その反応で適者を選別しているのだ。
前半の悪夢では、盗賊達と対峙した際、相手を躊躇いなく殺すことが出来るかどうかで運命が分かれる。
敵として相対した者に、甘さや躊躇を示したら、自滅するだけだ。そんな甘い人間はいらないということだろう。
盗賊たちは、集落を略奪し、自分の眼の前でインガを犯そうとしていた。この時点で、盗賊たちは完全な悪者であると決まっている。
悪者を打ち倒す際に、甘さがあってはいけない。悪者は2人で自分は1人だ。
この状況では、相手を確実に殺す必要がある。相手を負傷させて、捕虜にするなどという選択肢はない。
捕虜にした場合、その捕虜をどうするのか。
これから先どれくらいの敵と遭遇するかわからない段階で、なるべく人を殺さずにおこうとする甘い人間に未来はない。
冷徹に目の前にいる敵を確実に殺すしかない。
敵と認定した者を殺す際に、怯えがあってもいけない。
敵を倒す場合は、手の震えなどがあっては、命取りだ。そのことは、クマやイノシシを相手にして、身に染みているはずだ。
あいてが、クマやイノシシではなく、人間であってもまったく同じだ。
この盗賊たちは、クマやイノシシと同じだ。いや、悪意を持っているという点で、より悪い。
イノシシであれば、自分は単に倒すべき邪魔な存在の一つに過ぎない。
クマにとっては、自分は単に喰らう獲物の一つに過ぎない。
だが、盗賊達にとっては、自分は単に殺すだけでなく、嬲り、犯し、弄ぶ対象になる。
人を殺したことで過度に高揚することも良くない。
人を殺したことで興奮し、いわゆる、狂戦士状態に陥る奴も駄目だ。
ゲームではよくある設定だが、これで上手く行くのは狂戦士が不死身の場合だけだろう。
周りが見えなくなり、やたらに無茶な攻撃を仕掛けるような輩も自滅する。
敵である人を殺したことで、動揺したり、過度に興奮して、手指が震えるなど以ての外だ。
理想を言えば、「明鏡止水」の心持ちだが、自分はまだまだその境地には達していない。
後半の悪夢では、インガ達に対して庇護者として振る舞えるかどうかで運命が分かれる。
「彼等」は、小児愛好者や強姦者も、当然のことだが、排除したいだろう。
ただ、「彼等」の狙いは、単に性的捕食者の排除だけではないはずだ。
この世界において、自分は力を持つ者である。この力は、体力や武力だけではなく、知力や知識も含まれる。
それに対し、インガ達は、体力的に劣っていて、知力や知識もない。
自分とインガ達の関係は、容易に「支配者」対「被支配者」の関係に陥ってしまう。
自分がインガ達の無知や非力なことにつけ込むことは、自分が自分の権力に溺れてしまうことだ。
権力に溺れる者は、身の周りの状況が正しく判断できない存在だ。
権力に溺れ、身の周りの状況が正しく判断できない者が、「最初は」非力な7人の中にしばらくいれば、その後どうなるか?
まともな判断能力を持っていれば、どのような事態に移行するかははっきりしている。破滅だ。
そう、これは権力に溺れやすい者を選別するための巧妙な罠だ。
「彼等」の狙いはよく分かる。だけど、そのプロセスを自分に経験させることは本当に止めて欲しい。
悪夢のショックを振り切り、今日やるべきことをやるしかない。