31.不死系プレイヤーは親切
ストックがやばい…
「しかし、スカルキマイラの対策はしてなかったのか?」
6人でも厳しいのだ。4人で来るなら何かしらしていないと危険だと思うが。
「あ、いえ…掲示板を見てもあまり詳しく載っていなかったもので…今掲示板に書かれているのは拠点の事とか、進化の事とか、門の向こうの森の事ばっかりで。キマイラが出る事は知っていたんですが…」
「ふーむ、ごめん。よければ魂の数を聞いてもいいか?」
聞くと、全員が4つ。なぜ揃えぬ、と思ったがちゃんと訳があり、昨日俺に生物錬成してもらいたかったらしいんだが、集めきる前に終わってしまったのだとか。それで他に錬金術を使える人を見つけたら進化させてもらう、という事になったそうだ。魂自体は5個すでにあるらしい。
なぜそれを早く言わん。
「何に進化したいとかあるか?掲示板見たんだろ?今からやるぞ。」
何惚けた顔してんだ。
「いいんですか?」
「ここまで聞いて放置する訳がないだろ。もちろん報酬は貰うが。」
4人が希望してきたモンスターは、全て素材が手元にあったので、速攻で進化させた。
バクが人獅子・錬成種、ショウが僵尸、ユウキが堕精、エリナが土精になった。
バクの人獅子はタカアキと同じ黒いライオン。だがこちらの方が若干細身であるようだ。それでも弱々しく感じないのは、目つきの鋭さからだろうか。
僵尸は青白い肌をした中華服姿の武人。あちこちに札が貼り付けてあるが、ぶっちゃけ何の効力もない。拳闘術のスキルが一番まともに使える進化先はおそらくこれだろう。墓守を除けば、だが。
堕精はカラスの悪霊だ。堕精、邪精、怨精は闇魔法を使えるようになる。違いは正直、姿以外わかっていないが、闇魔法は新しい魔法なので、これに進化する人は多かった。
土精は土属性に特化した進化だ。通常進化でなれるストーンレイスは悪霊であるのに対して、こちらは精霊だ。黄土色に光る小人の姿だ。精霊は他にも火・水・風の3種類が見つかっている。
「よし、報酬は、今度なんかのイベントとか面倒くさい事があったら手伝ってくれ。これで決まり。」
今ぶっちゃけ何も貰う必要がないし。
みんな気に入ってくれたようで、その後の戦闘では新しいスキルや武技を遠慮なく使っていた。
森にも入ったが、元々少数で狩りをしていたからか動きが良く、4人でもここで狩りができそうだった。
5人で狩りが終わりそろそろログアウトしようと思いつつホームエリアに入ると、目に入ったものの衝撃に、思わず足を止めてしまった。
「なんでこんなに速く進んでんだよ…」
「トウキ、お帰りー。どう?外装だけならほぼ出来たよ!」
俺が狩りに出る前には二階までしか出来ていなかった千日楼閣が、狩りに出かけた数時間の間に7階まで伸びていた。
「待て、これを15人でやるのは無理だろう。」
「あの後倍になりました!」
「30人も木工いるのか!?」
「凄いよね。でも僕達はあくまで建材を作ってるだけ。建設作業員はさらにその1.5倍はいるよ。しかもこれがほとんどトウキが生物錬成した人達なんだよ。お礼だってさ。」
やっぱり不死系の人達って親切な人多いよな。千日楼閣建築に協力してくれとは言ったが、正直ほとんどがバックレると思っていた。あれか、チュートリアルでの質問で系統が決まるから、同じような性格の人が集まるのかもしれない。VRゲームのプレイヤーはマナーの悪い人も結構いるけど、ここではほとんどいない気がする。これは第二陣が来る頃にはこの周辺が街になってるかもしれないな。
「中はこれからなんだ。畳が欲しいなーとは思ってるんだけど、今は無理だね。後は光かな。提灯を使いたいんだけど。」
「提灯か。光苔じゃあ白すぎるか…いや、光苔を光源にするなら、それを覆う提灯自体を赤くすれば…」
「今その案で細工師達が提灯を制作中。他の生産スキル持ちもいろいろやってくれてる。」
それ聞いちゃうと俺も何かやんなきゃってなるな。
「わかった。俺は光苔を錬金術で改良できないか試してみるよ。あれそのままだと光弱いし、一晩しか保たないだろ。」
「助かるよ。因みに他の錬金術持ちはトウキが考えた木材を生産してくれてるよー。」
「そうか。結局建材はアレになったのか?」
「いや、壁にだけ使う。あれは硬いけど折れやすいから、支柱にするにはもう少し粘りのある木材の方が扱いやすいって話になった。」
「そうか。頑張ってくれ。」
「目標は2日後での完成だから、それまでに光源の件は何とかしてくれると助かるよ。」
「わかった。何とか間に合わせてみせる。」
「無理はダメだよー。」
コウと別れると、もう時間は10時になっていたのでログアウトした。
明日は平日なのだ。早く寝なければ。