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【WEB版】レア・クラスチェンジ!〜魔物使いちゃんとレア従魔は異世界ゆる旅がしたい〜 - 初クエスト★
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初クエスト★

淫魔のお宿♡のサービスはとても素晴らしかった。

各部屋に備え付けられたバスルーム、共同で使えるキッチン、とても寝心地のいいベッド。

おまけに部屋の防音性も高くて、宿泊料金は格安。

…これらを一度体験してしまうと、もう普通の宿屋には泊まれそうもない。

外観とオーナーがアレだが、それくらいのマイナス面には目をつむってもいいほどだった。

レナたちはきっとこれからも、各地の淫魔のお宿♡に泊まり続けるのだろう。

ご主人さまはコスパという言葉が大好きである。



昨夜は、ヒト化した従魔たちが初めてのお風呂や巨大ベッドではしゃぎまくっていて、それをまとめてご飯まで作っていたレナは正直疲れていた。


▽主人は 初めて[従順]スキルを使った!

▽ハマルの将来が心配だ…


そのハマルに[周辺効果]と[快眠]スキルを使ってもらったのだが、なにせ寝始めたのは深夜になってからだったので、皆少しだけ寝不足のよう。


眠い目をこすりながら、レナが冒険用の衣装に着替えはじめる。

今日の服装は、造りの荒いシャツとキュロットスカート、ローブ。

肌触りのいい地球製のセーラー服は、汚れないようカバンにしまった。



「…あら。

おっはよぉ〜! 昨日はよく眠れたかな?」



蝶姿のリリーを頭に乗せ、ヒツジとスライムたちを抱えて受付に降りると、今日もひたすら色っぽい淫魔のお姉さんに声をかけられる。


「おはようございます」


少しだけ警戒しながら頭を下げるレナ。

昨日はさんざんこの人にからかわれたのだ…少し、距離をおいておきたかった。

朝からあのテンションで絡まれるのは正直しんどい。こちらは寝不足なのである。



「えーとぉ、今日は確か、初めてクエストを受けるんだったわね〜。

無理はしちゃダメよ?

夕方にはお部屋にバスローブを用意しておくから、日が暮れる前に帰っていらっしゃいなー」


「…はい。

一番簡単そうなクエストから始めていくので、そんなに遅くはならないと思います。

今夜もよろしくお願いします」


「ベッドメイキングはまかせてっ!

頑張ってきてね〜♡」



…マトモな対応をしてくれている…?


昨日は初対面だったから、ちょっと大げさにからかわれただけなのかもしれない。

2日目ともなると、レナの反応も落ち着いてきているし、もう大丈夫だろう。


そう考えたレナはホッとした表情で、お宿♡の玄関扉を開けたが…

彼女の背中に、淫魔からのどこまでも空気を読まないエールが贈られた。



「肩の力を抜いてぇ〜!フゥ〜フゥ〜!あ〜ん♡

…首すじにキスマークがついてるわよぉ。お嬢さん♡」


「…きゃーーーーーっ!?」


「あっははははは!」



からかい対応は終了していなかったらしい。

悪化している…。

首筋の赤い印はリリーが[吸血]した跡だったのだが、動揺したレナは、顔を赤くして弁明もせずに走り去って行った。

反応が余計にマジっぽくて、ロビーにいた別のお客には色眼鏡で見られかけている。

ドンマイ、レナさん。



「かわいいー♡」

「…いい加減にしとけって言っただろう、オーナー。はあ」



レナの緊張はほぐされたようだ(強制)。

では冒険者ギルドを目指そう。




***




「昨日は驚いたねぇ…。

まさか、ルルゥさんが魔眼ギフト持ちだったなんて。

みんなが魔人族だってバレるとは思ってなかったから、ビックリしちゃったよー。

彼女がいい人で本当に良かったよね…」



早朝の爽やかな空気を感じながら、可愛らしい白と赤の街並みをレナたちが歩いていく。



『ねー!悪い人に絡まれるのやだもんねっ』

『寝巻きも人数分貸してもらえたし、良かったー!』

『バスローブ、だったっけ…?アレ、好きだなぁ』

『着るのラクだったしー。あったかかったねー』


「あははっ!

皆、ちゃんと着れては無かったけどねー?

サイズが大きかったから仕方ないね。

お宿に子どもが泊まったのは前代未聞って言ってたね。…あの外観なら、子どもはまず入らないか。

変な目で見られそうだしー」



すなわち、見た目ロリ娘なレナさんが、従魔連れとはいえ一人でお宿♡に入っていったのは周囲からおかしな目で見られていたという事だが…。

自覚がなく明るいのが救いだろう。

今日も彼女は、見事に自分で自分の首をシメていた。



そんなレナさんに先日付いた称号の効果を確認しておこう。


ーーー

[逃亡者]…何者かから、もしくは何処かから逃げている者に贈られる称号。

セットすると、追いかけられている時にのみ足が速くなる。


[お姉様]…年下の者から慕われまくっている女性に贈られる称号。

セットすると、周囲から憧憬どうけいの念を集めやすくなる。口調が高飛車になる。

ーーー



このような効果だった。

[逃亡者]は言わずもがな便利そうだが、[お姉様]も意外といい仕事をすでにしている。

昨日、[従順]スキルを使う時に[お姉様]の称号を組み合わせて使ってみたら、従魔が一発でおとなしくなったのだ。

正気に戻った時の主人の精神力はとても削られていたが…。

便利である。

[従順]スキルは、お叱りの言葉と共に使うと威力が上がるのだ。




わいわいと楽しく話しながらギルドに着く。


日が登り始めてすぐの冒険者ギルドは人の出入りもまだまばらで、すごーく空いている。

これ幸いと、レナたちはクエストの貼られた掲示板へまっすぐ向かう。



「どれにしようかな…?」



Gランク冒険者向けの依頼を順番に見ていった。



○薬草採取(常時依頼)

……いやし草の納品を求ム。

採取した薬草が上質なものなら、金額の上乗せアリ。


○キノコ採取(常時依頼)

……特産品のパンダキノコの納品を求ム。

採取したキノコが上質なものなら、金額の上乗せアリ。


○手紙配達(商業ギルド郵便部)

……臨時配達員を求ム。

ギフトBOXなど重い荷物を運ぶ可能性もあるので、体力に自信のある者が望ましい。

配送先・運んだ物によって、金額の上乗せアリ、出来高制。


○レストランホール清掃(お食事処いななき)

……清掃員を求ム。

清掃時間は、レストランの開店前と閉店後。緑魔法[クリーン]を覚えている者は優遇アリ。

一日の賃金は400リル。



…などなど。

Gランク依頼は基本的に雑用やお手伝いが多いので、たくさんの種類がある。

そのうちの一つに目を留めた。



○毒キノコの除去(キノコ農場ワーナー)

……栽培中のマッシュルームに混じってしまった毒キノコの除去作業員を求ム。

毒キノコの見た目はこちらで説明アリ。初心者歓迎。

一日の賃金は500リル。



手に取ったのはこの依頼だった。


「これなら、クレハとイズミのギフトを活かせるかなぁ。

賃金も高めだし…」



レナが受付に持っていって詳しい依頼内容を聞いてみると、これは定期的に貼られている依頼とのこと。


ラナシュ世界のキノコ栽培は屋外でのみ行われているので、作っている品種の中によそから飛んできた毒キノコの胞子が混じってしまうらしい。

この街に自生している毒キノコは「笑いタケ」や「苦タケ」など毒性の低い物のみだが、商品に別物が混じってしまうと農場の評判も落ちてしまう。

そこで定期的に除去手伝い員を募集しているそうだ。

もちろん、出荷前にはオーナーが責任を持って毒キノコが混じっていないかを再確認する。


オーナーは穏やかで親切な人だから農場まで行ってみたら?と勧められたレナたちは、このクエストを受けることに決めた。




▽Gランク依頼 [毒キノコ除去] を 受注した!

▽クエストをたくさん受けて ギルドカードの ランクアップを目指そう。



クエスト受注用紙の入った封筒を渡されてすぐさまレナたちは農場に向かおうとしたが、受付嬢に控えめに呼び止められる。



「あ、あのね…。

貴方の従魔たち、すっごく可愛らしいよね?

…撫でさせてもらえないかなっ!」


「えっ!いいなー。

お嬢さん、私も撫でてみたいの。いい?」


「わ、私も触りたい…!」



従魔たちが大人気だ。

リリーの[幻覚]で色味を変えているとはいえ、ちっちゃなスライム達は見るからにうるうるプルプルボディだし、ハマルの羊毛は魅惑のもふもふ。

リリーは姿を消しているが。確かに触りたくもなるよなぁ、なんて思いながら、レナは従魔たちにお触りOKかを確認した。



「撫でてもらうー?」


『『あはーーん!いいよっ!』』

『…ボクの毛皮はレナ様のためにあるのでー。やだ』


「なんかごめん…」



スライム達は快諾。

もともとぼっち気質のハマルは仲間以外に触られるのは嫌なよう。

もふもふを触れなかった受付嬢たちは残念そうにしていたが、スライムをこれでもかと愛でてプニプニしていた。

いかつい冒険者たちが羨ましそうに、美人に愛でられているスライムを見ている。

…いや、彼らもなんだかんだスライムを触りたそうにしていた。そっちかい。


一人スルーされたリリーが寂しそうだったので、後で主人がこれでもかと愛でておく。

農場に向かおう。




***





小都市トイリアはアネース王国の玄関口だけあって、さすがに広い街である。

街の隅の方にあるキノコ農場ワーナーまでテクテク歩いて行くと、着いた時にはもう日は高く登っていた。

依頼書には開始時間は書かれていなかったけど…

少しだけ不安な気持ちで、レナは農場オーナー宅の扉を叩く。



「こんにちは。

毒キノコ除去の依頼を受けた、冒険者のレナです」



家から現れたのは、小柄でふくよかな優しそうなおじさん。

朝からすでに一仕事終えて休憩中だったのか、作業用オーバーオールには土が付いていた。



「…おお!

貴方が今回お手伝いをしてくれる冒険者さんかい。

えらく可愛らしいお嬢さんがいらしたね?

毒キノコ除去は地道な作業だから、貴方のようなマジメそうな子が手伝ってくれると大助かりだよー。

さっそくキノコの栽培をしている農場に行こうか。

森の中なんだけどね」


「はい。

まだ毒キノコを見たことがないので、詳しく特徴を教えてください」


「勉強熱心だねー?助かるよ!

現場に着いてから、実物を見せつつ教えようかな」


「よろしくお願いします!」



従魔たちを見せたら驚かれてしまったので、レナが魔物使いであることを説明しながら歩く。



農場として案内されたのは、トイリアの隅にある森林公園のように木が生いしげった一角だった。

土地の境はきちんと柵で囲ってあって、「キノコ農場ワーナー」の大きな看板が立てられている。

国でも有数の大キノコ農場らしい。


この人工の森の中でマッシュルームを原木栽培で育てているそうだ。

街の外にまで農場を広げてしまうと、別の凶悪な毒キノコの胞子が飛んでくるため、森を作ったのだと説明された。

地球では、マッシュルームといえば菌床が一般的だが、原木なのは異世界の仕様なのだろう。



キノコ農場のオーナー、ワーナー氏は、原木に生える白いマッシュルーム達をじっくり観察すると、そのうちの一つをおもむろに手に取る。

根元から丁寧に千切っていた。

続いてもうひとつ。



「これが毒キノコの"笑いタケ"だね。

食べてから30分は爆笑し続けることになるから、間違えて飲み込むと結構しんどいよ。

特徴はカサの中央が尖っていて、少し大きめな所。


こちらは"苦タケ"。

名前の通りすっごく苦いんだ。

毒というか、効果はそれだけなんだけど、商品に混じってしまうとお客様からのクレームになるから気をつけて除去してほしい。

特徴は…緑色な所だね。

分かりやすいし、見逃さないで」


「はい。分かりました」


「覚えるのが早いねー。えらいえらい。

貴方に除去をお願いするのは、この2つだけだよ。

他にも、もし形のおかしな別のキノコが混じっていたら、その時は手を出さずに私に教えてくれるかな?

新しい毒キノコの胞子が飛んで来てるなら、農業ギルドに報告をしなくてはいけないんだ」


「はいっ」



レナの迷いのない返事を聞いて、ワーナー氏は嬉しそうに目元を緩めている。

自分にもレナくらいの年齢の娘がいるので、微笑ましく思ったのだろう。


農場をレナがぐるりと見渡す。

栽培地はとても広くて、たくさんの原木が等間隔で置かれており、その全てにびっしりとマッシュルームが生えていた。

これらを一日で全て確認するのはとうてい無理なので、できる所まででいいよ、と言われる。



「ワーナーさん。

さっき見本で見せてくれた毒キノコをもらってもいいでしょうか?」


「?構わないけど…。どうするつもりだい?」



不思議そうな顔をしているワーナー氏から、毒キノコを受け取ったレナ。

スライム達になにやら耳打ちした後、ぽいぽいっとボディにキノコを放り込む。



「…あああっ!?

貴方の従魔たちが状態異常になってしまうよー!どうして…」


『んん~?これはナカナカ…美味ですなっ!』

『表面を撫でるだけでピリッと感じるから~、毒キノコかどうか、すぐに分かりそうだね』


「そっか、良かった!」



ワーナー氏がわたわたと心配しているが、☆4【状態異常耐性】持ちのスライム達は純粋に食事を楽しんでいる。



「あ…ワーナーさん。

驚かせてしまってすみません。

このスライム達には、弱い毒は効かないんです。

カサの表面に触れただけで毒キノコか判別できるみたいなので、彼らにも手伝ってもらっていいでしょうか?」


「そ、そうだったのかい…!?

手伝って貰えるなら、もちろん大歓迎だよ。

今みたいに毒キノコだけを溶かしていってもらえると、すっごく助かるなぁー。

根元までしっかりと溶かせる?」


試しに、と、ワーナー氏からレナにキノコの原木が一本渡された。


「やってみましょう。クレハ、イズミ、お願いね!」


『『あいあいさーーーっ!』』



スライム達がスルスルとキノコ付きの原木の上を這っていく。

普通のマッシュルームの表面には粘液を残さず移動しており、見つけられた毒キノコはキレイに根元まで溶かされている。

原木一本分の確認を終えるまでがとても早くて、確実な仕事。素晴らしい出来栄えだ。

おまけにこの方法なら毒キノコの隣にあるマッシュルームにも全く傷がついていない。

ワーナー氏は興奮したように顔を赤く染めた。



「素晴らしいねー!

いやはや、スライムを使うやり方があるだなんて思い付きもしなかったよ…!

魔物使いがレア職なのが悔やまれるなぁ。うむむ。

…今日ひと思いに、出来る所まで全部検分していってくれないか!

出来高に応じて、賃金は追加で支払うから」


「えっ。良いんですか…!

…よーし、頑張ってねー2人とも!

たくさん仕事をこなせたら、夕飯は豪華なのを作るからね。

[鼓舞]スキルをかけるねっ?」


『『ご飯ー!やったるでぇーーー!!』』



ご主人さまは張り切って、魔力を込めまくって[鼓舞]スキルをかける。

スライムたちの体がぐーん!と全体的に大きく広がった。



『フレー!フレーっ!』

『頑張れーっ』


後輩従魔が先輩たちを応援している。


「行ってらっしゃいー!」


したうご主人さまの声援を開始の合図にして、スライム達によるとても効率のいい毒キノコ駆除大作戦が始まったのだった。




▽駆逐してやるッ!!!!



淫魔ルルゥ イメージ

挿絵(By みてみん)


はいてない(描き忘れました…orz)

読んでくださってありがとうございました!

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