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【WEB版】レア・クラスチェンジ!〜魔物使いちゃんとレア従魔は異世界ゆる旅がしたい〜 - 花職人
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花職人

自宅花まみれ騒動から数日が経ち、パトリシアはようやくパーティメンバーにも本心を打ち明けることが出来た。

花職人に転職したいのだと、盛大に照れながら話す彼女を、パーティ全員があたたかく迎え入れている。


パトリシアが転職を決意できたのは、ゴルダロの「もしまた冒険者としてやって行きたくなったら、俺たちがいつでも力を貸すさ!やりたい事を、優先してやってみな」という言葉があったからだろう。

剣士としてLV.15まで成長させてきた、ステータス、スキルの全てを手放し、またゼロから始める決断などなかなか出来るものではない。

仲間の優しさ、ありがたさを噛み締めた彼女は、珍しくも人前で涙をこぼした。

その涙は、パトリシアの心に芽生えた新しい夢のかてとなるはずだ。




くだんの彼女が引きこもっていた数日の間。

レナ達は、ギルドのGランククエストをこなしていた。

ランクアップを急いでいる訳ではなかったので、手早く数で稼げる採取クエストをこなし資金稼ぎをしていたのである。

日々の食事を豪華めにしていたので、出て行くお金が多かった。

これからはもう少し自重しなければいけないな、と、粗挽きウインナー&3種のチーズ入りクラムチャウダーを口にしながら反省しているレナ。

…反省はしているので、もしこれから料理を作るなら、せめてチーズは1種類程度に控えるだろう。

ある程度舌が肥えているのは、日本育ちなので許してやって欲しい。



薬草やキノコを求めて、一行は草原に林、小さな洞窟など様々なところに出かけた。

リリーの配下の虫のおかげで、採取クエストは毎回とてもはかどっている。

時に魔物に襲われもしたが、強くなった従魔たちは、余裕をもって相手を返り討ちにしてみせた。

危なげない戦いぶりは、Fランクとしての強さをもう超えているかもしれない。

得意げになる従魔を、主人はこれでもかと褒めまくる。

相変わらず、相思相愛なようで何よりだ。




***




転職することを決意したパトリシアとレナたちは、この日、冒険者ギルドに集まっていた。

転職したら、まず花の種を集めに草原に行こうと考えた彼女は、レナ達に同行を依頼したのだ。

ゴルダロパーティは、以前から決まっていた指名依頼があったので仕方なく他所に出かけている。

職業補正が無くなりステータス値が初期化された少女が、いくら[剛腕]ギフト持ちとはいえ、一人きりで魔物のはびこる草原に行くのは危険すぎるため、彼女からの指名依頼をレナ達が受けることになった。



花屋として店を開く前に、野生の花を種から育てて職業レベルを上げるのは、花職人の定番成長コースである。

生活系の職業についた者がレベルを上げたい時には、魔物を狩る他にも、職業ごとの鍛錬により経験値を得ることができるのだ。

こちらの方が、実は効率が良かったりする。


花職人が既成品種の花のタネよりも野生のものを好むのは、職業固有スキル[品種改良]で自分オリジナルの花を創り出すため。

既成花の種はもとの作成者以外、追加改良ができないのだ。

野生花の色や香りを自らがデザインし、商品化することにより、それぞれの花屋が差別化を図っている。




カウンターに座る受付嬢に対して、パトリシアはとても控えめに声をかけた。



「こ、こんにちは…」


「あら?パトリシアじゃない。

おはよう!なんだか随分久しぶりねー。

今日は、どんなクエストを受けるのかしら?」


「う。…そ、その……えーっとぉ…」


「パトリシアちゃんっ、ファイトーー!」



一見少年のような少女は、パーティメンバー以外に花職人になりたいと告げるのは恥ずかしかったらしい。

頬を赤らめて目を逸らし、首を傾げるお姉さんを時々チラチラ見ては、気まずそうに言葉を濁してしまっている。

隣にいたレナは、懸命にパトリシアを応援した。

スライムもくるくると応援ダンスを踊る。


意を決した少年娘は、ついに自らの夢を口にした。



「……転職ッ!…したいんです。

その、花職人に。

…転職の儀をお願いできますか…?」


「まあ!」



あまりに予想外だったのか、さすがの受付嬢も小さく驚きの声を漏らしてしまう。

ハッとした様子で周囲を素早く見渡すと、他の冒険者の注目を集めていないことを確認して、ホッと息を吐いた。

あわてて小声で、リンゴの様に赤くなってしまったパトリシアに謝る。



「ごめんなさいね!

貴方は、ランクアップのために随分と頑張っていたから…転職すると聞いて、驚いてしまったのよー。

ーー分かりました。

魔道室に案内するわ。こちらにどうぞ」


「…あ。は、はいっ」


「ふふっ。

今まで剣士として冒険者ギルドをご利用頂き、本当にありがとうございました。

お疲れ様でした。

これから先、貴方の歩む道が…沢山の幸せに満ちたものでありますように!

応援してるからね?」



緊張していたらしく硬い動きで頭を下げたパトリシアに、受付嬢は安心させるようにやわらかく微笑んでみせた。


ギルド職員たちにとって、将来有望な新人冒険者たちは宝だろう。

今回は、才能ある一人の少女が別の道を歩むことになってしまったが……しかし、転職を拒む事なく、ひたすらあたたかく祝福している。

今までの戦果に対してお礼を言って、新たな道へと気持ちよく送り出す姿勢を見て、レナは好感を持った。


この世界は残酷だけど、同じくらい優しくもあるのだろう。

優しい人たちと知り合いになれた事を、とても嬉しく感じていた。

改めて、腕の中の従魔たちを愛おしそうに撫でると、ふんわりと微笑む。

…甘えていい時だ!と認識した従魔たちによって、小さな主人はもみくちゃにされた。



▽パトリシアは 花職人に 転職した。

▽草原に 行こう!




***




ところ変わって、こちらは草原。

ついに花職人になったパトリシアと、彼女のボディガードであるレナ一行は、どのような花のタネを手に入れようかと、国境門付近で相談していた。


転職後のパトリシアのギルドカードを見た門番が、彼女を二度見してしまったのはもう仕方がないだろう。

つい最近までのパトリシアは、とんでもなく重い黄甲剣を片手に魔物を狩りつくす、まごうことなきルーキー剣士だったのだから。

いつも重装備で門を通過していた少年娘が、いきなりエプロン姿になれば、誰だって過剰反応してしまう筈だ。


剣を家に置いて、大きなシャベルと種を保管する鉄カゴ、植物図鑑を手にしたパトリシアは誰がどう見ても"一見"花職人である。

ここで、彼女のステータスを見て頂こう。




「ギルドカード:ランクG

名前:パトリシア・ネイチャー

職業:花職人 LV.1

装備:白シャツ、ズボン、エプロン、ブーツ、シャベル、鉄カゴ、植物図鑑

適性:青魔法、黄魔法


体力:40

知力:20

素早さ:38

魔力:10

運:12


スキル:[品種改良]、[花鑑定]

ギフト:[剛腕]☆3

称号:少年、遺族」




…まだ完璧に脳筋。

そんじょそこらの駆け出し冒険者より、よほど強かった。

[剛腕]ギフトの影響と、これまで剣士として鍛えてきた筋力のせいで、"剣士"の職業補正が無くなってもこのような偏ったステータスになったようだ。

ちなみに、この世界での大人のLV.1体力値平均は30である。


転職後、ギルドカードを受け取った瞬間に顔を引きつらせた彼女を、誰が慰めるかで一悶着あったことを、ここに記しておく。

ちなみに結果としては、空気を読んだカウンセラーレナがなんとか彼女をフォローしていた。

絞り出した言葉は「どんな硬い土壌も掘り起こせそうだね!鉢も沢山持てるし、花職人向きだよ!」だ。

フォローとは一体なんだったのか。



各ギルドによるカード発行について、軽く説明しておこう。

まず、ギルドカードはどのギルドで発行申請をしても同じものが手渡される。

冒険者ギルド、商業ギルド、職人ギルドなど、所属ギルドの情報は全て一つのカードにまとめて記録されるのだ。

ギルドの重複所属も、能力さえあれば可能である。


パトリシアは、冒険者として使用していたカードを、今も身分証明のために身に付けていた。

これから先、花屋として店舗を構えた際には、ギルドカードには"冒険者ランクG""商人ランクG""職人ランクG"と記載されるだろう。

…冒険者のランクについては、転職した場合は以前のように戦えなくなるため、Gランクからやり直しとなる。

命を守るための措置なのだが、多くの者が転職をためらう理由の一つになっていた。




戦闘経験もあり、体力値とギフトが強力なパトリシアは、それこそ大抵の低級魔物なら今でもシャベルで倒せそうだったが、レナたちは油断せずに依頼人を守るための陣形をとっている。


3M級にまで巨大化したハマルにヒト族2人が乗り、その頭にリリーが腰掛けて索敵。

スライムは、ハマルが駆けた時に主人たちを落とさないようにと、彼女らの膝の上で大人しく控えていた。

いざとなったら触手ロープに変形して、2人をヒツジボディに縛り付ける役割である。


今回は狩りが目的ではないため、逃げることを考慮した配置になっていた。

レナの後ろにパトリシアが騎乗しているので、身体がしっかり支えられている主人は快適そう。

やはり、持って生まれた運動センスの差は大きい。



「うっわー…。

この居眠りヒツジの毛並みやばいなー。

超もふもふじゃん…」


「ふっふっふ。

ウチのハーくんの毛並みはきっと世界一だよ~?

とくと堪能あれ!」


『むー。

レナ様がオススメするならー、触ってもいいよー?』



親バカが炸裂しているが、ハマルもパトリシアをなんだかんだ主人の友人だと認めたようだ。

大して嫌がることなく、もふもふ毛皮を提供している。

先輩従魔たちも、以前よりもレナに優しく接するパトリシアを、嫌っていないらしい。

和やかな雰囲気で、一行はゆっくり草原を進む。


現在のとりあえずの目的地は、一番近場のレンゲの花畑だ。

道案内はリリーが[魅了]した虫たちが担当しているので、特に迷う事もなく辿り着くだろう。

これから先は、珍しい花のある穴場ポイントも見つけられるかもしれない。

パトリシアの花職人への道は、多くの仲間の手助けにより、かなりのイージーモードで幕を開けた。

ゴルダロたちは今は側にいないが、心の支えになってくれているはずだ。



様々な植物のタネを片っ端から集めることにしようか、と目的を決めたレナ達は、楽しそうにフラグ満載の会話をしている。



「んー、この辺りでよく見かける花は…チューレ、マリーゴールド、ツツジ、レンゲ、アザミ。

こんな感じだなー」


「へぇ。マリーゴールドも、野生の花なの?」


「おー。

元々は人の手が入った既成花だったんだけどさぁ。

運搬されてた種が草原に落ちて、野生化したんだって。

えっと、確か…花屋に売ってるものよりも花びらが小さくて、色も薄めの黄色なんだよ。

そうやって野生化して、長い間人が手を加えていない花は、私たちも[品種改良]出来るんだ。

既成の種が外にバラまかれて野生化すると、自然のバランスが崩れかねないから…私たち花職人は、気をつけて造った種を扱わなくちゃいけない。

落とさないようになー。

食虫植物の種が自然の魔力の影響を受けて、モンスターになった例もあるから」


「うわぁ…責任重大なんだ。

それで、頑丈な鉄のカゴを持ってるんだね。

ふふっ、やっぱり花について詳しいねー?」


「う。

…好きだったからさ、外に出るたびに野生の花を観察してたんだよ。

花屋で売ってる鮮やかな花も良いけど、野生花も味があっていいよな」


「そうだねー!

なんだか、見てるとほっこりするよね。

パトリシアちゃんは、どんなお花を創りたいの?

素材の元々の特徴を生かす感じかなぁ」


「まあ、色々試してはみるけど。

個人的には、小さめの素朴な花が集まって華やかに見えるものが好みだなー。

カスミソウとか。地味だけど好きだよ。

あとは…すぐ枯れないよう、頑丈な野草の遺伝子も入れたいと思ってる。

もし鉢植えも売り出すなら、病気や環境の変化に強くて、買った後の手入れもラクな花が好まれるからなー。

ベースを華やかな見た目の花にして、そこに、優秀な遺伝子を組み込むのはどうだろう」


「うん。

すごくいいと思うよー!

やっぱり、綺麗で強い花が理想だよねぇ。

そういう花が造れるよう、尖った特徴を持った野草をたくさん見つけたいね」


「だなっ!よろしく頼むぜ、リリー」


『…まかせて!私の従えた虫たちに、今日はいっぱい、頑張ってもらおうー』


「うん。

何言ってるか全然分かんねぇ。はははっ!

でも、手伝ってくれてありがとなー!」




…[運:測定不能]のご主人さまが特別な野生花のタネを望んでいる!

ラナシュ世界が、キラリと目を光らせた気がした。

乙女パトリシアがこれから先、どのような花を創り出すのか。

とっっっても楽しみである。



▽Next!野草の種を探そう

▽[品種改良]をしよう

読んでくださってありがとうございました!


花鑑定は全ての花の鑑定が出来るのではなくて、自分の創り出した新種の花のみ鑑定が可能です。

魔眼の一種ではありません。

さー、次回で種フラグを回収しなくてはね!(`・ω・)

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― 新着の感想 ―
[一言] は、花屋さんも割と力の必要な仕事だから(震え声)
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