Deprecated: The each() function is deprecated. This message will be suppressed on further calls in /home/zhenxiangba/zhenxiangba.com/public_html/phproxy-improved-master/index.php on line 456
人狼 in Death game ~あなたは『人狼』です。プレイヤー共を皆殺しにしましょう――――出来なければ、あなたが死にます~ - 第一章 28話 「嘘つき狼」
[go: Go Back, main page]

表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/57

第一章 28話 「嘘つき狼」



「――――助けてやろうか?」



 ナヤギから発せられたその一言に、トラは顔を上げる。

 唐突に降り注いだ希望。

 若干の安堵が顔に浮かんでいる。


「ほんと……すか?」


 疑いのまなざしを向けつつ、ナヤギの様子をうかがう。


 ナヤギは変わらず冷たい目でこちらを見下ろしている。

 再び、彼の口が開く。


「……今から俺の質問に正直に答えたら、お前だけは見逃してやる」


「ほんとに、ほんとですか?」


「答えるか、答えないのかどっちだ?」


 ナヤギはいら立ち、若干眉を狭めた。


「答えます! 答えるんで、殺さないで!」


 喉から声を絞り出し、トラは一筋の希望に縋り付く。


 彼の目を覗き込みながら、ナヤギは質問を始めた。

 深い闇に染まった目に、トラは背筋が凍る。


「……1つ、なんで俺を殺そうとした?」


「そ、それは、さっき言ったじゃないすか……! これ以上、先輩に殺される人をいなくするために――ぐぁっ‼」


 肩に鋭い痛み。

 トラの肩に足の甲を貫いたものと同じ型のナイフが刺さっていた。


「お前がそんな博愛主義者じゃないことは知ってんだよ。 次に、俺が嘘だと感じたら首を飛ばす」


 熱を発する剣先をトラの目の前に持っていく。


「わ、分かりました! 実は、人狼を殺したらレアスキルが手に入るっていう噂があって、先輩を殺したら手に入ると思ったんですよ」


「……じゃあ、なんでとどめをナツキにやらせた?」


「事前の打ち合わせで、止めをささない方が先輩の剣をもらえることにしていたんすよ! スキルは噂でしかないし、使えるかも分からないですから、もらえるなら剣の方がいいと思っただけです!」


 やはり自分たちだけのことしか考えてなかったか。

 予想できていたことだが、改めて元仲間の口から聞いたナヤギは、心の中で落胆していた。


「2つ、俺を捕えなかったのはなぜだ? 処刑台送りにすれば、レアスキルは間違いなく手に入るだろ」


 人狼を処刑すれば、レアスキルが手に入る。

 ゲームマスターのピエロが言っていたことだ。これなら確実にレアスキルがもらえる。

 なのに、トラたちはナヤギを捕まえずに殺そうとした。


「先輩を捕まえたとして、俺たちに処刑をさせてもらえるとは限らないっすから!」


「どういうことだ?」


「赤ずきんとかの人狼討伐ギルドが黙っているとは思いませんし、ここから王都まで輸送するにも他のギルドの手を借りる必要がありますから。 輸送中に裏切られたり、他の人狼に襲われたら、とかそんな危険を冒したくないですし!」


 危険を冒さずに利益を独占したいという、トラらしい考え。


「……最後の質問だ、俺が人狼であることを他に言った人物はいるか?」


「い、いません!」


 切っ先がさらに前にくる。

 チリチリとトラの顔の皮膚が焼かれていく。


「これは本当っす! ほら、他のギルドに話せば、先を越されるかもしれませんから。 メンバー以外に話していませんし、メンバーにも誰にも言うなって言ってあります! これからも言うつもりはありません!」


 納得できる回答。

 様子を見る限り、独占欲から本当に他のギルドには話していないのだろう。


 ナヤギは剣を下ろした。


「……行け。 二度と俺の前に顔を見せんな」


「ありがとうございます! ありがとうございます!」


 泣きそうな顔に、トラは安堵を浮かべる。


「早く消えろ」


「わ、分かりました!」


 急いでトラは立ち上がる。

 ナヤギに背を向けて、走り出そうとしたその時――――



「――――え?」



 背後から何かがぶつかった感覚。

 胸に違和感を覚えたトラが目線を下にすると、そこには白い刃。


 ゆっくりと振り向くと、暗い顔をしたナヤギと目があった。


「な、なんで……! 見逃してくれるって言ったのに……」


 顔を歪め、驚愕を露わにしたトラ。


 そんな彼に対して、ナヤギは先ほどと変わらない冷たい表情。

 ゆっくりとナヤギの口が開く。


「あれは、嘘だ。 ごめんな」


「なっ……!」





「だってしょうがねえよな――――俺は‘嘘つき’なんだから」



 トラが目を見開く。

 その瞳に映ったのは、悪魔の笑み。


「現実に戻れたら、墓参りくらい行ってやるよ」


「ああ……ああ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛‼」


 悲痛な叫びともトラは、光の粒となりはじけ飛んだ。





 天に昇っていく光の粒を遠い目で眺めながら、ナヤギはしばらく立ち尽くした。


「…………ハハ、ハハハ、ハハハハハハハ!」


 自然と口から漏れる笑い声。

 おかしくも楽しくもない空っぽの笑いが周囲に響く。


 自分自身に呆れて、蔑み、憐れみ、嘆いている。

 嘘をつき、信頼も得られず裏切られた。そして、保身のために皆殺しにした。

 どうしようもないほど、最低な人間。


「ハハハハハ……ああっ! クソッ! クソッ! クソッ! なんで……なんで、こうなるんだよ‼」


 激情に任せて、近くの岩を何度も蹴りつける。

 元仲間への怒りもあるが、それ以上に自分への怒りが大きかった。


 裏切られたのは、自分が信頼できる人ではなかったのだろう。

 説得できたかもしれないのに、それをしなかった。

 だから、せっかくできた居場所を失った。


 岩への八つ当たりが終わると、ナヤギは膝から崩れ落ちた。


「どうすりゃよかったんだよ……」



 ――――●限定(リミット)スキル≪嘘つき狼の切り札(ジョーク&ジョーカー)≫を修得しました――



 彼のつぶやきに、答えるかのように無機質な声が頭の中に響く。


 力のない指で宙をなぞる。

 メニュー画面を開き、そのまま修得スキル一覧へ。

 『嘘つき狼の切り札』の文字をタッチして、詳細を開いた。



「……ハハハ……そうか。 そうだな、もう二度と仲間なんて作らなければいい」


 




 ――――――――――――――――


 スキル名:『嘘つき狼の切り札(ジョーク&ジョーカー)』 

      (人狼専用・限定「1名」)

    Lv:-

   能力:自身以外のギルドメンバー全員が死亡した時に発動。メンバーが所持していたスキルを、選んで1つ修得できる。

 修得条件:自身以外のギルドメンバー全員をPKする。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 定番なろう小説じゃないとこ [一言] 心理表現や物語に違和感を感じない良作品
[一言] シンプルに面白い! 他の人狼がいつ出てくるのかとか、もう出てるのかなとか考えるとワクワクする!
[良い点] 主人公の性格が物語にいい味出してる+・`ω・´)b 主人公の心情描写が上手い [気になる点] 人狼以外のPKも出るんじゃないかなーっていうのと(SA〇とか他の作者さんのデスゲーム系のMM…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ