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猫ちゃんとキラキラを探して
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冬の童話祭2026

猫ちゃんとキラキラを探して

作者: 来留美
掲載日:2025/12/14

「シロ! ほらっ、キラキラだよ」


 僕はシロの大好きな、キラキラ光るボールを投げて遊ぶ。

 シロは投げたボールが、床や壁に当たってキラキラ光りだしたら追いかける。


 シロは小さくてまん丸な体をフリフリさせながらボールで遊ぶ。

 シロは僕の家族。


 僕の大好きなお兄ちゃん。

 僕よりも先にママとパパの家族になったからお兄ちゃんなんだ。


 シロは僕の傍を離れない。

 僕のことが心配なんだよ。

 トイレに行く時も、お風呂に入る時も、学校へ行く時も、ドアの前で僕を待つんだ。


 でも、今日は僕が学校から帰って来た時、ドアの前にシロはいなかった。

 シロは、シロのお気に入りの場所のソファにいた。


「シロ? 今日はお迎えしてくれないの?」


 僕がシロの頭を撫でるとシロは嬉しそうに、ゆっくりと尻尾を振った。

 元気がないシロ。


「シロ! ほらっ、キラキラだよ」


 僕がボールを投げると、壁に当たってボールはキラキラ光るのに、シロは追いかけない。


 ママは、疲れているんだよと言うから、今日はシロと遊ぶのを諦めた。

 でも、次の日も、また次の日もシロはキラキラを追いかけない。


「シロ? どうしたの? このキラキラは嫌なの?」


 僕がシロの目の前にキラキラ光るボールを向けると、シロはゆっくりと目を閉じた。

 やっぱり、このキラキラは嫌なんだね。


 だから僕は明日、学校が終わったらキラキラを探しに行こうと思った。

 友達にキラキラがどこにあるのか訊いてみると、大きな木の上にあるよと言う。


 大きな木といえば、学校の帰り道に通る神社にある。

 僕は一人で神社へ向かった。


 寒くても、怖くても、シロのためにキラキラを探すんだ。

 大きな木はたくさんの階段を上ったところにある。


 何度か休憩をしながら僕は階段を上った。

 どんどんと風が冷たくなる。

 暗くなり始め、怖くなる。


 風が吹くと、草木が音を立てる。

 誰かの叫び声に聞こえる。

 怖くて足が止まる。


 すると、階段の上から白い何かが下りてくる。

 近付くにつれて、その白い物が猫ちゃんだと分かった。


「あっ、猫ちゃん。こんにちは」

「こんにゃちは」


 猫ちゃんに挨拶をすると猫ちゃんが返してきた。


「えっ、猫ちゃんが喋った!」

「猫だって喋るよ」

「えっ、でも聞いたことないよ?」

「それは、聞こうとしてないからだよ」

「そうなんだ。シロの声も聞いてみたいな」

「シロ?」

「うん。僕の大切な家族なんだ」

「そうなんだね。ところで、どうしてこんな所にゃ一人でいるの?」

「僕、キラキラを探しに来たんだ」

「キラキラ?」

「大きな木の上にキラキラがあるって聞いたから、探しにきたの」

「へぇ~、ニャーも行くよ」


 猫ちゃんも一緒に探してくれるから、なんだか怖いのも忘れちゃった。

 シロの話をすると、猫ちゃんは僕を褒めてくれた。


 お兄ちゃんのために頑張る僕は偉いんだってよ。

 なんだか照れちゃったよ。


 やっと階段を上ったら、大きな木が僕の目の前に現れた。

 猫ちゃんと一緒に、大きな木の周りを回りながら、キラキラを探した。


 何度見ても、キラキラはどこにもない。

 せっかく来たのに。

 僕は悔しくて泣きそうになる。


「ねぇ、あれじゃない?」


 猫ちゃんが前足で差す方を見ると、キラキラ光る物があった。

 葉っぱの隙間からキラキラが見えるけれど、よく見えない。


「高いなぁ。取りに行けないよね?」

「ニャーが取りにゃ行ってくるよ」

「えっ、でも大丈夫?」

「うん。ニャーは猫だよ」


 猫ちゃんはそう言うと、簡単にキラキラの所まで木を登っていく。


「あったよ」


 猫ちゃんは手に取った後、すぐに僕に渡してくれた。

 僕が手に取ると、キラキラは光ってた。


 どんな形なのかも分からないほど光ってた。

 僕はキラキラをポケットに入れた。


「猫ちゃん、ありがとう。早くシロに見せなきゃ」


 僕はもと来た道を戻る。

 猫ちゃんも一緒に階段を下りる。


「あと一段で階段も終わりだね」


 僕が隣を見ると猫ちゃんがいない。


「ニャーはここまでだよ」


 猫ちゃんは階段の五段くらい上にいた。


「また、会えるよね?」

「うん、また遊びにゃおいでよ」

「うん、またね」

「うん、またね」


 僕は階段を一段下りて後ろを振り向くと、猫ちゃんはいなくなっていた。


 僕が猫ちゃんを探していると、ママが僕を呼んだ。

 すぐに振り向くと、ママが心配そうに僕の所に近寄って、抱き締めた。


「ママ?」


 ママは帰ってこない僕を探していたみたい。

 いつの間にかお空は暗くなって、キラキラ星が見えていた。


「ママ、シロのためにキラキラを探して、見つけたんだ」


 僕はポケットからキラキラを出すと、それは透明なビー玉だった。

 何で?


 ビー玉でシロが遊ぶわけないのに。

 何で?

 せっかくシロのために探したのに。


 僕は泣いた。

 ママは一年生の僕を抱っこしながら、家に帰った。


 ドアを開けるとシロが待っていた。

 僕はそれが嬉しくて悲しかったことも忘れた。


「わんっ」


 シロがキラキラ光るボールを口に咥えて、僕に渡してきた。


「遊びたいの?」


 僕はキラキラ光るボールを投げると、シロは追いかけた。

 シロは、キラキラ光るボールが嫌じゃなかったんだ。


 シロは楽しそうにしていたから、キラキラを探すことはしなくていいんだと思った。

 そして夜は、シロと一緒に眠った。


 シロは僕が寝る前に、顔をペロペロと舐めた。

 くすぐったくて僕は笑っちゃったよ。




 次の日の朝、シロはキラキラ光るボールを抱き締めて、シロのお気に入りのソファで永遠の眠りについていた。


 僕が目を覚ますと、ママが泣きながら僕に言ったんだ。

 シロは僕と遊ぶのが本当に好きだったんだって。

 ほとんど動かない体で、僕が帰るのを待って、最後は僕と遊んでくれた。


「シロ、ありがとう」


 僕はシロをギュッと抱き締めた。


 キラキラ光るボールが何もしていないのに光りだした。

 シロが僕に言っている。


「また遊ぼうね」

お読みいただき、誠にありがとうございます。

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