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コミ症ひきこもり魔女の底辺飯 - 引き篭もり魔女と遅れて来た参加者
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コミ症ひきこもり魔女の底辺飯  作者: 大空司あゆむ


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引き篭もり魔女と遅れて来た参加者

 

「続いて聖騎士(パラディン)勇者認定試験を行う。該当する候補者は前に」


 騎士団長が呼ぶと十五名の候補者が集まった。その中にぼくを助けてくれた一人の黒髪ロングの美少女。小桜弓美がいる。

 騎士となると人数が少ないし、小桜さん以外はパッとしないから彼女に確定かな?

 だけどそれを決めるのは勇者武器だから結果は分からない。


「それでは1番の者からこのパラディン勇者の盾とランスを装備してみよ。見事光り輝いたら合格だ」

「ふっ、悪いな、一番に決めてやるぜっ!」


 顔だけ立派なイケメン金髪騎士か意気揚々と盾とランスを装備したが、光らず落胆して引っ込んだ。その後挑戦者たちが試験に挑むが、いずれも弾かれた。

 そしていよいよ小桜さんの出番が来た。


「良しっ!」


 盾とランスの前に立った小桜さんは軽く気合いを入れるとすぐに手を伸ばす。


「ん……」


 すると触れる前に盾とランスが眩く光った。『う〜む悔しいが』コンビニ店内の照明以上の輝きだ。


「す、凄い……」


 騎士団長さんもこの光景に息を呑む。そして小桜さんが装備する前に右手をあげた。


「合格だ」

「えっ……」


 まだ装備してないのに認められ、本人も状況を理解出来ずキョトンとしていた。

 いかにも優等生って感じだったけど、流石異世界召喚者だ。


「『おおっすげーー〜ーーっ!!』」


 参加者たちは大盛りあがりで彼女を祝福した。一方ぼくは集団の隅で見ているだけだ。とても勝ち組を祝福する心の余裕はないよ。


「さて次はいよいよ真勇者認定試験を行うっ該当する勇者は前に出よ!」

「『…………』」


 しばし沈黙し参加者たちが騒めく。それもそうだ。該当する勇者ってそうそういない。そもそも勇者を探しているから、勇者になっていたらこんな試験は受けてないよ。

 それでも王都認定なら箔がつくな。


「ハイッ!」


 すると黒髪イケメンの剣士が手をあげた。

 彼はぼくを助けてくれたもう一人の恩人だ。


「ほうっ、真勇者試験を受けるたった一人の試験者か……名は鷹城真人。彼もまた異世界召喚者か」

「スゲッ勇者候補の異世界召喚者ならひょっとしたらひょっとだな?」


 冒険者の一人が言った。まぁ彼が言うように鷹城さんに決まりだろ。


「では真勇者盾と鎧と剣を装備してみろ」

「ああ、分かった」


 真勇者となると三点セットの装備だ。まぁ鎧は重装備ではなく胴体部分だけだな。それでも白銀のプレートに金のレリーフが施された立派な鎧だ。

 そして彼が触れるとまた光り輝いた。


「『おおーーっ!?』」


 冒険者たちが感嘆の声をあげた。

 なにせ2回続けての奇跡だし、これこそ真勇者の誕生を目の当たりにしたのだからね。

 でもぼくは見ているだけだ。


「フッ、流石だな」


 騎士団長がニヤリと笑うと右手をあげた。


「合格っ」

「えっ……まだ装備してないんですけど……」

「馬鹿者っ合格だ。なんだ判定結果に不服か? この私に恥をかかすな」

「……あっ、はい」

「『おおーー〜ーー!』」


 今日一番の歓声だな。

 ぼくは思わず両手で耳を塞いだ。


「さてとりあえず装備してみろ」

「あっ、はい……」


 困惑気味の鷹城が盾と鎧と剣を装備した。するとより輝きが増した。


「すっ、凄い。本物の勇者様だ……」

「うおおっすげーーっ!! 彼は俺らの希望だ!」

「『おおーー〜ーーっ!!』」


 誰かが感想を言うと皆がうなづき叫んだ。気持ちは分かるがうるさい。ぼくはまた耳を塞いだ。


「うむ、真勇者の誕生の瞬間に立ち会えて実に光栄だ。さて最後の魔法使い勇者認定試験を行う。該当者は前へ」

「『…………』」


 緊張気味な表情を浮かべた魔法使いたちが前に出る。ぼくを含めて総勢40人程と数が多い。パッと見際立ったオーラ持ちはいないし、制服姿の異世界召喚者も見当たらないから、ぼくが有力候補かな?


「集まったか……んっ一名欠席か……まぁいい始めるぞ」


 どうやら一人欠けてるみたい。まぁライバルが減って好都合だ。

 さて試験が始まった。用意された魔法使いの武器は立派なロッドただ一つだ。まぁ防御魔法張れる魔法使いに盾は不用か……んで皆落とされていった。


「うむ、次っ35番っピピス・プシー前にへ」


 ようやくぼくの番だ。

 フードを被った人見知りのぼくがいよいよ皆の注目を集める時が来たな。


 ぼくが前に進むが皆無反応だった。それはそうだ。今までダンジョン内で引き篭もっていたから。

 手を伸ばす。

 だけど無名の日々は今日で終わりだ。


「む……!」


 ロッドに触れる寸前一瞬光った。

 やはりぼくが……。


「待てい!」


 ぼくを呼び止める声。

 厳格だが幼い女の人の声だ。

 ぼくは見あげた。

 声は真上から聞こえたからだ。


「お!」


 ぼくの真上に、ホウキにまたがった白いローブを羽織った前髪を切り揃えた金髪ロングの少女が、ぼくを見おろしていた。


「……まさか貴女様はっ!?」


 ホウキの少女を見た騎士団長が驚くって、よほどの有名人か?


「わけあって遅刻した」


 ホウキの少女がゆっくりと降下する。立ちあがる際、ホウキを得意げに左手で握ると騎士団の顔を見てから口角をあげた。


「これはコレは大魔法使いライゼル様っお待ちしておりました」

「『おおーーっライゼル様だあぁぁっ!!』」


 相当有名人らしく冒険者たちが歓声をあげた。また耳を塞いだ。これで最後であってくれ。

 しかし11歳位の少女にしか見えないけど大魔法使いか……ぼくも負けてない。


「ところでワシの番は?」


 幼い顔して一人称が『ワシ』とは……ロリババアですか?

 しかし本当知らない有名人だな。

 ちょっと引き篭もり過ぎたか……。


「ええっと……もっ、申し訳ございません。ラ、ライゼル様は9番でもう順番が過ぎております」

「そうか……なら」


 なにか考えたライゼルがふと振り向きぼくの顔を見た。そして近づき肩に触れた。


「ワシに先を譲れ」

「なぬっ……」


 ぼくは目を丸くした。

 せっかくロッドが一瞬光って合格の可能性が出ていたのに、まさかの実力者の横やりが入った。

 そう物ごとは上手く進まない。


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