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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている - 69
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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


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 ミヨリは周りを包囲してきたオオグモの群れを見ながら、どうしたものかと考える。


 綾乃と玲奈は慎重になっているが、さっきのデーモンナイトと天使との戦いはとても盛りあがった。いい感じだったボス戦の直後に、ザコモンスターたちを相手にしても盛り下がるだけだ。


 ここで長々と戦っても、配信を見ている視聴者はダレてしまう。


 ということで、ミヨリはすみやかに片づけることにした。


 人差し指を立てる。その指先がバチッと弾ける。


 バチバチバチバチッと、青白いスパークが発生する。


:……え? ミヨリちゃん?

:なんだか指先がバチバチいってない!

:電撃が弾けてる!

:おいおい、まさか……!


 ミヨリが指先に電撃を生じさせると、近くにいた綾乃と玲奈は面食らっていた。


 二人が何かを言おうとしたけど、それに先んじて頭上を指差す。


「ばちん!」


 指先から稲妻が打ちあがる。頭上で閃光を弾けると、稲妻は分散していき、無数の落雷となって降り注いだ。


 落ちてきた稲妻に打たれたオオグモは木っ端微塵になり、地面に焼け跡を残す。


 部屋の到るところで稲妻が降ってきて、オオグモの群れが次々と打たれていった。慌てて逃げ惑うオオグモもいたが、逃げた先で稲妻に打たれて粉々に吹っ飛ぶ。かといって動かないままでいても、降ってくる稲妻にその身を破壊される。どこにも逃げ場はなかった。


 巻き起こる万雷によって凄まじい炸裂音が絶え間なく響き、オオグモの群れが殲滅されていく。


 もちろん三台のドローンカメラや綾乃たちには当たらないように、ミヨリは注意を払う。

 

「うひゃああ!」


「ウソだろ……」


 しかしミヨリの気づかいとは裏腹に、綾乃も玲奈も目の前で起きている光景に竦みあがっていた。


:なんだなんだ! どうなってんだこれ!

:ミヨリちゃんが上を指差したら、稲光が弾けてそこらじゅうで落雷が起きはじめた!

:雷魔法まで使えるのかよ!

:周りに落雷が落ちまくってる!

:こええええええええ!

:すごい大きな音が鳴りまくってて耳痛い!

:どんなに天候が悪くてもここまでひどくはならないぞ!

:ファイアーボールと同じで威力とスピードがおかしい!

:ガチでミヨリちゃん災害そのものやんけ!

:ムラサメちゃんが雷におびえる小動物みたいになってる!

:そりゃ間近で何発も雷が落ちまくってたら小動物になっちゃうだろ!

:小春ちゃん気絶したままでよかったな……

:「ばちん!」はダンジョンブラッドで黒野スミレが雷魔法を使うときのセリフだ!


 十秒もかかることなく、集まったオオグモの群れを万雷の嵐によって一掃する。辺り一帯が黒ずみだらけになって、焦げ臭さが鼻をついた。


「今のは見てわかるとおり、雷魔法だよ」


 自分のドローンカメラを見あげながら、ミヨリは微笑んで解説する。「ばちん!」が黒野スミレの真似だと気づいてもらえてうれしい。以前よりも多くの人たちに、ダンジョンブラッドが浸透しているようでよかった。


:「雷魔法だよ」じゃないよ!

:当たり前みたいに言われても、まったくわからん!

:見てもわかんないよ!

:雷魔法ってレベルじゃねぇだろこれ!

:こんな災害級の落雷をいともたやすく引き起こす雷魔法とかおかしすぎる!

:クモの群れが秒で消し去られて俺らポカ~ンなってる……

:雷魔法ってなんだっけ?

:これもう雷魔法という名の別のなにかだろ!

:ふぇぇぇぇ~! ミヨリちゃんしゅごしゅぎだよぉ~! どうしてそんなカワカワなのにつぉいのぉ~。……あっ、やば……すピ……! すピピピピピピピピピピピピピピ!(先生)

:先生がとろけそうになってよだれ垂らしてるよ(大親友)

:とろけるなwwww

:先生までよだれ垂らしたかwwww

:部室がよだれまみれにwwwww

:先生もう推しの活躍見すぎて壊れちゃってるだろwwww


 どうやってオオグモを殲滅したのか解説したけど、視聴者たちには納得してもらえなかった。むしろ、困惑がひろがっている。


 釈然としないが、コメントは爆増していて盛りあがっているので、ミヨリはこれでヨシとする。


「ここからは、誰も踏み入ったことのない未知の階層だね。ワクワクするよ。冒険はこうでなくちゃね」


 ミヨリは未到達の階層を攻略することに、意気込みを見せる。


 だけど、石像みたいに硬直していた綾乃がハッとして声をかけてきた。


「ちょっと待てミヨリ! わたしたちは一気に下層まで落ちてしまった! いまは緊急事態だ! 小春だって気を失っている! ここは引き返すことも視野に入れるべきじゃないか?」


「言われてみれば、ショートカットできてよかったと思っていたけど、途中の階層をじっくり配信できなかったのは残念だったね」


「……なんで会話が成立しないんだろう……」


:ムラサメちゃん困ってるwwww

:ミヨリちゃんとの会話失敗wwww

:これだけ一緒に行動してるのに会話できないことってあるんだなwwww

:どんなに必死に訴えてもミヨリちゃんには届かないwwww

:ムラサメちゃんの言うとおり、ここは撤退するのも一つの手だ!

:ダンジョン攻略において慎重であることに越したことはない!

:深いところまでもぐってしまって、地上に戻れないパターンとか最悪だからな!

:小春ちゃんも気絶しちゃったしねwwww

:ミヨリちゃんがいれば、指輪集めなくてもまた何度だって再挑戦できるよ!

:今回の配信は『常闇の迷宮』を踏破するのが目的だったけど、誰も来たことない階層まで来られたんだし、それだけでもすごいことだ!


 流れていくコメントに目を通してみたら、視聴者たちが撤退することも考えるようにと伝えてきていた。


 ミヨリとしては、玲奈にしつこく勧誘を受けるのは億劫なので、今日中に心残りを解消してもらって終わりにしたい。


「玲奈さんは、どうしたいですか? わたしは進んでも問題ないと思いますけど」


 ミヨリが放った雷魔法を目にして、呆然と立ちつくしていた玲奈だったが、質問を投げかけられてビクリとする。


 玲奈は唇をきつく結ぶと、綾乃のことや、気絶している小春、それにミヨリの顔を見てくる。思考をめぐらせて、悩んでいるみたいだ。


 そして自分の心と向き合うと、玲奈は答えを口にする。


「ここからは未知の階層だ。出現するモンスターの情報はない。対策を立てることができないから、危険度は跳ねあがるだろう」


 慎重を期するなら、地上に引き返すべきだ。そのことは玲奈も重々承知している。


「それでも、わたしは先に進みたい。かつて仲間たちと攻略できなかったこのダンジョンを、最後まで踏破したい。もう後悔しないために、わたしはここに来たんだからね」


 玲奈は自嘲するように笑うと、胸のなかにある想いを吐露した。またここに来ることを、ずっと願っていたから、引き返したくはないと。


「他力本願で情けないが、ミヨリくんがいればなんとかなると思っている。それが探索者としての、わたしの判断だ。ミヨリくんのそばにいるのは心臓に悪くて、綾乃たちにも苦労をかけてしまうが、これほど安全な場所は他にない」


 ミヨリがいれば、どんな不可能も可能にできる。信頼のこもった眼差しでミヨリを見ながら、玲奈はそう言った。


:代表えらい!

:代表ビビってるけどがんばってる!

:代表の覚悟に感動したよ!

:ムラサメちゃんは何かを諦めた顔してるなwwww

:もうSAN値がやばいからねwwww

:なんだったら一人はもうSAN値が限界突破して気絶してるwwww


「玲奈さんが、先に進むことを決断してくれてよかったです」


 それでこその冒険だ。ミヨリは口角を持ちあげて微笑む。


「心配しなくても、最深部まで行けそうだから大丈夫ですよ。それに黒野スミレちゃんなら、下層まで落とされても引き返すことはしない。どんな地獄が待っていても、先に進むはずです」


「あ、あぁ……」


:いきなりゲームの話されて代表が戸惑ってるwww

:相変わらず黒野スミレへの信頼感がすごいwwww

:【注意】ミヨリちゃんの一方的な幻想ですwwww

:アビスソフトさんから「無茶はしないように」って注意されてたのにwwww

:あれはアビスからの隠されたメッセージで、真の意図は別にあるとミヨリンは読んでいるwwww

:アビスからの情報をそのまま鵜呑みにしちゃいけないwww

:なんでだよwwww

:そのまんまの意味なんだから素直に受け取れよwwww


「玲奈さんが行くというのなら、やるしかないですね」


 玲奈の言葉を聞くと、綾乃は心身に気合いを入れ直した。どこまで役に立てるかはわからないが、最後まで付き合うことを決意をする。


 綾乃も賛成してくれたので、方針は決まった。このまま最深部を目指す。


 すぐにでも先に進みたいところだが、問題があった。


 ミヨリは気絶したままの小春を見下ろす。まだ目覚めそうにない。かといって、このまま放置することもできない。


 綾乃と玲奈も困ったように、倒れた小春を見ていた。




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― 新着の感想 ―
まあよのなか 想定を超えたバグがあることもある
アビスソフトの中の人達配信の度に胃薬飲んでそうだし お前達が生み出した化け物だぞ、なんとかしろと責められてそう
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