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聖女は世界を救わない - 55
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聖女は世界を救わない  作者: 大木戸 いずみ


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「……助けるつもりはなかったんだよね」


 私は一拍置いて、小さくため息をつきながら体を伸ばす。そして、更に言葉を付け足した。


「助けなんて呼ばずとも、あんな連中たちから逃げ出す方法はいくらでもあったでしょ?」


 品定めするように私はミミのことをじろじろと見つめていた。ボロボロの汚い服に、髪も乱れていた。ただ、真っすぐ私を向く目だけは美しく気高いものだった。

 

「……今の私には何の力もないの」

「どういうこと?」


 私はミミの言葉に思わず眉間に皺を寄せた。

 あのスネークマンが人間より弱いなんてありえないもん。……けど、安宿で実際に見たミミは抵抗することもなく殴られていた。……スネークマンに関する本が間違っていたとか? ……いや、そんなわけない。

 私が頭の中でぐるぐると思考を巡らせていると、ミミが口を開いた。


「まだ覚醒前だから」

「…………カクセイマエ?」

 

 スネークマンに関して新たな情報じゃん……。

 固まったまま言葉を発する私にミミは丁寧に説明してくれた。


「私たちスネークマンは従者の種族。主を見つけ出し忠誠を誓い、仕えることで力を得る。主に従うことで強くなるということです。我々は主を裏切ることは許されない。契約に反することに」

「え、ちょっと、まって。じゃあ、かつての王がスネークマンの脅威に震えて、殲滅命令を出したっていうのは……!?」

「当時の王がスネークマンという存在をちゃんと理解していなかっただけです。私たちは決して「主」になることはないし、その座を狙うこともない。その代わり、力が与えられるんです」


 ……なるほどね。権力者の愚かな判断って聞くに堪えない。

 あれ? なんかさっき、しれっと忠誠を誓われていたような……。


「それで、まだ主は見つかっていない?」

「……ようやく見つけました」


 やっぱり私じゃん……!!

 ミミは一片の曇りなき目を私に向ける。思わず私は頭を抱えて「なんてこったい」と声を発した。

 スネークマンに会えたのはものすごく嬉しいけど、彼女の主になるのはまた話が違う。私には責任感とかそういうももは一切ない。一人で自由に生きたいの……!!


「なんでそんなに嫌そうなんだよ」


 レイが私とミミの会話に割り込んでくる。

 逆になんで嫌じゃないの?

 そう聞き返したかったけど、またレイと言い合いになるのが面倒なので飲み込んだ。


「守るべきものが増えるってことだよ?」

「お前が守られる対象だろ」

「馬鹿ね」


 私は呆れたようにレイを睨んだ。

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