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凡人は正々堂々を捨てた - 42
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森に入った瞬間、僕は首をかしげた。


「……いや、魔物の数、多すぎない?」


盗賊団が前来たのせいか、ゲートが少し開いた影響かはわからないけど、明らかにいつもより魔物が多い。

それでも、前よりは落ち着いて対処できるようになったのは――


「油魔法、なんか……前と違う」


一匹目のスライムに向けて油を撃った時だった。

前は“ボタッ”って感じの、しょぼい油玉だったはずなのに……今日は妙に鋭い。


試しに、魔力の通し方を変えてみた。

油の通り道をぐっと細く絞るイメージで。


すると――


「うおっ!? 速っ!」


シャッ!!


細い油の弾が高速で飛び、奥のスライムをそのまま貫通した。

水鉄砲じゃなくて、もう“油ライフル”だこれ。


「……まじか。

 ゲートの影響? 威力、なんか強くなってない?」


完全に調子乗ってるテンションだったが、実際すごい威力だった。


次に狼型の魔物が三匹ほど飛び出してきた。

これも試し撃ち。


左手を細く絞ったまま――


シュン!


一発で一匹の頭を貫通。

残り二匹には油を広範囲に撒き散らす従来型で対応。


「着火ッ!」


火打石で火をつけると、油は瞬時に燃え広がり、二匹の狼魔物はたまらず倒れた。


「……使い分けできるの、便利すぎるんだけど」


細射=貫通

広射=着火スプレー


これ、もう僕の油魔法、普通に冒険者できるじゃん!



森の奥に進むほど、魔物はさらに増えた。

それだけじゃない。


「……足跡?」


巨大な足跡。人間じゃない。

そして、地面にえぐれたような跡。


「いや、誰か先に行ってない?

 盗賊団とか、魔物とか……まじでやめてほしい」


先にエルフの村が襲われてたら、恩賞どころじゃない。

僕の計画が崩れる。


(いやいや、ダメだ!

 報酬のためにも、絶対に先に行かなきゃ!)


焦りも混ざりつつ、僕はさらに足を速めた。



やがて、森の奥に“光”が見えてきた。

それはただの陽光じゃない。

人工的な光。

誰かが放つ魔法光か、炎か――


その先が、エルフの村の入り口だ。


「よし……ここからが本番だな」


胸の高鳴りを抑えながら、僕は村の方へと踏み込んだ。

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