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豚貴族は未来を切り開くようです ~二十年後の自分からの手紙が全てを教えてくれました。どうやら俺はこのままでは婚約破棄され、廃嫡され、完全に人生が詰むようです。なので必死にあがいてみようと思います~ - 最後の一撃
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最後の一撃


 マーロンが放つ光魔法、コンヴィクトソード。

 一直線にしか攻撃できないという制限こそあるものの、その速度と威力はたしかに脅威だ。


 故にヘルベルトは前に出る。

 相手の攻撃を逆手に取るために。


 コンヴィクトソードはその性質上、真っ直ぐにしか攻撃をすることができない。

 またこれを使用している最中は魔法の制御に高度な集中力を要するため、マーロンの動きはどうしても単調なものになる。


 ヘルベルトはアクセラレートを使い、マーロンへ近付いていく。

 マーロンはそれを光刃で迎撃しようとするが、上手く狙いをつけることができない。


 ヘルベルトの移動スピードにマーロンは早々に迎撃を諦めた。

 彼がコンヴィクトソードの発動を終えると、ヘルベルトはそれに合わせてアクセラレートを解く。


「フレイムランス!」


 コンヴィクトソードを使うためには精神集中が必要のため、呼吸を整えようとするマーロンの意識を、ヘルベルトは中距離魔法を飛ばすことで妨げた。


 再度接敵、激突。

 これほどの近距離で戦えば、コンヴィクトソードは使えない。


「うおおおおおおおおっっ!!」

「はああああああああっっ!!」


 みるみるうちに傷が増えていく。

 けれどそれらの傷は、瞬き一つの間に消えていく。


 まるで手品にしか見えぬ芸当が続く。だがもちろん、種も仕掛けも存在する。

 魔法の連続行使。


 遠ざかれば遠距離魔法を、近付くために魔法で加速を。

 傷ついた故に魔法で回復を。一旦距離を取るために敢えて範囲の広い攻撃魔法を。


 剣と魔法。

 攻撃手段の取捨選択。


 火が肌を炙り、水が身体を貫き、土が移動を妨げ、風が不可視の刃となって襲いかかる。


 剣が交差する。

 高速で放たれる剣技の応酬は、観客達達から余裕すら奪っていく。


 戦いは激しくなり、とうとう癒えぬ傷が現れ始める。

 赤い打撲痕は痛々しく、裂けた皮膚から流れる血が地面にこぼれていく。


 ヘルベルトとマーロンだけではない。

 それを見守る観客達までが、呼吸一つを、瞬き一つを惜しんで食い入るように試合を見つめている。



「ヘルベルト……」


 食い入るように投影された映像を見つめているのは、彼の婚約者であるネル・フォン・フェルディナントだ。


 彼女は目に涙すら浮かべながら、二人の激闘を見つめている。

 なぜ瞳が潤むのか、その理由を説明することはできそうになかった。


 彼女の父である侯爵はそんな様子のネルに何か言いかけてようとしたが、その直前で妻に腕を引かれて思いとどまった。



「……」


 そこから少し離れた場所で、ヘルベルトの弟であるローゼアも試合を見つめている。

 ヘルベルトが歯を食いしばりながら血を流すその姿を見て、ローゼアの兄をバカにしてやろうという気持ちは消え失せてしまっていた。


 めまぐるしく魔法が飛び交い、その間すら惜しむかのように剣戟が続く。

 闘技場のステージがめくれ上がる。

 二人の応酬の余波が観客席の方にまで飛びかけるが、そこは事前に準備をしていた魔法使い達が抑えてくれていた。


「…………れ……」


 かつてを彷彿とされる兄の姿。

 何よりも誇れる理想の兄だったかつての姿。


 紆余曲折を経て長い時間はかかったものの、そんな兄の成長した姿が今目の前にある。

 それを見たローゼアは、気付けば拳を握っていた。


「頑張れ! ――兄さんッ!!」





 皆が見つめる中、激しい攻防は続く。

 攻守が逆転し、一撃が肌を打ち、傷は癒えても内側にはダメージは通っていく。


 結果として、ヘルベルト……ではなく彼が持つ剣にガタが来た。

 そしてそれからすぐ、マーロンの持つ模造刀も柄を残して消えた。


 近距離で魔法戦をするのは、自分達の望むところではない。

 今の二人が望んでいること、それは――全力を出した目の前の好敵手を、己の全身全霊で打ち破ることである。


 気付けば二人は後退し、ステージの端に寄っていた。


 交差する視線。

 言葉にせずとも、お互いとも限界が近いのがわかった。

 恐らくは次の一撃が、最後のものになるだろう。


「……」


 シン、とした静寂。

 誰もが言葉を失い、物音一つだそうとはしない。


 ヘルベルトとマーロンには、お互いのことしか見えていなかった。

 彼らは今の自分が使える最大の一撃を放つため、魔法発動のための精神集中を始めた。


「すうっ……」

「ふうっ……」


 深呼吸するヘルベルトと、瞑想をするマーロン。

 二人の全身から、膨大な魔力が吹き上がる。

 魔法発動の際に身体から漏れ出る魔力だけで、思わず息が詰まりそうな濃密さだった。


 渦、渦、渦。

 魔力に煽られる形で、ステージの砂が巻き上がっていく。

 とぐろを巻く砂嵐の中心には、その影響を受けぬ二人の姿。

 二人とも、一心に精神集中を続けている。


 一瞬にも永遠にも思える時間が過ぎてゆく。

 するとピタリ、と周囲で渦を巻いていた砂嵐が消える。


 観客にも露わになった二人は目を開き、お互いのことを見つめていた。

 そして――。


「――オーバーレイ!」

「――アンリミテッドピリオド!」


 己が放つことのできる最高の一撃同士が、激しくぶつかり合う――。

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