第65話 追撃戦=ボーナスステージ
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感想・評価いただくたびに、やったぜと喜んでいます。
楽しんでもらえてるんだなと実感が沸きます。
誤字報告も助かっています。本当にありがとうございます。
豪風「みなさまー(天下無双)」
※前話の一部文章につきまして鋭いご指摘をいただいたので、より作品らしい表現になればと修正しました。
(編集前)
つまり、乗ってるパイロットが二人とも優秀だった場合。
それも、技能レベルをしっかり3に上げ、ステータスも十分に鍛えてあった場合。
↓
(編集後)
本来は力不足のキャラでも乗せやすくするための補助システムだったんだろうが、実のところ、このシステムが真価を発揮するのはパイロットが二人とも技能レベル3だった場合だ。
その場合、諸々の計算の先で算出される最終的な数値は“4”になる。
技能レベル4相当。
その突出ぶりは、これまで何度も語ってきた通りだ。
この上、鍛えに鍛えたステータスの暴力まで加われば……。
より分かりやすく、よりこの作品らしいヤバさの説明になったと思います。ありがたいご指摘でした。
それでは、改めまして本編もよろしくお願いします!
「ピギャアアアーーーー!!」
「ブルッヒヒ~~~~~ンッッ!!!」
「GOGYAAAAAーーーーーーーッッ!!」
「ひぃ……やっはぁぁぁーーーーーーーッッッ!!!」
追撃戦だ!
「マルチロックミサイル。全弾命中しました」
『ヒュウッ! サッスガ終夜ダ! 位置取リ完璧ジャネーカ!』
「……よしっ!」
2発目のミサイルをブッコみ終えて、豪風は地を這うように伏せていた。
もちろんそれは、次の動きへ繋げるための予備動作で。
「ミサイルパック、パージします」
姫様がそう言うのとほぼ同時に、打ち終えた空のパックを両肩から射出する。
ズンッ!!
コンクリートの上に落ち、重苦しい音を立てて跳ねるそれを見返すこともせず――。
「跳ぶぞ」
――俺たちはさらに前へと、跳び出した。
※ ※ ※
人類&精霊VS侵略者。
20年以上も続く長きに渡る戦いの、その本質。
それは、ナワバリの奪い合いである。
(幽世の門から現れたハーベストは、自軍の支配領域を広げるべく、そこに特殊な楔を打ち込んでいく。それらは浸食度が高まれば高まるほどに規模を拡大し、打ち込む楔も杭から陣、祭壇と変わっていき、その結果、新たに門から現出するハーベストたちも強く、多くなっていく)
直接のドンパチだけでなく、これらマーキングへの対処も戦いでは重要になる。
いくら敵を殲滅したとしてもこれを放置していたら、そこから新たな敵勢力を呼び込んで、現世を蝕まれてしまうのだ。
とはいえ。
それらマーキングに対処する上で、敵の存在はやはり邪魔だ。
こいつらがウロウロしてたら、おちおち対応なんてしてられない。
何より直接危害を加えてくるのがこいつらなのだから、潰すに越したことはないのだ。
(……そのための殲滅。そのための精霊殻ってワケだ)
サークルやキューブくらい目立つ奴なら物理的に破壊するってのもあるが、基本は機動歩兵の領分だ。
精霊殻の役割は、とにかく敵を殲滅し、相手方の陣地を無防備にすることにある。
そこで今回の、六牧司令からの頼まれ事。
『黒木君。この先の敵陣ど真ん中まで切り込んでって、そいつら殲滅できない? 言い訳はこっちが適当にでっち上げるからさ』
渡りに船だった。
ヒーロー登場までに人類圧倒的優勢まで持っていきたい俺としては、倒せる敵の数が増えるのは大歓迎である。
特に今回は防衛戦ではなく攻略戦。
敵の殲滅に加えて後々の湧き潰しもできるってんだから、やらない手はない。
そのためだったら、貯め込んだ装備を使い尽くすのだって構いやしないのである!
「姫様、次のターンだ。タイミングはこっちで伝える。いいな?」
「はい。贄はいつでも貴方様の為したいことに使われます」
『MAP、出スゼ!』
跳び出す。
何度目かの建物越えをした先。
そこにあったのは――。
「GIYAAAAーーーー!!」
「シャアアアッ!!」
「グルォァァァァァーーー!!」
――お宝の山だ!
「っしゃあ!」
ミサイルパックを外した分身軽になった機体で、大きく跳躍して躍り出る。
夏の昼空を背景に、太陽を浴びて宙を舞う。
「姫様! 準備を忘れるなよ!?」
「はい」
敵陣ど真ん中に飛び込む。
周囲はぐるりと、敵、敵、敵だ。
だが、まだ足りない。
「グバオォォンッ!!」
「おおっと!」
キマイラのブレスを回避して、豪風を走らせる。
「シャギャアアッ!!」
「GAOOON!!」
「よっ、ほっ、どらっ!!」
「ゴブギャッ!?」
次々と迫りくる敵の攻撃を掻い潜り、通りすがりに邪魔な小物を蹴り飛ばす。
『ウオオオオー!』
「しっかり見とけよ、ヤタロウ!」
彼我の戦力比、1対30。
圧倒的密度で押してくる爪を、牙を、火球を、吐息を。
先読みとキャンセルを駆使して紙一重で切り抜けていく。
「シャギャアアア!!」
「グォォーーーーーーーーー!!!」
突出してきた豪風を潰そうと、戦場からどんどん敵が集まってくる。
回避特化でフリーハンドにしている機体のパンチとキック、轢き潰しだけじゃ、到底対処できない数になる。
『終夜! ソノ角ノ先、別ぐるーぷダ!』
「終夜様、これ以上の密集にはリスクが伴います」
1対48。
「まだだ、まだまだ足りない!」
1対50!
このくらいの量、夢の戦いに比べたらそーめんみたいなもんだぜ!
「まだまだ、まだまだーー!!」
『グェェ!? ヤバヤバヤバヤバ!』
「これが……これが終夜様の、領域……?!」
もちろんこれは、ただのやけっぱちな突撃なんかじゃあない。
これこそが最適解で、これこそが最大効率の戦略だ。
「終夜ちゃ~ん! 湧いたドラゴンがそっちいったよーーーー!!」
「よっしゃラッキー!」
「ラッキー!?」
タマちゃんからの緊急通信。
そしてヤタロウレーダーで捉える大きな敵影。
(1対……70! ここだ!)
最大捕捉!
時は、来た!
「姫様! 6ステップ後にバックステップして跳ぶ。そのタイミングで頼む」
「っ! はい……!」
指示と同時に上体捻り。
ゴーレムのパンチを回避して、振り向き際の裏拳で、背後に迫るキマイラの横っ面をぶん殴る!
「グボギィァッ!?」
「跳ぶぞ!」
バックステップ。
かーらーのー! 前方跳躍!
「グルオォォォーーーーーーーーーー!!」
急降下してきたドラゴンの一撃を躱し、跳び上がる!
「……ヒュゥッ!」
高く舞い上がり、見下ろす大地にひしめき合うは、うじゃうじゃ蠢くハーベスト。
密集してるところにドラゴンが来たもんだから、動きが乱れ、わたついて。
(悪いな。チェックだ……!)
確信する。それとまったく同じタイミング。
「――精霊纏い……!」
俺の先行入力とは別に、姫様が行なう超常能力の行使。
複座型で、ゲームじゃないからこそできる、移動と装備変更を同時に行なう合わせ技。
瞬間。
ズシンッ!
豪風の両肩に確かな重み……新たな弾満載のミサイルパックが装着されて。
「3ステップ!」
「はい。マルチロック……完了しています」
その先。
時間にしてほんの、入力したアルファベット3つが処理される時間を越えて。
「悪いが装備の故障は期待するなよ? うちの整備士は唯一無二なんでな!」
「マルチロックオンミサイル……発射!」
3度目の。
殲滅の嵐が巻き起こった。
・
・
・
「――これで、最後のマーキングも破壊……完了~! おっつかれ~!」
「俺たちの、勝利だ!」
乃木坂君と木口君からのこの報告で、戦いは終わった。
「おーっほっほっほ! 私たちの手にかかればこの程度、楽勝ですわー!」
「さすがですお嬢様」
「黒木くん黒木くん黒木くーん! 私も頑張ったよー!」
「終夜様。今日もまた、人類が一歩、勝利に近づきましたね」
集合した俺たちは、毎度毎度のワチャワチャで。
ヴンッ!
「こらっ! 黒木! 終わったんならさっさと帰ってこい! このボクたちが待っているのだぞ!」
「全員無事? ……そう。ならよかった、気をつけて帰ってきなさいね」
リンカー越しの通信も受けながら、みんなで勝利を分かち合っていた。
そんな俺たちから、ちょいとばかし離れた場所で。
「……信じられない。これが、勝利ですって?」
機体から降りた本隊の総大将さんたちが、ポカンと俺たちの戦いの跡を見つめている。
「敵の総数……300はいたのよ? しかもドラゴンまで……何体いたと思ってるの?」
「森高……」
そこにはもう、侵略者たちの姿はなく。
ただ静かで、ボロボロだけれど健在な。
かつて人々が生き紡いできた、人の領域がそこにはあった。
「こんなの……こんなの奇跡としか、言いようがないじゃない」
2019年9月。
日ノ本軍は、芦子北の地をたった1日で、侵略者たちから取り戻した。
豪風くんの両肩部ミサイルポッドはパージして身軽になることもできます(えらい)
突撃→ミサイル→パージ→撤退 は王道コンボだったそうです。
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