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【第二章終】耳兜の冒険者~あいつに聞かれるな・目を合わせるな・関わるな~ - 耳兜ってやつは恐ろしいな
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耳兜ってやつは恐ろしいな

「ちょっと、どけてくれない?」

「はぁ? あ! す、すみませんっ! どうぞ!(ゲッ! こいつは!)」


 ここ最近、冒険者ギルドの様子がおかしい。

 冒険者という連中は良くも悪くも分け隔てがないというか、他人に気を使うタイプはあまりいない。

 今、依頼が張り出されている掲示板の前に立っていた冒険者に声をかけたらこれだ。

 純粋に邪魔だから声をかけただけなんだけど、俺の顔を見た途端に血相を変えて譲ってくれる。

 オレみたいな小僧に、大の大人がだぞ。


「ありがとう。オレもすぐに済ませるよ」

「いえいえ! 快くまでごゆっくり!(やっぱり耳兜だ!)」


 やっぱりおかしい。

 耳兜なんて呼び名が定着しているのもそうだし、この人だけじゃない。

 テーブル席でくつろいでいる冒険者達も、オレが入ってきた途端に静かになる。

 せっかくの休憩中なんだから、のんびりしないと損だぞ。

 たかが耳兜一人なんて気にするな。


(あいつが噂の耳兜か?)

(あのイエローファングが怯えて二度と関わりたくないとか震えていたって話だが……)

(まだ子どもじゃないか。何をびびる必要がある?)


 そうだぞ、びびる必要なんてない。

 イエファンの人達はたぶんキャリーだかシェリーって人と幸せに暮らしてるよ。

 知らんけど。


 だからオレの一挙一動を観察しなくていい。

 オレが張り紙を触っただけでビクッとかならなくていいから。

 そんなのいちいち気にしていたら長生きできないぞ。

 ストレスは人生の大敵だからな。


「ルオン君、なんかすっごい見られてるねぇ。耳兜が怖いのかな?」

「色んな人がいるからな。気にするな」

「あそこの髪の毛が少ないおじさんなんか、ビクッてなってるよ?」

「身体的特徴の情報はいらんぞ」


 それより仕事だ、仕事。

 ここは王都だけあって仕事にはまったく困らない。

 これがオレが王都にやってきてもっともよかったと思っている点の一つだ。

 ヒドラでの訓練の日々も為になったけど、戦い以外のスキルを磨きたいならやっぱり別の仕事もするべきだと思う。


 例えば家を建てられるようになりたいなら、建設関係の仕事が山ほどある。

 料理がうまくなりたければ色んな飲食店で見習いを募集している。

 服飾関係、庭師、鍛冶屋、ガラス職人。本当に色々ある。


 将来、誰にも頼らずに一人でのんびりと生きていくにはどうすればいいか。

 そう考えた時、オレはまず建設関係の知識が必要だと思った。

 やっぱり住む場所くらい自分で用意できないとな。


 山の中に丸太で組んだ家を建てて暮らす。

 考えただけでゾクゾクする。

 あのクソ親父だって村にある自分の家は自前で建てたんだ。

 あの親父はあれでいて自分の生活面で他人の力を借りたことがない。

 オレ以外に。


「ねー、どんなお仕事するの? 災疫のディーザいく?」

「そんなもん推すな。オレはひとまず」


(そういやケルブ山に調査にいった騎士団の小隊は無事かな? 従弟が心配だよ)


 騎士団の小隊がどうかしたのか?

 間違いなくオレには関係ないけど、なぜかこの心の声が気になってしまった。


「どうしたの?」

「いや、別に。それよりこの建築の手伝いとかいう依頼を引き受ける。簡単なサポートだから経験なくてもいけるってさ」

「えーーー! つまんなそう!」

「そういうことを大声で言う奴とはここまでだな」

「楽しそうで心がタップダンスを踊ってるよ!」


 こいつ、思ったことはぼろっと言うくせにウソはマジでヘタクソだな。

 というかそこは素直に謝れよ。

 そもそも、なんでオレについてくるんだ?

 オレに恋愛とかいうのを求めているなら筋違いだし、今すぐどこかへ行ってほしいけど先日の様子からしてそれはなさそうだ。

 無理に突き放す理由はないけどさ。


                * * *


「お疲れさん! 報酬はギルドで受け取ってくれ!」

「ありがとうございます」


 今日も一日、汗水を流してよく働いたと思う。

 ひたすら資材を運ぶだけだったけど、見ているだけで勉強になる。

 基礎の組み方や間取りなんか、かなり参考になった。


 一方でエフィには酷だったのか、とっくの前にへばってウルフと遊んでいた。

 オレが強制したわけじゃないからな。

 とりあえずあいつの取り分は三分の一以下でいいな。


「いやー! 変なもん被ったガキが来たから、どうなるかと思ったけどよ! 意外と筋がいいな!(弟子にしてぇ!)」

「その気持ち、わかります。あとあそこで犬と遊んでる奴が迷惑をかけてすみません」

「気にするなって。少しでも手伝ってもらってありがたいさ(マジで邪魔だったけど言わないでおこう)」

「その人間性を心から尊敬します」


 エフィの奴、どういうつもりなんだろうな?

 やりたくもない仕事をやってまで、なんでオレについてくる?


 一度、腹を割って話したほうがいいかもしれない。

 何か事情があるのかもしれないからな。

 本当はそんな義理はないけど、放っておくのも寝覚めが悪くなりそうだ。


「おーい! お前達! 日が落ちる前に撤収しろ!(例の殺人事件があった後だからな)」

「おっと、騎士様のお出ましだ。小僧ども、今日は家に帰れ」


 いや、殺人事件ってなんだよ。

 そんな物騒な事件が起こっているなんて知らんぞ。

 だったら尚更、子どもは家に帰るべきだな。


「エフィ。宿に戻るぞ」

「はーい」

(ディッシュ隊は無事か? 確かラークを加えたんだよな……)


 聞き覚えのある名前が騎士から聞こえてしまった。

 ディッシュ隊? ラーク?

 ケルブ山に調査にいった小隊か?

 何があった?


「さ、帰った帰った!」


 見回りをしていた騎士に促されて、オレ達は強引に解散させられた。

 宿に帰る途中、オレはどうにもディッシュ隊というのが気になってしまう。

 しかもラークというのはあのラークか?


 ラークは騎士団で大出世をしているはずだろう?

 同じ名前の奴なんて珍しくないだろうし、気にするのも無駄かもしれない。

 でも、もしかしたらと思うと。


「エフィ。先に宿に帰っていてくれ」

「なんで? あ! まさか深夜限定カフェ『ダークガールズバー』のエビルチェリーパフェを一人で食べる気なんだ!」

「違うから先に帰っていてくれ」

「ふーん?」


 名前からしてマークマンさんが好きそうな店だな。

 どこでそんな情報を仕入れた。

 オレは日が落ちかけている王都の中を少しだけ歩くことにした。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 親父 実は昔は、有名冒険者とか騎士団長してたとか? 村で不良行為許されてるの魔物とか盗賊とかの有事で活躍するからとか?
[良い点] 主人公、器用ですね。そして、真面目! 殺人事件というフラグ!犯人に遭遇しちゃう? [気になる点] ラークさんが、気になりますが、殺人事件も気になります!後は、エフィさんの真意が気になります…
[良い点] 更新お疲れ様です。 耳兜がいっぺんに恐怖の対象に?真の能力は誰も知らんハズなのに。被害者たるイエファンの結果が散々だからか? あれれ?早くもラークとニアミスするのか??心の声が聞こえるのは…
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