Waiting window (2)
登場人物:
《南古野安全組合》なごのセーフティ
商業連合が利害関係から繋がり、いつしか自警組織として成立したもの。南古野のなかでの様々な商売に関わっており、加入することで《七ツ道具》をはじめとしたメンバーの庇護を得られるため商売をはじめたばかりの者は参入しやすい。
反面、条件が合わなくなってきたものは一度かぎりの『島抜け』を活用して他へ移ることもある。
先代リーダーであった十鱒から継いだ深々がなんとか他派閥とのあいだでうまく立ち回ろうとしていたものの、南古野に迫っている窮地に気付くことができず幹部陣を複数名失う。弱体化したことで派閥そのものが形骸化しており、かつての幹部たちも姿を消した。
円藤理逸:エンドウリイチ
メイン人物のひとり。身長170、体重60キロ。やせ型。
短めの黒髪に薄墨色の目で、無愛想な表情が基本の19歳。笑わず、常に気だるげに事物を眺めているが水泥棒戦など任務として授けられた戦いに挑む際には目のひかりが異なると周囲は言う。仕事着はハイネックの七分丈トップス、ハーフフィンガーグローブ、カーゴパンツ、地下足袋。ポケットに各種道具を収納して戦闘にあたる。首に提げており戦闘中にかける古めかしい双つレンズのゴーグルは兄の形見。
南古野安全組合・七ツ道具の三番で通り名は《蜻蛉》。
序列通りに戦闘能力は高く、とくにプライアによる機動力と師・深々から学んだ『行路流』による高威力の打撃技に長ける。
戦闘時でも『一切の殺害をしない』と己に課しており、いまのところ敵対者でも誰一人殺していない。ただしそれは自分のスタンス上のことでしかないため、周囲の人間が生きるため殺すのを咎めるなどはしない。
子ども嫌いであり、あまり近づこうとしない。それなのに明らかに子どもであるスミレと暮らすことになり、もともと笑いもしない顔がさらに硬直しはじめている。
自分を育ててくれた義兄にして組合幹部《七ツ道具》三番だった男・円藤朔明を助けられず、目の前でビルから転落して死亡する場面に出くわした際に「引き寄せたい」と強く願ってプライアに目覚める。以降、朔明の恋人であった組合リーダーの鱶見深々からは忘れ形見として扱われるが、死んだ朔明のことを思い出させる理逸に対し深々は苛立ちも抱えている。この確執は解けていない。
名前は宗教団体『慈雨の会』を信仰していた義兄・朔明が教祖である大曾根に頼んでつけてもらった。朔明から読みだけいくつか挙げられた名前候補から大曾根が適当に、宗教の標語である「道逸れても道理逸れるな」の一部をとってつけた。名前そのものにはなんら意味がないと朔明からは明言されており、これを引きずっている。
能力:『引き寄せ』:救助用
条件は「視界内で」「手をかざした先の対象物に」「手を握り込むモーションと同時に」、効果は「60キロまでの重さの物体を高速で引き寄せる力を発生させる」。対象物が60キロより重たいor地面に固定されている場合は自分が対象物に引き寄せられる。
スミレ:
本名不明。身長138、体重36キロ。華奢。
肩までの銀髪と紫紺の眼、目尻になんらかの部族のものらしき赤いアイメイクを施した、小麦色の肌と顔立ちに異国の雰囲気を漂わせる13歳。年齢に似合わない諦観を抱えた表情と大人をこばかにした目つきが特徴。ホルターネックの、白いタイトなベアトップワンピースのみを身に纏っており足下はサンダル。理逸と暮らすようになってからは似た意匠のものをいくつか手に入れている。
首につけていた黒いチョーカーが統率型拡張機構であり、他者の機構の操作や停止すら可能な切り札であった。しかしChapter4にて過剰稼働を起こし、破損。現在は町のヨッパライから奪取した通常レベルの末端子拡張機構をつけている。
体格に恵まれておらず戦闘訓練も積んでいないため白兵戦は一切できない。しかし年齢に見合わない異様な知識量と観察眼および聡明な頭脳により常に作戦立案・実行への指示と現場で動き回る能力を持っている。
殺害には理逸同様に忌避がある。現在は織架から得た亜式拳銃を武器として携帯しており、装弾数二発のこの銃にあえて一発しか装填せず威嚇とハッタリで場面を乗り切るようにしている。
大人嫌いであり、誰相手でも測るような態度で接するか関わらず逃げるかしようとする。理逸も例外ではないが……例外ではないとはいえ、例外に近く、「他の大人よりまだだいぶマシ」という評価を得ている。反面子どもには甘く自分より年下の橋の下の仲間たちには普段見せない笑顔で接する。子どもを守るというのがすべての根本の動機にある。
体内には教化型機構である最終焉収斂機構を持っており、すべてのデバイスを支配下に置くことができる。これを利して求生総研は「現実を改変する」研究をつづけており、そもそも彼女が乗っていたモーヴ号は児童とデバイスの融合とこれを統率・支配するローデバイスによる実験を進めている船だった。ここで児童への扱いのひどさを目の当たりにしたことで大人不信を患っており、襲撃により奪われた子どもたちを解放する目的で組合に近づき幹部に近い立ち位置を得て水道局へ接触しようとしていた。
Chapter8の最終盤にて、守るべき対象である子ども・ハシモト少年を盾にして生き残るという行動をとってしまう。
鱶見深々:フカミミミ
右目と右腕を失っており、水道警備兵からのあだ名は《隻鬼》。身長170、体重58キロ。しなやか。
安全組合の現リーダー。
濡れたような黒髪を肩を過ぎる程度に伸ばしており、長い前髪が右目の傷を塞いでいる。三白眼で非常に表情がけわしく、いつも千変艸製ではない本物の煙草をくわえている。男物のXLサイズのカッターシャツを着用して左袖はまくり右袖は長く膝まで垂らしている。腰から下は派手なパレオで、どこにいくにも底の低いミュール。
南古野安全組合リーダーであり、先代の十鱒から引き継いでこの立場を護っている。沈着冷静で事物の裏を見通すのも得意なタイプだが、専守防衛タイプのため攻めに出ようとすると判断ミスが出ることが多い。
理逸の体術における行路流の師匠ではあるが、彼が戦うことを好ましく思っていない。恋人だった朔明の忘れ形見として、彼が自分を守れるようにと教え込んだのであり「朔明が救えたはずの命を救うため、自分を使いつぶそうとしている」いまの理逸の生き方を心底嫌っている。
朔明とのあいだには子を授かりかけたこともあったが流産しており、子どもというものに対して複雑な感情を抱いている。伍支との戦闘後、消息不明。
能力:『固定』:逃避用
条件は「触れた物体(空気も含む)を」「任意の個数まで」「触れた回数分だけ」、効果は「空間ごと固定して運動量や熱も保持する」。空間まるごとの固定であるため、どのような攻撃を受けても解除されることはなく不変の盾として機能する。深々はこれらを足場にして空中散歩するのが趣味。
生まれつき治安の悪い地域で暮らしており、暴漢に刀で襲われた際に右目と右腕を喪失。これを「止めたかった」との願いから固定のプライアに目覚める。
密航で家族と共に南古野をめざしたがその道中で嵐に見舞われ、ろくな固定をされていなかったコンテナが甲板上を滑り家族を圧死させる。このときにまた「止めたかった」との願いを強くし、プライアが単なる固定から空間固定へと段階を上げている。
才原織架:サイバラオルカ
七ツ道具の四番。通称、《識者》
痩せた体つきのわりに身長の高い、妙な男。明るくよく笑い、ムードメイカー。22歳であるがあまりそうは見えない。総髪にして後ろで一束にまとめており、痩身に革製のベストと腰巻にしたツナギを纏っている。両腕には装備型の末端子拡張機構を嵌めている。
戦闘時は腰帯型・眼鏡型の拡張機構も装備し、動作鍵式定型情報出力で周辺の電子機器を支配する戦法や周囲の兵力状況を入力して用兵の指示だしをおこなう。司令塔。
理逸やスミレとも親しくしている男。テンションの高さの裏で冷徹にひとを観察しており、心を許したように見えた研究者仲間の加賀田のことさえ能力の条件や心理的スタンスを読み解いていた。
婁子々について個人的に思い入れが強かったらしく、Chapter8の戦いにて彼女を庇って死去。
羽籠宮婁子々:バロウクロココ
七ツ道具の五番。通称は、《淑女》
190センチを超えるかなりの長身を、古い時代のドレス姿で覆っている女性。栗色の長い髪を一束に結って流しており、表情がころころ変わるところが少し幼げである。24歳。
投与型の末端子拡張機構を身体に入れており、これを極限までチューニングして肉体強化・感覚鋭敏化に用いて白兵戦をおこなう。膂力はすさまじく、また達人の様々な感覚を取り込んでいるため個人としてはかなり強い部類に入る。反面、薬物に頼ってこれらの強さを引き出しているがためにしょっちゅう過剰摂取を起こしており、寿命を削っていると思われる。
本名は紀田海苔子だが、気に入っていないため上の名を名乗る。
目の前で織架を失ったことによりプライアに目覚めるが、過剰摂取により認識が定まっていない状態であったため「機構と能力は同一であると気づけない」という人類にかけられた思考ロックを限定的に解除。混合併用者となる。
能力:『血液操作』:逃避用
周囲の血液と触れた相手の皮下血液を自在に操作する。切りつけられようと血のめぐりを平常時と同じに保てるようになったため、腱の切断や神経破断といったダメージでなければ止まらないバーサーカーとなった。
十鱒:トーマス
七ツ道具の一番。通称、《太刀斬り》
白髪交じりの髪をセンターパートにした、穏やかで柔和な顔つきのミドルエイジ。先代のリーダーであり、安全組合を率いていた。
中肉中背でベストとシャツを着込んだ、バーのマスター。とてもそうは見えないがかなりの強打の持ち主であり、警備兵との戦いでは素手による拳闘のみで相手を殴殺する。
かつて深々と共に他の滅びた統治区、《廃治区》も回って治世と乱世について学んでいた時期がある。深々にとっては育て親のようなもので、直接言葉をかわすことはいまは(立場的にも)少ないが頼りにしている節がある。
深々と共に沟の囲いを脱出するまではよかったが、伍支との戦闘で追い込まれる。戦いのリズムを握られたために勝てず、消息不明。
能力:『武器破壊』:救助用
視界内の認識した武器武装の一切を破壊する。だれが相手でも素手での戦闘に持ち込ませる能力で、そして彼自身が体術の達人である以上一方的に自身を有利にする能力と言える。
本当は彼自身の持つ武器は効果対象にならないが、主義として拳闘にこだわっている。
無天蔵人:ムテンクランド
七ツ道具の二番。通称、《物干し竿》
三十代。黒髪を短く刈り込んで坊主にしており、わずかに顎に髭を生やす。ミリタリージャケットに袴という異装を基本としており、腰に二本差し。剣術を相当長い期間修行しており、刀に手をかけただけでプレッシャーを発する。
一番である十鱒に対抗意識を燃やしている。かつての戦いで喉を潰されており、非常に聴こえづらい喋り方をするのでこれをうまく聞き取れる譲二と行動を共にすることが多い。
男は抱く趣味こそが人生のすべてだ、が信条。得物や戦い方にこだわりを持つ者を好む。
Chapter8の戦いで死亡。
能力:『刃の延長』:反撃用
振るった刀が伸びて遠距離にも攻撃できる。質量は元にした刀の刀身に依存するため密度が高く丈夫な刀ほどよく伸びる。最大で十五メートルほど伸ばせる。
刀を投げれば仲間を助けられる、だが手放せば斬り合ってる最中の自分が危うい、という葛藤のなかで仲間が殺され、「手放さずに刃を届かせることができたら」と願ったことで目覚めたプライア。
阿字野譲二:アジノジョウジ
七ツ道具の六番。通称、《妖狐槍》
ちりちりとうねる髪を伸ばしっぱなしにした、日に焼けた肌の男。だいたい白シャツにデニムのハーフパンツというラフな恰好だが、むかし不覚をとった経験があるらしく靴だけは鉄板入りの安全靴を履いている。
先端に返しのついた細長い銛を長短二本、武器としており、元漁師。戦闘時はこれを投擲して戦う。
蔵人とは一回り年が離れているが仲が良く、互いに武芸を磨き合っている。
Chapter8の戦いで死亡。
能力:『軌道設置』:逃避用
投げた銛の軌道を途中で変えている。視界内で事前に五つの投擲軌道を設定し、そのレールに触れた瞬間に投げた銛が軌道を変える。
攻撃用ではなく、制式拳銃に撃たれた際に「弾丸の軌道が自分を避けるように設定できたら」と願ったことで目覚めた逃避用プライア。このレール設置を攻撃に転用したのが銛投げの技。初見殺しではあるが、知っていれば対策は容易。
百々塚朝嶺亜:トドヅカアザレア
七ツ道具の七番。通称、《半落ち》
野球帽をかぶり、留め具の隙間からポニーテールにした髪を出している小柄な女性。25歳。枝毛が増えたのが悩み。フード付きのずいぶん擦り切れた灰色のパーカを好んで着用しており、斜めから事物を見るような目をしている。
新市街からやらかしで転落してきた「都落ち」であり、体内にはかなりのアクセス権限が付与された投与型の拡張機構が宿っている。本来はこうした権限も都落ちの際にリセットされるはずだが、彼女は機構を『分割して』『半分だけ』取り込んでいるというイレギュラーを発生させているため、権限が消せないらしい。
五年ほど南古野で暮らしているが、戦闘技能やその類のスキルはほぼ一切身に着けていない。「生まれが外なのに半端に対応できる技を身に着けると、街に慣れたと勘違いしてしまいむしろ危うい」という考えによるものであり今後も戦うつもりはなくあくまでアクセス権限を使う道具として七番の地位におさまっている。
たまたま外に出ていたため組合壊滅に巻き込まれずに済む。
加賀田造倫:カガタゾーリン
医者。研究テーマとして「死ににくい個体」というものを調べており、南古野でもこの目的のため動いている。新市街の旧家である宅島にやとわれた身。
過去に多企業軍に属して外界で平和維持のため動いていたが、その過程でプライアに目覚める。戦場で幾多の死に触れたこと、自身が情報を得るための拷問で幾人も死に至らしめてきたことで「なぜ死ぬ者と死なない者に別れるのだ?」という考えに固執している。
能力:『記憶開示』:逃避用
ひとりにつき一度しか効かない上に、裸眼で一メートル以内で視線を合わせながら「聞きたい問いを投げかける」という動作を条件として発動する。相手は自分の知るかぎりの、問いに対する答えを無意識のうちに喋る。喋り終えると前後の記憶がなくなり、齟齬は適当な記憶で補完される。なお当人が知らないことを訊いてしまうと「参照するものがない」状態に陥り、効果時間が切れるまでただ黙っているだけになってしまう。
多胡於久斗:タコオクト
24歳。伸び放題の髭と髪を雑に流しているだけで、汚れた作業着姿の多い男。じつは2nADの出自であり、言葉に詰まったりするのはそれが原因。識字も微妙にできておらず、そのせいで契約書において騙されるなどがあった。
拳闘を手習いしていたらしき動きをする。妹の薊が娼館で働いていたが、前金制度で抜けられずに困っていたので強硬手段に出ようとする。
事件後は安全組合傘下の人間としてあらためて監視下におかれ、能力を駆使できる業種についているらしい。
慈雨の会教祖である大曾根により洗脳を受けており、彼にいいように使われてしまっていた。沟が児童を水道局へ売りさばいていた姑獲鳥事件における、慈雨の会を介した運び屋をやらされておりその間の記憶が一切存在していない。
能力:『影の盾』:逃避用
自分の身体に黒いもや、影のようなものを纏わせる。外から受けた物理ダメージはほぼ一切を通さず「どこか」へ流してしまう。しかし地面に足がついている=重力の影響は受ける、慣性力は中に通じるとの弱点をスミレに見破られ、敗北。また影を纏うのが発動条件のため、光源がなく自分の影と他の影とが分かたれていない場では発動しない。
多胡薊:タコアザミ
妹。十代と偽っているが22歳。兄と二人暮らし。事件後は別の風俗店へ移った。口が悪いのは追い払おうとしていたとかではなく素。
心の隙につけこまれて慈雨の会に入信、多額のお布施を納めていた。兄がChapter8の事件に巻き込まれたことでそれどころではなくなってしまう。
トジョウ:途上
理逸を含めた貧民の子どもたちに青空教室で勉強を教えている数寄者。かつてさんざんな目にあって南古野に流れ着いており、いまはプラント労働者として働いているが当時はだいぶ荒んでいた。
子どもを未来だと考えており、その先を守るためならどんなこともいとわない。誘拐事件の折は自ら私刑することをほのめかすなど、温厚に見えてアウトローとしての資質はいまも残っている。
ハシモトを逃がすため銃撃に遭い死亡。
操、毛、ミヒロ:ツァオ、マオ、ミヒロ
希望街で暮らしている2nADの少年たち。ツァオマオは十歳と八歳の兄妹、ミヒロは二人の中間で九歳。名前の由来は2nADたちの習慣で「よりひどい意味の名前を互いにつけあう」ことから来ており、操はFワード、毛は忠華の通貨(その値段で売られたとの意)、ミヒロは仕事であるゴミ拾いからきている。
一週間しか滞在しなかったスミレだが、彼らには非常になつかれており仲間意識が強い。
橋下:ハシモト
上の三人と共に暮らしていた少年。四人の中では最年長で十一歳。名の由来は橋の下に捨てられていたため。スミレにあこがれている節がある。
流氓の出であり2nADしかしゃべれない……と思われていたが実際には日邦語が堪能で字も読める。しかしその技能は教化型機構を植え付けられ、言語野にスキルを埋め込まれることで発生していた一時的な機能だった。
大曾根によってデバイスを抜き取られたことで失語に陥る。症状を重く見た安全組合傘下のトジョウにより組合ビルへ治療のため連れていかれるが、その際に伍支の襲撃に遭遇。トジョウの命がけの時間稼ぎでからくも生き延びるが、その先でスミレにより盾にされて死亡。
《笹倉組》
暴力団。金貸し、人さらい、薬、娼館経営とあらゆることに手を出しており常に裏から住民の金を吸い上げている。とはいえ先代・先々代がここに来た当時の南古野黎明期には住民から求められて自警を成していたこともあるため古い人間には「親世代が世話になったから」と厭いきれない心情もある。
ただ自警などの善性ある行いですら、利を得るための行動に過ぎないのだが。
勘の鋭い人物が多いためか、南古野の窮地に気付く。独自の動きで沟と組合の隙間を動き、共倒れしたところで漁夫の利を狙っていた。
笹倉鬱郎:ササクラウツロ
四十がらみの、オールバックにして細いうなじに髪束を散らした細面の男。病身を思わせるやつれた面相とどこもかしこも細い体躯のために実年齢よりもさらに老け込んで見える。背広に身体のラインがまるで出ない。懐には拳銃と匕首を常に忍ばせている。
かすれた声・幽鬼のような足取りで、つかみどころがない。初動を周囲に悟らせない動きをしており、人の意識の狭間で歩いているようにすら見える。「死にそうな状況を回避する」というプライアを持つ。
安東湧:アンドウユー
笹倉組の幹部《四天王》が東。二十代半ば。茶髪をハーフアップにしており、へらへらした男。首回りは太く、鍛えた肉体が袖口からのぞく腕の太さにもうかがえる。右眉と右耳半ばを刃で切り付けられた跡が残っており、傷面。
性格は享楽的かつ非常に残虐で、自身と組織の利にならないと判断した人間は即殺害する。感情の振れ幅が大きく、笑っていた一秒後には談笑相手を殴り倒していることもあるため非常に危うい。
欣怡や理逸のことを気に入っているが、あくまでも面白い駒としての気に入り方。役に立つ人間や同格の人間はそれなりに尊重するが、自分にとっての利が最優先でありほかのことはほぼ勘定に入れていない。戦闘力もプライア含め異様に高く、銃火器で武装した勢力であろうと練度が低ければ平気で鏖殺できる。
能力:『斥力』:反撃用
開いた掌から突き放す力場を発生させる。手から対象までの直線的なラインで発生し、かなり重たいものでも突き飛ばせる。通常は円柱状の力場で押し通しているのだが、じつは形状変化が可能で円錐状にすると「触れた箇所から、全方位に『突き放そうとする』働きが先端を肉の内にめりこませていくことになる」ため槍のように使える。ほかにも指先から力場を枝分かれさせて一気に複数個所を攻撃するなど、応用が利く。
西園寺金持:サイオンジキンジ
四天王の西。天井に擦れそうな長身、巨躯の男。はちきれそうなスーツに身を包み、上体の方が下半身より膨らんでいるように見えるほど異様な筋肉量。「閉じ込められない男」の異名を持ち、その名の通り怪力――そして能力により、どこからだろうと脱出してきた経歴を持つ。プライアホルダー。
能力:『開放』:逃避用
密閉されたものであればなんでも開けられる。鍵のかかった箱も部屋も彼にとってはドアのついた出し入れ可能な場所に過ぎない。破損させることが前提条件として存在する。檻で飼われていた経歴が目覚めさせた能力。
南刀然:ミナミトウネン
四天王の南。抜き身の長脇差を常に右手に携えている男。左の方がボリュームのある妙な髪型をしているが、自分で刀の切っ先にて切りそろえているためらしい。
人生初のカチコミで緊張から刀を握った手を開けられなくなり、以降十年以上もそのまま刀を握って生活している。もはや腕と一体化しているため、切っ先で背中を掻いたり刃で切らずにものを受け止めたりと異様な技を自在に行える域に達している。通称「斬臣」「侠剣」「ドスで飯食ってる奴」。
プライアは持っていない。
中川正道:ナカガワショウドウ
四天王の中。鼻掛けの老眼鏡をかけたインテリ風な男。組の対外折衝役であり、四天王全員で動くときには頭になることが多い。見た目は前線に出てくる風に見えないのだが、毒を操るプライアを持っており抗争になると真っ先に警戒される人物。
能力:『撒き飛弑』:反撃用
踏み入ってはならないエリアをつくる。踏み込んだ者を神経毒が冒し、身動きとれなくする。毒は身動きを奪う神経毒という縛りのほかはランダムで、クラゲ毒のときもあれば茸毒のときもある。
統治区ではない、寒村のなかで呪殺を生業とするよう強いられる一族で暮らしていた。そんな中、自分を外に連れ出そうとしてくれて『禁足地』に入った者が次々と怪死を遂げる。呪いは実在すると信じ込み、以降十数年村に閉じこもっていた。
だがじつは村人が毒によって呪いに見せかけていただけだった、というのを知ったことで目覚めた能力。
《沟》
大陸系、忠華から渡りきた華僑の面々。港湾部を根城としており労働者の斡旋やとりまとめ、輸出入に噛んでいることが多い。蛇のブローカーも多数抱えており、統治区への出入りについてはここを通すのが基本となる。
南古野の窮地に感づいて出し抜こう、ほかの統治区へ脱出しようと画策するが求生からも慈雨からも切り捨てられて失敗。組織は壊滅に近い状態になる。
周永白:チャウヨンパイ
五十近く、もう人生の閉じ際のはずだがとてもそうは見えない貪欲そうなぎらつきが薄い眼に宿る。頭髪は頭頂部を残してほぼ禿頭、腹部の突き出た恰幅の良い男だが動きには武を窮めたと思しき安定感と力の満ちた様子がうかがえる。
沟の龍頭大哥、つまりトップ。礼を大事にし礼を尽くすが、同格と見ない者には徹底して突き放した態度を取る家思想の強い人物。
能力:『増節』:逃避用
関節を増やす。拷問に遭って骨と関節をひとつずつバラされた経験から目覚めた。身につけた練度の高い体術との組み合わせや得物・地形にも節目をつくれるため変幻自在の攻撃が可能となる。
王辰:ワンチェン
周の腹心の部下。ひとまわりほど、周より年下。刈り上げた白髪交じりの頭髪、頬骨と顎先のあいだの肌でピンとマストを張ったように硬い表情、遊びのないスーツ姿。両腰には桃木剣と、まったく同じ意匠の鋼の直剣を一振りずつ提げている。
元・蛇頭の密入区ブローカーの元締め。なんらかの事件で周と敵対したのち、彼の下につくこととしたらしい。プライアは持たず剣術で戦う。
楊欣怡:ヤンシンイー
二十歳そこそこ。理逸の隣に住む怠惰で甘えグセの強い女性。うねりを帯びた髪先に色気があり、体格もしっかりしてプロポーションも良い。けらけら笑いながら常日頃より理逸に食事をたかっている。反面、公私はしっかり分けるタイプであり仕事になると普段の甘えもなく最低限のやりとりしか許さなくなる。
顺风耳の異名を持ち、妙に事情通なときがある。だが人を使っている様子はないため、自身のみでプライアを使って情報収集している。
狻猊から铡刀掌を習っており、手刀技の達人。体術の腕は理逸をしのぐ。
能力:『転移』:逃避用
短い距離のワープ。最大で五十メートル程度、飛ぶことができる。ただし上下へのワープはできず水平移動しかできない。
姉と共に若くして娼婦をさせられており、その狭い密室から姉を伴って逃げたいという願いから能力が生まれた。しかし能力の目覚めは悲劇なくして成り立たないため、彼女は共に逃げたかった姉を失ったがために能力を得ている。この境遇のためか、理逸に同情的で仲よくしようとしていた節がある。
竜生九子:ロンシャンジウズィ
沟の幹部。九人で構成されている。うち四人はプライアホルダーでもデバイスドライバでもなく、なんらかの身に着けた武術などを用いて戦闘を行うタイプ。
龍には成れない者たち、であるため組織を継ぐのは王の予定。上位三名は「三把刀」と呼ばれ、狻猊、饕餮、贔屓の三名。狻猊は欣怡の武術の師である。
《民間水道局凪葉良内道水社》:PWSナギハラナイドウスイシャ
南古野を支配する企業連合。民間水道事業者を母体として微機解発研究機構やプラント技術社などが併合して出来た。新市街を根城にしており南古野の支配と生産に関わりを持とうする。
求生総研と旧時代からかかわりを持ち、児童実験船での成果たる生体機構をリースレンタルさせてもらう予定だった。しかし南古野の人口上昇率・生産効率上昇率の低下などの算出から「近い将来に南古野が破綻する」との計算結果を出してしまった上層部が崩壊を恐れ、ローデバイス有するモーヴ号の成果をすべて奪い自身らに組み込もうと画策。これにより船を沈めたのが、スミレが南古野へ着くことになった理由である。
上層部は外部情報を数値のみで見て一切の情やそれに伴う判断ミスなくこの南古野を運営していくため、ビル最上階の隔離空間にて延命用の代謝促進ナノマシンも打たずに半世紀以上を生きている。もはや八十代、九十代のお歴々はこの時代では数えるほどしかいない長寿だろう。
ただそのままでは多様性が確保できないため、外からの意見を聞く相手として「宅島」の一族を残している。彼らは遺伝子改造を施されて上層部の人間たちと思考傾向を近づけた、いわばクローンに近い存在。
《求生総研》:グゼソウケン
求生総合研究所。略して求生総研。
旧時代から機構の開発研究をおこなっており、『あらゆる研究を研究する』ための異常者が集まった集団。古くから様々な企業にからみ、技術供与や利権関係で縛りをつくっていたため企業統治が当たり前となったこの時代でも企業の影でうごめいている。
そもそも四大災害が起きた理由も彼らが「人間の現実認識能力の向上」「認識した現実への働きかけ」というプロセスで現実改変しようとした研究の暴走によるもの。ネガティブなイメージの汲み上げによって、世界はこんな有様になった。
次は失敗しない、という考えでローデバイスの入手とそれによる二度目の「世界改変」をおこなおうとしている。
筧堂嶺:カケイドウレイ
水道局上層に関わる者。管理官。
実際には求生総研から送り込まれた人間で、怪しまれないよう現場たたき上げの存在となるよう三十年近い年月を南古野で過ごしている。
相当な慎重派であり部下や関わる人間を選ぶようにしているが、その理由は彼自身もまた「念のための保険」としてこの任務に携わっていた駒だから。つまり南古野に不穏な動きがあり求生の邪魔になると判断されたときのための――『もしかしたら使わないかもしれない駒』として三十年の潜入期間を任じられていた。
南古野の強兵プランのためローデバイス奪取に動いた水道局を牽制しつつ、懐にスミレを囲い込もうと動き出している。
《伍支》:ペンタグラ
筧の下で動くチーム。デバイス研究の産物である隔併機で、デバイスにより制御しながらプライアを使うという異常を成す連中。そもそもは水道局の誇る陸衛兵も彼らがプロトであり、強大な能力ゆえにそれをある程度デチューンしたモデルと言える。
構成員すべてがなんらかの形で水道局の任務中、命を落としたことになっている。
宅島艮:ヤジマゴン
恵まれた体躯を鍛え上げ、警備兵として高い実力を持つ男。Chapter1にて理逸とスミレと交戦、スミレの微機により記憶処理を受け戦闘について覚えていない。
自身に命じられたスミレの確保命令と、記憶を失う失態を演じても斬られなかったこととで南古野になにかあると感づき、ある計画を進めんとしている筧の元に赴く。
伍支の末指として迎えられ、求生総研の思惑に乗って動いていく。
もともとは水道局上層部に直接進言のできる家柄「宅島」の次席であり、将来的には首席となって意見具申の立場になる予定だった。
南古野と部下たちの将来を守るべくこちらに与したが、南古野そのものは消滅させられほかの統治区属州となるプランに悩んでいる。
轟片平:トドロキカタビラ
伍支の拇指。数年前に任務中に死んだとされていた警備兵。巨漢の宅島と並ぶ体格の、赤髪の男。
気のいい男だが冷徹に任務を遂行する二面性を持つ。隔併機によるプライアは「■■■■■■■■■■」。
新庄大貝:シンジョウオオガイ
火傷痕を帯びた面をした伍支の示指。プライアは「両腕に熱をまとう」。
照岡女郎花:テルガオカオミナエシ
口髭の目立つ伍支の中指。プライアは「■■■■■■■■■」。
海藤鹿苑:カイドウロクオン
ポニーテールにした髪型の伍支の薬指。Chapter8での蔵人との戦闘にて死亡。
《慈雨の会》:ジウノカイ
新興宗教。災害後の世界では三大宗教に並んでおり、各地の統治区にそれぞれ教祖が居る。プライアホルダーを優遇し、炊き出しや信者の囲い込みをおこなっている慈善事業……のように見えるが、お布施を巻き上げるなど裏の部分も多い。
正体は求生総研が災害後に生み出した宗教。この先あらわれると予期されたプライアホルダーを確保・収容するための団体であり、人間を研究するために呼び込む場。
大曾根峰阿:オオゾネミネア
南古野統治区の慈雨の会教祖。長年にわたって筧と組んで暗躍しており、静かなる争乱をはじめとしてこの土地でなにかあったときには常に陰で人員を動かしていた。
特定条件下で指示した行動をとるように洗脳することができる。教化型機構を所持しており、他者に能力開発というかたちで貸与も可能。ただし、与えたものを回収する際には脳機能へのダメージが残る。
────────
用語:
四大災害:クァドディザスタ
作中で半世紀以上前に起きた四つの巨大災害。国によっては人口が1/10になるほどの壊滅的な被害を受けたが、全容は定かではない。
第一災害の太陽嵐によってオゾン層破壊・電子機器の壊滅。第二災害の大地震によって国土破壊。第三災害の蝗害によって食糧逼迫、第四災害の旱魃で水不足が発生した。
現在もその影響は続いており、世界全体がかつかつの水食糧事情に喘いでいる。これらが起きた原因は、求生総研の機構研究で「現実を思うままに改変しようとした」ことによる。
統治区:ドミニオン
企業統治区、とも。四大災害で国家という形態での運営が事実上困難となり、強力な企業連合が統治するようになった区域。
当初は合同統制部という名で一時的な指揮を執るとの触れ込みだったが、次第に権力を強めて上級市民と下級市民を明確に差別化。搾取じみたシステムを構築し、今に至る。
どの国も災害当時に国が運営を委託した民間水道局・民営化水道事業の企業が母体となっているようだ。灯京がすでに廃治区となっているが、このままだと南古野も近い将来に同じ状態になると水道局は演算予想を出している。
末端子拡張機構:エンデバイス
en-device。人間の機能拡張を行うべく体内をナノマシンコロニーに作り替える特殊機構。視覚・聴覚など五感の機能を向上させることで超常的な能力を発揮させる。中には「五感の側の誤認・新規構築から新たな機能を発現させる」ものもある。これが陸衛兵や生体機構の「他人の感覚をもとにして能力を得る」仕組み。
特殊能力を人間に付与するアイテムだが、同じく特殊能力のプライアと同時使用はできない。脳髄のなかで同じ領域を使っている、からだと――そう騙されているが、実際には求生総研が四大災害後にその失敗を悟られないよう、全人類に投与させた宇宙線被爆対策の代謝促進ナノマシンにて「デバイスとプライアが同一だと気づかせない」思考ロックをかけさせたため。
使用者は機構運用者と呼称。使用時は目に青い光──ナノマシンが活性化しているときに発する熱のない光──が宿る。気絶時にも消えていない場合、過剰稼働を起こしておりその状態の継続は脳の覚醒継続であるため数日も持たず廃人になる恐れがある(薬剤投与などで抑えなくてはならない)。明滅しているときはコントロールが効かなくなっているときで、向精神加速薬などによる強制的な活性化が原因として考えられる。
使いすぎて「強化された感覚」に脳髄が慣れていくと微機の経路を効率的にするべく焼け憑きという、葉脈状の傷痕が体表に残るようになる(これを人為的かつ安全に経路を舗装したものは階路と呼ぶ)。
脳もいずれはその強化感覚から脱することができなくなり、「早すぎる感覚に身体が追いつかない」などの『感覚酔い』が発生する。これを防ぐため定期的に感覚を基準値に戻すのが《機構調律者》の仕事である。同レベルのデバイス同士では記憶参照情報を覚えきれないため、基本的に自分で自分の調律は出来ない。
よりハイグレードで、下位権限のデバイスを統括・操作する統率型拡張機構:ハイ=エンデバイスと呼ばれるものもある。こうした上位機種によって脳の記憶参照情報を保持できるなら、自身でも調律が可能だが……?
値段は下位グレードでも上級市民の年収が相場。個人登録を成して使うため、奪い取ってもコア部分のデータ書き換えは出来ず他者には扱えない……基本的には。ローデバイスにおいては、この限りではない。
相構成型式駆動機:B.S.drive
デバイスのコア部分。失伝技術のなかでも再現が追いついていないものであり、破損すれば現代技術では修復不能。
心因性現実干渉能力:プライア
Psycological Reality Interference Abilityの頭文字をとってプライア。
トラウマを種に、「この現実を否定したい・克服したい」と強く願った者に宿る超能力。主として発現状況により逃避用・救助用・反撃用に分かれる。
脳の松果体および一部器官に発達が見られる他はとくに常人と変わりないが、既存の物理法則に反する能力を駆使する。使用者は能力保有者と呼称。
危険なため、申告と届を提出していない場合に能力所持が発覚した場合は就業制限や行動制限、果ては禁錮まで厳しく刑が課される。
機構と能力を切り替えて併用できる者もたまにおり、それらは二重実行者と呼称する。
じつは前述の代謝促進ナノマシンデバイスによる「恒常化機能(人体を一定に保とうとする働き)」の暴走がプライアの正体。辛い現実を認めたくない人物が、それを克服する能力の付与されることを「恒常化」とみなしている。
南古野:なごの
灯京、京杜など主要都市が滅びたあとに残った、この元・日邦國に6つだけ残る統治区のひとつ。
南大壁、北遮壁という名で呼ばれる、大地震の際に基礎から倒れた高速道路が壁となって南北を封鎖しており、南の先が上級市民の住む新市街、北の先が【沟】と名乗る華僑組織の住む港沿い中華街となっている。街中は倒れたビルや廃墟に埋め尽くされ、常に危険が漂う。
地下にはかつて地下鉄が通っていた大都鉄道網なる施設があり、いまは水道パイプラインが走る。ここを舞台にしておこなわれるのが水道局との水の奪い合い、制水式。通称を水泥棒という。
水道局の未来演算予測により、近い将来ここもルインになると算出された。これを回避しようという動きが、さまざまな悲劇を生んでいる。
民間水道局凪葉良内道水社:
Private Water ServiceでPWSとも。南古野において水を占有し、新市街に住む上級市民を優先して配る民間企業。
水泥棒で勝利出来なかった場合は彼らの提示する高額な値段で水を購入するほかなくなる。また、南古野で流通する貨幣の一種である水道免税券なるものの元締めである。
パイプライン警備のため、文明崩壊後の世界では貴重なエンデバイスや銃器で武装している水道警備兵を所有する。群青の制服に身を包みボディアーマーとフルフェイスメットで姿を隠した第二種、メットを外してエンデバイスによる感覚器官の強化に振った第一種装備などが存在する。
特種警備兵――《伍支》はすでに処分されたと考えられており、陸衛兵までしか水道局の大半の人間が存在を認知していない。水道局には筧以外にも求生の人間は潜んでいるが、一枚岩ではない。
電子制御:エレクトロ
太陽嵐のせいですっかり数を減じた電子機器の操作のこと。物理的な電子機器の扱いについては電子回路:サーキットで大体は通じる。
扱いに熟達したものを電子奏縦師:エレクトロニカと呼ぶ。
2nAD:セカンナド
After Disasterの2世世代:2ndで略してセカンナド。災害により住む土地を失い流れた人々の呼称。
同時に彼らが流民としての人生の中で身につけてしまった、その土地その土地での言語の集合によるごちゃ混ぜの言語のことも指す。その言葉は感情表現・肯定否定のワードから始まる語順で他の既存言語とも語系が少し異なり、身内同士でしか通じず地域差も激しい。
貧民の多い旧市街でも格差はあり、その中でも2nADは上の理由もあり会話しづらく仕事も任せづらいため、立ち位置はかなり下方に位置する。
希望街というバラック群を南大壁の近くに作り上げ、ここで難民流民を中心に受け入れている。南大壁は連絡用軌道車線:バレットラインという高速搬送用の路線も含め10車線あったため、横倒しになってもそこらのビルより高さがある。
千変艸:ヴァリアブルウィード
万能草。なににでも成る草。作中では代用煙草に用いられていたがそれこそ薬効ある草から食用サラダ菜まで、生育前の種子に手を加えることであらゆるものに変化する。
ただ素体となるものは単独の種ということになるため、病害などで致命的なものがあると即座に枝分かれした派生植物もすべてダメージを受けることとなる。そのため常に種がストックされており、有事の際は代替わりするようになっている。
C計画:■計画
モーヴ号で実験されていた内容。
児童の認識認知能力を向上させ、また思考傾向を操り、文字通り教化していった先で彼らの「認識を繋ぎ」、統括するローデバイスで局地的な現実改変を巻き起こそうとしていた。