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万年銅級おっさん - 家路
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家路

予約投稿日を間違えてました!

ごめんなさい!


 年明け前日。もとの世界で言うところの大晦日にあたる日……俺は少し眠たい目を擦りながら、豊穣の灯りのクランハウスへと足を進めていた。

 リオを迎えに行くためだ。



「ふぁぁ………あー、眠ぃ……」



 結局、一昨日は徹夜してぬいぐるみを二つ作った。

 いやまぁ、本当は一個の予定だったんだけどな?手づから作んのが久しぶりすぎて、最初にできたやつの完成度がよ……個人的には納得がいかなかったんだわ。

 当然、リオには二個目の方を渡すつもりだ。かといって、一つ目のやつを捨てるのもな……ま、これは家のどっかに置いておくとしますかね。



「……ふぅぁ……一応、昨日の夜は寝た筈なんだがな……やっぱ、徹夜するのはよくねぇわ」



 徹夜して迎えた朝。すぐにベッドには入らず、年明けに向けての買い出しをするべく街中をうろうろしていた。

 んで、昼過ぎまで買い物したあとは孤児院に寄って子供たちと戯れ、お菓子と一緒に来年もよろしくってのとよいお年をって言葉を残してその場を去ったんだわ。


 それだけの用事でも思ったより長居しちまってたみたいでね。冒険者ギルドに着く頃には陽がすっかり落ちてたのよ。

 中に入ると、案の定クリムゾンの奴等やそいつらと仲の良い冒険者たちが飲んでてな。だいぶ酔ってたってのもあるんだと思うが、来店した俺のことを怖がるそぶりもなく……むしろ、飲みの席に巻き込まれそうになったぜ…。

 なんとか誘いの手を断りつつも、なんだかんだでアレックスや古参連中に奢るついでで一杯だけ付き合うことになった。


 おかげさまで、寝床に着く頃には深夜手前。

 今が朝の鐘もなっていない早朝だということを踏まえると、あんまり睡眠時間は取れていないのかもな…。

 


「……あっちの家についたら、リオには悪いが少し寝かせてもらうか……日暮れ前に起きればまぁ、大丈夫だろ―――おーい、起きてるかー?リオーっ?」


『あ!はーいっ!いま出ますから、ちょっと待っててくださいねっ』

 

「あいよー!……ゆっくりでいいからなー?」



 クランハウスのドアをノックしつつ中に居るであろうリオに声を投げかけると、元気な返事が返ってくると共にドタバタと慌ただしい音が響いてきた。

 ここって、防音はそれなりにしっかりしてたはずだよな?……たぶん、ホールでわたわたしてるんだと思うが……あわてて転けたりしても知らんぞ?

 

 たびたび走り回る音が聞こえつつ、ドタンッと心配になるような音もあったが無視して待つことしばらく。

 遂にドアが開き、何かが入っているであろう大きな袋を両手に掲げたリオが登場した。



「お、お待たせしましたぁ………はふぅ……それじゃあ、先輩っ。さっそく出掛けましょう!」


「まてまて。その前にリオの荷物をイ…アイテムボックスに入れてやるから。ちょっと貸せ」


「あ、すいません……ありがとうございます…」


「別にいいってことよ……荷物はこれだけか?他にも持っていきたいものがあるんなら、ついでだし入れるぞ?」


「大丈夫ですっ!片方の袋が僕の着替えで、もう片方が皆さんから先輩への贈り物なので……忘れ物はないはずです!」


「おっ、そうなのか……そんじゃま、ぼちぼち向かいますかー…」


「はいっ!……あ、せっかくなので手を繋いでも…いいですか?」


「…はいはい、好きにしな」



 両手を塞ぐ荷物がなくなったもんな……手を繋ぐことがせっかくの範囲に収まるのはよく分からんがまぁ、本人がしたいならこれくらいはな?

 俺も小さいときはよく親に手繋ぎをねだったもんだしよ。高校生になってからは弟とよくしてたっけか。



「…ってか、今日も今日とて新しい服を着てるのな。しかも、前回部屋に散らかってた時には無かったやつだろ、それ」


「そうなんですよ……アリーさんからの贈り物でまた服が増えちゃいました……先輩にもおすそわけしたいくらいです…」


「いや、要らねぇよ。そもそもサイズが違うし、俺にはそういうしゅ……格好は似合わないからな」


「そう、ですか…ね?……先輩は細身で顔も綺麗ですし、身長も――」


「いやいやいや!絶対しないぞっ?!ってか、させるなっ。これでも男性の平均身長はあるんだわっ!な?リオは可愛いしそのカッコも板についてるからいいけどよ?俺みたいなおっさんには似合わん!」



 ったく。急に変なことを言い出すんじゃねぇよ……鳥肌たっちまったわ。眠気も少しだけどっかに飛んでったぞ?



「…かわいい……えへっ………先輩、この格好も似合ってますか?」


「ん?…あ、あぁ。いいんじゃないか?さっきも言ったが、もはやそういうカッコが自然体になってるように見えるからな……そう思うとリオもこの一年でだいぶ変わったよなぁ…」


「…あ、あはは……見た目の変化は主に、豊穣の灯りの皆さんによるものですけど……あ、でも!…先輩の影響も大きい…です、よ?」


「そうなのか?俺は特になんもしてないと思うが…」



 まぁ、見た目がおしゃれになったのはそうなんだが……化粧とかもしてるっぽいしな。

 それも変化のうちではあるけどよ、俺がリオの一番大きく変わったと思うところは内面なんだわ。雰囲気が柔らかくなったというか、ふわふわしてるというか……まぁ、なんだ。よくも悪くも、女所帯に囲まれた一年を送ってればこうなるのかもしれんな。


 だから、ほんとに俺の影響なんて欠片もないと思うぞ?

 まっ、豊穣の灯りに振り回された一年…ってのは俺もリオも同じか。

 

 

「ん、そうだ。あっちの家に着いたら、少しだけ寝させてくれ。ちょいとばかし寝不足でな」


「あっ、やっぱりそうですよね。玄関前で先輩の顔を見たときから、目元の隈がすごくて心配で……」


「んお、マジか……隈ができてるのは気づかなかったなぁ…」


「…もし、よかったら……なんですけど。僕も先輩と一緒に寝ちゃっても…いいですか?

 実は今日を迎えるのが楽しみで、昨夜はあまり寝られなかったんですよね…。だから、僕もちょっと寝不足ぎみでして……えへへ」

 


 ははっ!待ち遠しくてうまく寝付けれないって、遠足前の子供かっ。

 まぁ、その気持ちは大いに共感できるけどよ……起こしてもらう算段がなくなっちまったぜ。



「それじゃ…今年の年明け前日は二人仲良く、ぐっすりと寝て過ごしますかね……寝正月はしたことあるけども、大晦日をそう過ごすってのは何気初めてかもな…」



 もったいない時間の過ごし方にも思えるが……誰かと一緒なら、それも悪くはなさそうに感じるよな。不思議だ……とはいえ、さすがに丸一日寝るわけでもなし。年明けの合図までには自然に起きるだろ。


 とりあえずは、あっちの家についてからだな。寝る以外の何かをするにも、家に入ってみないことには何も始まらないしよ。

 


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