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信仰値カンストの神官、我が道を行く - 64:グレジハト村戦線-2
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信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
2章:フルムス

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64:グレジハト村戦線-2

「状況は!?」

「通達通りだ!!日暮れに合わせて一斉に出てきた!」

 敵の襲来によってグレジハト村の中が一気に慌ただしくなる。


「指揮は私が取る!歌と踊りは状態異常防御とダメージ軽減を中心に頼む!」

「お願いします!ギルマス!」

「分かりました!アタシ、全力で歌って踊ります!!」

 全体の指揮権は『満月の巡礼者』のギルマスであるルナが担当。

 前線指揮はヤマスラが担当し、村人とプレイヤーが協力して、村を囲う壁を利用して戦うようだ。

 後方支援はゲッコーレイが歌と踊りで行い、護衛として何人かのプレイヤーが一緒に行動するようだ。

 うん、正しい行動だ。


「ちょっと失礼。武器庫は何処かしら?」

「へ?武器ですか?何をお求めで?」

「投げるのに手ごろな槍を二本に、短剣を四本程。あ、どれも壊れてもいいような粗末な物で構いません」

「わ、分かりました。少々お待ちを」

 だが、少々敵が多すぎるし、厄介なのが混じっている。

 先程、暗視魔法をかけて壁の上から確認してみたが、ヤルダバオト神官が数十人、雑魚モンスターがその10倍以上、加えて明らかに雑魚ではない大柄のモンスターや強い力を放っているモンスターが居る。

 これを全てそのままにして、水際で対処するのは危険だろう。


「エオナ!領域魔法を展開しろ!壁の防御力を……エオナ?」

「歌います!『我らが信仰は揺るがぬ』!!」

「総員!構えっ!!」

「『スィルローゼ・ウド・ミ・ブスタ・ツェーン』、『サクルメンテ・カオス・ミ=ゴギオ・エハンス・フュンフ』」

 私は村人から武器を受け取ると、隠蔽スイッチを解除。

 困惑するルナを尻目に、武器を手に持ったまま魔法の詠唱を始める。


「『スィルローゼ・プラト・ラウド・スィル=ベノム=ソンカペト・アハト』、『サクルメンテ・ウォタ・サクル・エクステ・フュンフ』、『スィルローゼ・サンダ・ソン・コントロ・フュンフ』」

「おい待てエオナ。お前何を……」

 茨の領域を作り出し、それらを強化した上で馬の形に作り変え、私はそれに跨る。


「まずは敵の数を減らすわ。『スィルローゼ・ウド・ワン・ソンランス・ツェーン』」

「する……っ!?」

 そして『スィルローゼ・ウド・ワン・ソンランス・ツェーン』によってグレジハト村の上空に向けて私は飛び立つ。


「では……」

 基本的にはグレジファム村でやったことと変わらない。

 スィルローゼ様の代行者になった影響で植物化している武器を巨大化させ、魔法を付与するだけ。

 下から見た形としては青い光の塊が二つ、巨大な鳥の翼のように夜空に広がっているのが見えるだろう。

 で、後はこれにディレイ魔法を仕込んだ上で投擲するのだが……ここは前回から変える。


「『サクルメンテ・ストン・ネクス=スペル・ディレイ・フュンフ』、『スィルローゼ・プラト・ラウド・スィル=ベノム=ソンカペト・アハト』。射出」

 ディレイ魔法がかかった一本目の槍がモンスターの群れに向けて放たれ始める。


「『サクルメンテ・ストン・ネクス=スペル・ディレイ・ドライ』、茨と封印の神スィルローゼ様、貴方様が代行者であるエオナが求めます。草木を燃やし、新たな命を育む大地を生み出す火を我が穂先に『スィルローゼ・ファイア・フロト・イグニ・アハト』。射出」

 ディレイ魔法がかかった二本目の槍がモンスターの群れに向けて放たれる。


「一本目」

 音を置き去りにする速さで放たれた槍がモンスターの群れの中心に突き刺さり、それだけでキノコ雲が立ち上がるような勢いの爆風が生じ、直撃したモンスターを消滅させる。

 そして、その爆発に合わせて、発動を遅らせた『スィルローゼ・プラト・ラウド・スィル=ベノム=ソンカペト・アハト』が発動して、毒と封印の力を持つ茨がモンスターの群れの足元に敷き詰められていく。


「二本目」

 直後。

 二本目の槍が運悪く軌道上に居た大型モンスターを消し飛ばしつつ、突き刺さり、発動を遅らせた『スィルローゼ・ファイア・フロト・イグニ・アハト』が発動。

 生じた炎はモンスターの足元に敷き詰められた茨へと引火して……


「ジャストタイミングね」

 天を衝くような勢いの炎がモンスターの群れ全体を巻き込むように発生する。

 複数の強化魔法に木生火と言う五行の要素を合わせただけあって、その熱量は凄まじい。


「さて……」

 貰った二本の槍は失われたが、これで炎の中に居るモンスターの中でも有象無象程度の物は蒸発。

 これで、防衛はだいぶ楽にはなるだろう。


「やっぱり厄介なのが多いわね」

 だが、数を優先した為だろう。

 敵の中でも相応の実力を持つ者は、槍の攻撃を金属性の障壁で防いだ上で、素早く水属性の魔法も使って、その後の火も防いでいる。

 また、元々の体力が桁違いの連中は、大ダメージは受けていても、戦闘続行は可能なようだった。


「と、色々と上がってきたわね」

 そして、これだけの攻撃を放った以上、システムの枷から離れている連中含めて、私に対するヘイトは著しい物になっている。

 今はまだ攻撃が届く高度ではないために問題は無いが、既に散発的な攻撃が始まっているぐらいだ。


「このまま落ちるのは流石に良くないわね」

 つまり、このまま落ちれば、集中砲火に遭う事は必至。

 『ルナリド・ムン・ミ=グラビテ・カト・フュンフ』による軟着陸もその後を考えると、あまりよくはないだろう。


「では、試してみましょうか。『スィルローゼ・プラト・エクイプ・イパロズ=チェイス・フュンフ』」

 私は茨の馬の蹄部分に、それぞれ一本ずつ短剣を仕込む。

 そして、仕込んだ短剣に向けて、普段あまり使わない魔法を発動。

 直後、私は下から上がってくる攻撃魔法の射程内に入り、その内の一つが私に直撃するコースで飛んでくる。

 私はそれを……


「せいっ!」

 蹄の裏に生じた薔薇を足場として踏み砕くようにすることで、空中で跳躍、回避した。

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