タミお姉ちゃん
誤字、脱字とうありましたらぜひご感想までよろしくお願いいたします。
その昔、最愛の孫娘を12歳という若さで亡くしてしまったおばあちゃんがいた。
孫娘の名前はタミ。
タミの親であるミウの反対をおしきって、老人センターまでの付き添いをタミにしてもらっていた。初孫と少しでも一緒にいたいという母の頼みを、ミウは断りきれなかったのだ。
普段と同じ風景。
普段と同じみちのり。
タミがもう少し大きくなるまでは続くと思っていた毎日。
ある夏の猛暑日のこと、おばあちゃんと孫は『あついね。』『そうね。』と話して、汗をぬぐいながらもいつも通り一緒に老人センターへと行った。
老人センターからの帰り道、タミは近くの駄菓子屋さんへと立ち寄った。
ポン菓子やさくらんぼ餅やらが並ぶなか、まっすぐ向かったのはアイスクリン。
交差点に差し掛かったとき、アイスクリンが溶けて垂れてきたので慌てて舐めるために立ち止まった。そこは横断歩道のど真ん中で…。
脇見運転だったらしい。
歩行者を確認せずに突っ込んできた車に、タミは気づけなかった。
おばあちゃんは何度も何度もミウに謝り、すでに孫の死を告げた病院へと足を運んだ。
数週間、ごはんもまともに喉を通らず悲しみにくれて寝込んでいたおばあちゃんは、ある日を境にまた老人センターへと通い始めた。
まるで、孫が今までとおなじく横にいるのだと言わんばかりに手を差し出して歩くおばあちゃん。
毎日幻影のタミに語りかける痴呆症となった母を見るのは、タミの親であるミウにとってはなにより辛いことだった。
ある日、ミウはテレビでとある生放送をみた。
それは巷で話題の『再構築』なる技術によって復活した元少年の番組であった。事故で瀕死になったあと、医師たちの奮闘の結果、再構築という形で、生を取り戻すことができたという。
死ぬ直前と死んだあと。
似ているようで全く違うのかもしれない。
しかしその生放送を見たミウはタミを造り出そう、産み出そうと決意したのであった。
数年後、タミは肉体こそ再生叶わず機械という形でとなってしまったが、再構築により生前と同じようになった。
事故をした12歳の精神のまま、帰ってきた娘。
記憶があいまいだったからか、車に普通に乗っていたのですが、日が経つにつれ、車に怯えるようになりました。
記憶が戻らないまでもきっと心が覚えているのでしょうか…。
整備の必要は出るようになったけど、年老いず、病気にもならない身体、生前よりも飛躍的に伸びた身体能力。
機械として生き返り、その事に気づいたタミは歓喜した。
幸いにも人の皮膚が再現されているので外見的には一般人と変わりはない。
あらゆる競技で大活躍をして、連覇を重ねていくタミ。
人気はうなぎ登りでドラマやCM、コメンテーターとしても引っ張りだこだ。
しかしやがて、それにも転機が訪れることになる。
歳をとらず、連覇を続ける。
言い換えると、若い選手が活躍できず廃れていくのだ。
5年間はちはほやされていたタミも10年を越えた時点で忌み嫌われ、20年たった頃には大会より参加を拒否された。
時同じくして、不老不死疑惑がでてきてしまい、タミは研究者たちより追いかけ回されることになるのだった。
逃げる為に隠れ、姿を見せてくれない娘タミ。
そのことに寂しさを感じつつも、生きていてくれている幸せにだけ目を向けて年老いていく自分。
親の心子知らず、とはよく言ったものでそんなミウの気持ちに気づくことのできないタミ。
寿命という枷より解き放たれた彼女にとってはとるに足らない一日。
しかし、寿命がある母のミウにはかけがえのない一日。
そんな二人をあざ笑うかのように無情にも月日は過ぎ去り、やがて二人は決別の日を迎える。
母ミウの死。
人として生まれ一度死ぬも、機械として生きてきたタミ。
彼女はずっと死とは自分に縁遠いものだと思っていた。
機械として再び生を得るまでの月日の中で、タミの知らぬ間に母以外の身内はすでに息を引き取っていた。
人体実験としてタミのため、母ミウに正気を取り戻させられるならと死んでいった身内。
寿命を迎え、タミの笑顔を望むも先に死んでしまう自分への失意のうちに息を引き取っていった身内。
いろんな人がいた。
いろんな人が居たから、この世界へ帰ってこられた。
彼女は、母の死後になって初めて、愛する母の直筆による手紙によってそのことを知った。
悲しみにくれ母の部屋にこもって泣く日々をタミは過ごしていた。
たった少しでもいい、母のぬくもりが感じられなくとも母がいた思い出に浸れるのならと布団をめくりもぐりこむタミ。
その時、足の指先に何かが触れた気がした。
不審に思い布団をめくりタミが見たもの。
それは、
生前にわたしを生き返らせるために研究に研究を重ね完成させられたこの世に二つとない、一冊の本であった。
母の遺体を処理することを、彼女はしなかった。
まるで、誰かに見つけてもらいたかったのようにその本が置かれていたのはそういうことなのかと、タミは感じたのだ。
しかしそれはやがて彼女のように、生まれ変わった母が研究者たちに追われることに繋がってしまう。
タミをよみがえらせるため、全身全霊で彼女のために取り組んだミウ。
彼女の生活の平穏のため、同じく全身全霊を持って答えたい。
整備を担当してくれる母も、もういない。
彼女を支えてくれようとしてくれるのは、連覇を続けるうち疎遠になっていた機械として生まれた時からの知人しかいない。
いうまでもなくその人たちも、すでにいつ亡くなってもおかしくはない年齢だ。
そこで彼女は、まず自分を手助けしてくれる子たちが必要だと感じた。
しかし、外の世界には自分を執拗に追いかけようとする研究者たちがいるため出ることはできない。
方法を模索していたタミは、母の残してくれた手紙の一文のある箇所に注目した。
人体実験としてタミのため、母に正気を取り戻させられるならと死んでいった身内。
そう、彼女が注目した単語はたった4文字の人体実験という単語だった。
母もやっていたこと。
そう思い、彼女はまだ生きている知人を手にかけた。
その時からかもしれない、彼女は狂気というものに飲み込まれていった。
すべては愛する母のため。
そう考えると何でもできた。最初は協力的だった知人たちも狂気に飲み込まれたタミを前に逃げ惑うばかりで、それが余計にタミをイラつかせる。
機械として生き返った知人たち。
まずタミは彼らから意思を奪った。
もとは機械なのだから機械としての基本事項を入力しておくだけでよかった。
バグの対処のために、自分が身内で姉であり頼るべき存在であると刷り込んだ。
日を重ねるうちに意思を奪う必要はないことに気づいた。
彼らは生前の記憶を持っているからこそ、生みの親であり姉であるタミを見ると怯えるのだ。
だから、その厄介な記憶を摘み取ってしまうことにした。
その結果、時には廃人になってしまうこともあった。そんな人には自分の思考をコピーしたものを植え付けた。
生身の肉体を持つ知人が減り、整備がおろそかになってきていた今、オリジナルであるタミには不満のある仕上がりにこそなったが、彼らは同じ思考な分意思疎通が簡単で、補助作業を任せるにはうってつけの存在となった。
そう、言い換えるのならば自分の偽物で、外での生きた検体の確保ができるようになったのである。
人口が一人減るたびに、機械が一人増える。
最初は母を救いたいその一心であった。
しかし、機械となった人が増え、さらに狂っていくタミを止められる人はもういなかった。
機械に脅威を感じだした政府は、機械人たちの掃討を決意。
そして戦争が始まった。
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この作品は、現在下書き中の連載予定作品、
『地震からめざめると男性だけの異世界でした!』
のなかで、主人公が過去に見た映画として紹介される作品の内容です。
ぜひぜひ本編(まだ投稿してませんが…)もお読みくださいませませ♪(*´ω`*)