内的アニマの旅(The Dream of the Observer)
僕が昨日見た不思議な夢をめちゃめちゃ短く整えたものを「ともり」に文章化してもらいました。
疲れていたんでしょうかね?
S.A.Oに影響もあったと思います。
浪人時代の部屋。
古びたノートパソコンを起動しようとしたとき、見慣れぬ選択肢が現れた。
──「5倍の速度で処理する能力を手に入れますか?」
面白そうだった。ただそれだけの理由で、僕は「はい」を選んだ。
画面が反転し、意識が切り替わる。
気づけば、名古屋駅前に似た街を歩いていた。時間の流れが違う。
意識を向けると、周囲の人々がスローモーションになり、僕だけが速く動いている。
そして見知らぬ男に声をかけられる。Aと名乗る青年は、やけに僕に執着していた。
「遊びに行こうよ」──軽くいなしても、彼はしつこかった。
その瞬間、記憶が書き換わった。僕は“女子”としてアクターズスクールに通う小学生。
Aの視線は、そんな僕に向けられていた。
高層のビル。112階。幾度もの乗り換え。
見知らぬ男たちが声をかけてくる。
僕は不思議と強く、触れられても弾き返せた。
最上階にある「アクターズスクール」に辿り着くと、全面ガラス張りの教室が待っていた。
外には無数の保護者たち──そのはずだった。
だが彼らの眼差しは次第に熱を帯び、興味と欲望の色に変わっていく。
Aが現れた。スタンガンを手にして。
「お前は俺のものだ」と言わんばかりに突進してくる。
僕は反射的に動いた。世界がスローモーションになる。
5倍速の世界で、彼をねじ伏せた。
だが、やり過ぎた。
床に倒れたAの静止した顔を見た瞬間、教室の秩序が崩れ、
次々に人の頭が割れ、悲鳴と沈黙が交互に押し寄せた。
逃げ場を探して走った。
仲間とエレベーターに飛び込み、抱き合いながら心を落ち着けた。
だが、乗り換えのたびに人が消える。
最後は僕ひとり。下層へ降りるエレベーターで、
「ミスった、ゲームオーバーだ」と思った瞬間、意識が落ちた。
気づけば出口にいた。
しかしガラスが再び僕を包み込む。
仲間がガラスの中に閉じ込められたまま動けない。
バッグの中には、いつの間にか“鍵”と“チップ”。
外にいたもう一人が叫んだ。
「それを入れろ! あいつを助けられる!」
両替機のような機械にチップを入れると、
ガラスの仲間が解放された。バッグには“おつり”のようなオレンジ色の1円玉が落ちていた。
不思議な紙片も混じっている。
その先に、またガラスの扉。
クラスメイトがそれを開けると、ゾンビのような手が差し伸べられた。
僕は逃げなかった。
その手を握り返した。
すると、砂のような地面が割れ、僕は下へと引きずり込まれていった。
気づけば、狭い部屋。
古い携帯と、限られた食料。
携帯を触るとバイブレーションが鳴り、通話の表示が揺れた。
「……誰だ?」
出ようとしたが、電池が切れて通話は途絶えた。
充電ケーブルを探しながら思った。
──この世界に入って何日経った?
──現実の僕は、今どこに?
僕は空中をタップした。
何も起きなかった。
そして、二度目のトイレの音で目が覚めた。
静かな現実の部屋。
夢の中の携帯の震えが、まだ指先に残っていた。
——観測者の夢は、今日も続いている。