第六話 ぷるるん!胸がふさり
翌日曜日。
身支度を済ませて、朝一でギルドに向かう。今日は巨乳JK……じゃなくて、新谷姉妹と地下に挑む日。
…………
さえないリストラおっさんが……巨乳JKたちと一緒に冒険するなんて、想像もできなかった事。とはいえ、まだわからない事だらけだ。
ただ、地下がとてつもなく危険なのは明らかだ。気を引き締めよう。
「おはよう!」
板山ギルドに入ると、アカネの明るい声に出迎えられる。
「ダイキ! おはよう!」
「お、おはようございます!」
アスカとユキもすでに到着していた。
基本、地下へはパーティを組んで向かうのが原則らしい。ハヤブサのようなプロの他に、週末だけ副業で潜るパーティや、アスカたちのような見習いの学生まで入り混じり、ギルド内は活気で満ちている。
「ダイキ! 早いな!」
トップランクのパーティ、スフィーダのハヤブサとも挨拶を交わす。この世界では、彼らはスターだ。
「ダイキって、ハヤブサと知り合いなの!?」
アスカとユキの目が輝く。
「うん。ちょっとね。紹介するよ! 今日いっしょに地下へ潜る、新谷アスカとユキ」
「学生さん? 気をつけてね!」
「はいっ!」
姉妹の目がハートになってる気がする……
ちょびっと複雑な気持ち。
気を取り直して、いよいよ地下に向かう。俺、アスカ、ユキの初心者+見習い学生の即席パーティ。いくらスキルがあるとはいえ、前回のような無茶はできない。
前回同様、北に向かって薄暗い通路を歩いていく。
グギギギイ……
少し進むと、湧き上がるようなうめき声と共に、オークとゴブリン、十数体の群れが姿を現す!
「敵は雑魚ばかりだな。倒すぞ!」
「いくわよ!」
「が……頑張ります!」
ここはあえて”レトロゲーム”スキルを使わずに立ち向かう。素の状態で、どこまで戦えるか……確かめたい。
「おりゃあああっ!」
オークの一体に狙いを定めて、斬りかかる。
ウグカガガ……
ズシャッ!
何とか一体倒したが……普段の運動不足のせいで、なかなか思うように体が動かない。すぐに次のオークが迫る!
その瞬間!
「ウォール!」
グガアッ!
ユキの叫びと共に、青白く光る壁が現れ、オークが弾き飛ばされる!
「いくよ!ここは任せて!」
アスカもスキルを発動!
「シャインソード!」
ジジジジ!
右手にまばゆい光を放つ剣が浮かび上がる。
「やああああっ!」
光の剣をオークの群れめがけて振り下ろす!
グギャアアアア!!
一撃で、オークの群れがなぎ倒される!
俺は思わずつぶやく。
「す……すげえな!」
「ハア、ハア、ハア……こう見えても、学校では首席なのよ!」
「ハア、ハア、ど……どんどん来るわ……!」
確かにすごいが、まだまだ習いたてのせいか、二人ともバテバテだ。
いや、俺もだけどな……
最初は十体ほどだったオークやゴブリンだが、奥から次々と湧いてきて、迫り来る。全部で三十体はいるか……!?
素の状態での強さはだいたい把握したので……
(というか、体鍛えなきゃダメだな…)
「スキル発動!」
ちょっと反省しながら、レトロゲームリストを開く。
今回は……体力というか、身体能力を強化したい。
"キングオブバトラーズ94"
対戦格闘ゲームの名作をタップ。
格闘家のパワーに期待!
さらに都合いい事に、三人バトル制なので……ちょうど全員強化できるかも!
三体のキャラを選ぶと、全員淡い光に包まれる。
「おおおっ」
俺の全身に力がみなぎり――メインキャラクターの一人、格闘家テッドに扮する。
続いてアスカは――胸元が大きく開いた、セクシーな赤い忍装束、マイのコスチュームを身にまとう。
ユキは、人気キャラ、アテネと同じ白と赤二色の拳法着。
「……ちょっと!……また……なんでこんなカッコなのよっ!」
「……え……ええと……来るぞ!」
いつも使ってたキャラを無意識に選んでしまった……
ごまかしつつ、迫り来る敵に向き合う。
アスカが、手にした扇を一振りする。
ぷるるん!
胸がふさりと揺れた直後……
ブオオオオッ!
グギギギアアア!
振り回した扇が炎をまとい、群がるオークが焼き尽くされる。
「……す……すごっ!」
「よし、行くぞ!」
俺も後に続いて、昔何度も遊んだゲーム上の必殺技を繰り出す。――両手を大きく広げて勢いをつけたあと、衝撃波と共に敵に突っ込む!
シャアアッ!
グギャャアア!
ユキも、勢い良く必殺技、超能力攻撃を繰り出す。
「おりゃああっ!」
シュバアッ!
「それえっ!」
ブオオオオ!
ぷるるん
「ええい!」
シャアアッ!
ぷるん!
全員で、ド派手な必殺技を次々と繰り出す!
グギィ!ギアアッ!ガアアッ!
敵が次々と倒れていき、やがて全滅。うめき声も果てて、通路に静寂が戻る。
「ハア、ハア……火の魔法…すごい気持ちいいわね!」
……そこで、アスカはほぼ半裸のコスチュームに気づいて、赤面する。
「ちょ、カッコは最悪だから! なんでいつもこうなるのよ〜」
そして、再び一行は光に包まれて、元の姿に戻る。
「ふう……とりあえず、デビュー戦としては上出来だな!そろそろ戻ろうか」
俺は板山駅に向けて進もうとするが……
その時。
ズシンッ!
巨大な地鳴りが空気を震わせる。
ズシン!
ズシャッッ!
さらに北、板山台駅のほうから不気味な破壊音が聞こえる。
「……」
これは……ただ事じゃない。
「様子を見に行こう! 危険ならすぐギルドに報告だ」
アスカ、ユキもうなずく。
俺たちはさらに北へ進んだ――。
これから北では衝撃の展開が待っています。
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