22 オオバコ
予想外の町に行き当たったことで少し時間をロスしたルキアスは先を急ぐことにした。そして、休憩を挟みながら早足気味に歩くのと、休み無しでゆっくり歩くのとどっちが速いかを考える。
(……どっちでもいいか。
ただ一度休んだら動きたくなくなりそうだから休み無しでゆっくり歩くことにしよう)
ルキアスが旅を始めて気付かされれたのは、町からかなり遠くても意外に家がぽつんと在ったりすることだ。総じて街道からは離れ、獣道のような脇道に分け入らないと辿り着かないような場所に在る。
街道沿いであれば通り掛かりの人に便宜を無心されたりするのが煩わしいのも一因であろう。
(でもあんな場所だと野草や山菜を取り放題だろうな……)
ルキアスは理由よりも利点の方に心が引かれた。
「あ! 昨日のオオバコ、忘れてた」
そして野草繋がりで思い出したのがオオバコであった。『収納』に入れていたオオバコの状態を確かめる。
(あーあ、少し萎びてる。
どうしよう……)
「お昼に食べてしまうか」
そうと決まればと、歩きながらアク抜きを試みる。
だがその前の洗うところまでは馬鈴薯での反省を踏まえて立ち止まって行う。オオバコをじゃぶじゃぶと洗い、軽く下拵えをしたら一旦『収納』に戻し、鍋に『湧水』で水を張る。
そして歩きながらの『加熱』。湯が沸くまでにはそこそこ時間が掛かるため、立ち止まったまま待ってはいられない。難点は、少し慎重に歩かなければ湯が跳ねて火傷しかねないことだ。
湯が沸いたらオオバコを投入し、アク抜きも兼ねて茹でる。
茹で上がったら一旦立ち止まってオオバコを皿に避け、鍋の湯を捨てて水を張り直したらオオバコをさらす。水を切り、焼いた馬鈴薯の横に添えれば準備は完了。後は食べるだけだ。
ルキアスはまた立ち上がり、今の概ねの時間を計ろうと太陽の位置を確かめる。天頂付近まで上がっていた。だが……。
「あれ? 雲が出て来た?」
(ちょっと空の様子も気になるし、もう殆ど昼食時だから、少し早い気がするけど食べてしまおう)
ルキアスは適当な場所を見付けよとするが見付からない。
(歩きながらでいっか)
探すのが面倒になり、歩きながら食べることにした。まずは馬鈴薯に齧り付く。それから茹でたオオバコ。
「オオバコに味気が無いから舌休めにしかならないね……」
真剣に食生活の改善が望まれると感じたルキアスである。
しかしそれには早くダンジョンに行って稼けるようにならなければならない。
そうして未来に思いを馳せていたルキアスの頬に何かが当たった。手をやれば水の滴。
「あっ、と、雨か……」
いつの間にかどんより曇っていた空は、ルキアスが食べ終わるのを見計らったように雨粒落とし始めた。