Deprecated: The each() function is deprecated. This message will be suppressed on further calls in /home/zhenxiangba/zhenxiangba.com/public_html/phproxy-improved-master/index.php on line 456
恋愛小説短編集~ハッピーエンドストーリー~ - 【十六人目】 幼馴染みの二人が恋人へとなったのかは秘密
[go: Go Back, main page]

表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/197

【十六人目】 幼馴染みの二人が恋人へとなったのかは秘密

 俺と彼女は幼馴染み。

 何でも言える仲だった。

 だから秘密もない。

 ただ気付かなかっただけ。




「今日は何の日でしょうか?」


 登校中に幼馴染みの彼女が、笑顔で俺に聞いてきた。

 そんなの簡単だ。


「君が泣く日」

「何でそうなるの? 違うわよ」


 彼女は怒りながら言った。

 彼女が怒るのも仕方ない。

 だって答えが全く違うからだ。

 俺は知っているけれど、それを彼女には言わない。


「えっ、何の日?」

「分からないの?」

「全然分からないよ」

「ひどい」


 彼女は怒った顔から悲しそうな顔になる。


「あっ、学校に遅れそうだ。走るよ」

「嘘! 早く行こう」


 彼女は走る。

 そして俺も走る。


「ほらっ」


 俺は彼女に手を差し出す。

 そんな俺の手を握る彼女。

 俺は彼女の手を握り返し、彼女を引っ張るように走る。


「速いよ」


 彼女はそう言いながらも、楽しそうに走りながら笑っている。


 俺達の毎日はいつもこんななんだ。

 友達に、二人は仲が良過ぎなんてよく言われる。

 当たり前だ。


 俺達は小さい時からほとんど一緒にいるのだから。

 隣に住む彼女は、毎日のように俺の家へ遊びに来ていたから。


「また今日も手を繋いで登校かよ」


 学校に着くと友達に言われた。


「だって彼女が悲しそうな顔をしていたからな」

「それで手を繋いで彼女は元気になるのかよ?」

「うん。もう悲しかったことなんて忘れてるよ」

「何だよお前らは。恋人なのかよ?」

「違うって。俺達は幼馴染みだよ」


 彼女の機嫌の直し方は知っている。


 今日は手を繋いで直った。

 この前は頭を撫でて直った。

 その前は頬を両手で包んだら直った。


 これは俺しか知らないし、俺でしか機嫌が良くならないんだ。

 それなのにそれは俺の勘違いだった。



 あれ?

 なんであんなところに彼女がいるんだ?

 俺は校舎の裏で彼女を見つけた。


 彼女に近づこうとして足を止めた。

 そこには一つ上の先輩もいた。

 彼女と同じ委員会の男の先輩だ。


「えっ、いいんですか? 嬉しい」


 彼女は俺以外に可愛い笑顔を見せていた。

 何故か彼女に怒りを感じた。

 俺だけに見せる笑顔だと思っていたのに。


「これは君にあげるよ」

「本当ですか?」

「これを君と一緒に見る人は嬉しいと思うよ」

「そうだといいんですが、、。ありがとうございます」


 また彼女は先輩に笑顔を見せていた。

 彼女の笑顔は俺のモノなのに。


「あっ、このことは秘密にしてて下さいね?」

「うん。分かってるよ」


 秘密?

 彼女は俺に秘密なんて持つことはしないはずなのに。


 俺だって秘密は持たないのに。

 何で?

 どうして?


◇◇


「ねえ、どうしたの?」


 彼女と下校中に、彼女は心配そうに俺の顔を覗き込んだ。

 彼女と先輩の顔が頭に浮かんで、俺は彼女から顔を逸らした。


「本当にどうしたの?」

「君のせいだよ」

「えっ」

「君が俺以外の男と話していたからだよ」

「えっ、そんなのいつものことでしょう?」


 彼女が男子と話すのは当たり前だ。

 クラスメイトの男子。

 同じ部活の男子。

 男子と話さないということはない。


「いつもと違ったんだよ。まるで君が相手のことを、好きって言ってるように見えたんだ」

「好き?」

「そう。君は先輩が好きなんだろう?」

「先輩? 私が?」

「今日、本を貰ってただろう?」

「あっ、これ?」


 彼女はその本を俺に見せた。

 本は猫の写真集だった。

 彼女は猫が好きだから、先輩がくれたのだろう。


 彼女の好きなモノを知る程、仲が良いんだ。

 彼女の喜ぶ顔を見たいと思う程、彼女を想っているんだ。

 先輩は彼女が好きなんだ。


 そして彼女も先輩が、、好きなんだ。


「この本を先輩がくれたから嬉しかっただけで、先輩は優しくて良い人だよ?」

「でも、俺に見せる笑顔を君は先輩にも見せていたよ?」

「それはあなたのことを考えていたからよ」

「俺?」

「あなたとこの本を一緒に見れば、二人で可愛いなんて言って楽しいだろうなぁって思っていたの」


 彼女はいつもの可愛い笑顔で俺に言う。

 彼女は自分の笑顔が可愛いことを知らないんだ。

 だから、俺以外の男子の前で笑顔を見せるんだ。


 彼女の笑顔は俺だけのモノなのに。

 幼い頃からずっと見てきた俺のモノなのに。


「だからいつもの笑顔が出ていたのか?」

「そうよ。私はあなたのことを考えると笑顔が出てるみたいなの。先輩にも友達にも言われちゃうの」


 彼女は困った顔で言う。


「俺も友達に仲が良過ぎって言われるんだ。俺達って幼馴染みだよな?」

「そうだよ。秘密も持たないし、いつも一緒にいる幼馴染みだよ」


 彼女は当たり前という顔で言った。


「秘密? 君は秘密を持ってるよね?」

「私が?」

「先輩にこの本を貰った時に、秘密って言ってたよね?」

「それはこの本のことは、あなたが知るまで秘密って言う意味だよ」

「それでも俺に秘密を持ったんだよな?」

「仕方ないじゃない。あなたを驚かせたかったの」

「俺は先輩から貰った本を君と一緒に見たくはないよ」

「どうして?」


 彼女は悲しそうな顔で俺に訊いてきた。

 彼女の悲しそうな顔は見たくはない。

 でも、俺も彼女と同じで悲しいんだ。


 先輩から貰った本を一緒に見るではなくて、俺があげた本を一緒に見たいんだ。


 俺の方が彼女の好きな本を知っている。

 俺の方が彼女の喜ぶ顔を見たいと思っている。

 俺の方が彼女を、、、。


「分からないけど、嫌なんだ」

「私はあなたと見たいから貰ったんだよ?」

「俺の為に貰ったっていうのか?」

「違うわ。二人の為よ」

「二人の為? 君は俺が喜ぶと思ったわけ?」

「そうよ。あなたはいつも私と一緒に、楽しく見ているでしょう?」

「それは俺が、君の好きなモノを見つけて、君が嬉しそうにしているからだよ」

「それは私も同じなんだよ? あなたの為に見つけた本を、あなたと一緒に楽しめるのがとても嬉しいのに。あなただけじゃないのよ?」


 俺達って思っていたことは同じってことなのか?

 でも彼女が先輩から貰った本が嫌なんだ。


「俺が嫌なのは君が先輩から貰ったことなんだ」

「どうして先輩から貰っちゃダメなの? 先輩の妹さんがくれたのに、、」

「えっ、先輩の妹?」

「そうだよ。先輩の妹さんが本屋さんでバイトしていて、売り物にならない本をくれたのよ」

「それを早く言ってくれよ」

「えっ、どういう意味なの?」

「先輩が君のことを好きで、物を使って君を手に入れようと思っているのかと思ったよ」

「何よそれ? 先輩には恋人がいるのよ?」


 彼女の言葉にホッとした。

 彼女は俺のモノだ。

 彼女の笑顔は俺のモノだ。


「ところで今日は何の日か思い出したの?」


 いきなり彼女は、俺の顔を覗き込んで言った。

 可愛い笑顔の彼女の顔が近い。


「そんなの忘れてなんかいないよ」

「えっ」

「君の誕生日だよ」


 俺はそう言って彼女が前から欲しいと言っていた、猫のキーホルダーを渡した。


「えっ、これって私が欲しかったやつだよね?」


 彼女は涙目で俺に言った。


「何で泣きそうなんだよ。今日の朝の俺が言った、君が泣く日は間違ってないかもな」

「まだ泣いてないもん」

「そうだな」


 俺は彼女の頭を撫でた。

 これで泣かないと思ったのに彼女の涙が目からこぼれ落ちる。


「えっ、何で泣くんだよ?」

「幸せなの」

「えっ」

「すごく幸せで胸がいっぱいなの」

「そうか。君が幸せなら泣いてもいいよ」


 俺は彼女のことを何でも知っていると思っていた。

 でもそれは違った。

 俺は彼女のことを知っているようで知らなかった。


 それは彼女への見方が変わったから。

 彼女は幼馴染みじゃなくて、俺の好きな人になったから。


「ねぇ、この猫ちゃんの写真集を、あなたの家で二人で見ようよ」

「そうだね。それなら俺も幸せだよ」

「あなたも幸せなの?」

「そうだよ。君と猫。どっちも好きなモノだからね」

「えっ」


 彼女は顔を赤くして猫の写真集で顔を隠した。

 そんな仕草も可愛い彼女。



 この後の俺達はどうなったのか。

 幼馴染み?

 恋人?



 それは俺と彼女の秘密だ。

読んでいただき誠に、ありがとうございます。

ブックマーク登録や評価など執筆の励みになっております。

次のお話は、可愛いのに大人しく控え目な美少女を好きな主人公のお話です。

彼女がありがとうを言わないことに気付いた彼は、彼女にそれを伝えると、彼女はありがとうを言ったことがないと言う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ