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恋愛小説短編集~ハッピーエンドストーリー~ - 【四十一人目】 のんびり進む君との時間は婚約破棄をされた俺の心を癒してくれた
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【四十一人目】 のんびり進む君との時間は婚約破棄をされた俺の心を癒してくれた

ブクマや評価などありがとうございます。

執筆の励みになっております。

 俺が彼女と出会ったのは、俺が婚約者に婚約破棄をされて落ち込んでいた日だった。

 その日は天気予報では雨が降ると言っていたが、雨は降らず、ずっと空はどんより曇り空だった。


 まるで俺の心を表しているようだ。



 ほんの数分前に俺は、婚約破棄された。

 彼女には、ずっと忘れられない人がいたんだって。

 それなら婚約なんてしてほしくなかったよ。


 家族や会社にも、婚約が決まったって言ってしまったのに。

 何て説明をすればいいんだ?


 俺は、公園の少し大きな屋根がついているベンチに座って、考えていた。

 いつの間にか降りだした雨に、気付いた時にはどしゃ降りだった。


 少しここで雨が弱まるのを待った。


 すると、どしゃ降りの中を走りながら、俺のいるベンチに向かう人影が見えた。

 一度姿が消えたと思ったら、またこちらに向かって走っている。


 そしてその人影が女性だと分かり、俺の前に来た女性を俺は穴が開くほど見てしまった。


 可愛いから?

 まあ、可愛いよ。

 でも違うんだ。

 顔よりも俺は、彼女のワンピースを見てしまった。


 彼女のワンピースは、淡いピンク色だったんだと思う。

 色が分からないほど、彼女のワンピースは泥まみれで汚れていた。


「どうしたの?」


 知りあいでもない彼女に、声をかけるほど彼女はヒドイ状態だった。


「さっき()けちゃって」


 転ける?

 そう言えばこっちに走って来る時、一度姿が消えたのって転けたから?


 どんな転け方したらそんなに汚れる訳?

 この子面白い。

 笑ったらいけないのに笑ってしまった。


 彼女は、私の災難を笑わないで下さいと頬を膨らまし怒っていた。


「ごめん。笑ったりして」

「いいですよ。私の災難が誰かの笑顔になるのなら、まぁいっかって思えました」

「ありがとう」

「えっ」

「今日、嫌な事があったんだよ。だけど君のお陰で、少しの間だけでも忘れられたよ」

「嫌な事ですか? 私より災難があるんですか?」

「あるよ」

「絶対ないですよ。私なんて、この洋服は捨てなくちゃいけないんですよ? この泥は、絶対に落ちないと思います」


 彼女は、自分のワンピースを見ながら言った。


「君はワンピースがなくなるだけでしょう? 俺なんて彼女にフラれたんだよ?」

「えっそれは私より災難です」


 彼女はそう言って俺の頭を撫でた。

 彼女は俺より十歳は若いはずなのに、そんな彼女に頭を撫でられたけれど嫌じゃなかった。


 なんだろう?

 彼女の独特な雰囲気。


「今日、婚約者にフラれたんだ」

「それは私が聞いても良いお話ですか?」


 彼女は俺の頭を撫でながら言った。

 そんな彼女の手を掴んで、俺は彼女を見る。

 彼女は首を傾げて俺を見ている。

 俺の返事を待っているんだと思う。


「君が聞いてくれるなら話すよ」

「聞かせて下さい。聞きたいです。あなたのことを」


 何故だか分からないけど、彼女に俺のことを話したくなった。

 彼女は俺の言葉を、一つ一つちゃんと聞いて、たまに相づちもしてくれる。


 彼女は聞き上手だった。

 だからなのか、彼女に俺の全てを話したくなる。

 でも彼女とは今日だけだと思うから、全ては話さない。


「泣いてもいいですよ?」


 俺が婚約破棄をされた話をした後、彼女は泣きそうな顔をして言った。


「それはこっちのセリフだよ。君が泣きそうじゃん」

「だってあなたの気持ちを考えると悲しくて」

「君は優しいね」


 俺は彼女の頭を撫でた。

 さっき彼女がしてくれたから、俺もしてあげた。

 彼女は泣きそうな顔で見上げて俺を見た。


「そんなことをしても泣かないですからね」


 彼女はそう言っていたけど、涙が大きな瞳から一粒落ちた。


「そうだね。君は偉い」

「もう! 私を子供扱いしないで下さい」

「だって君は俺よりずっと年下でしょう?」

「年齢は関係ありません。泣くのに年齢は関係ないんです。大人でも子供でも泣きたい時には泣かないと、心がダメになります」


 彼女の言葉を聞いた俺は、彼女を抱き締めていた。


「ありがとう」

「どうしたんですか?」


 彼女は俺の背中をトントンと優しく叩く。


 なんだろう?

 彼女といると、時間が止まってほしいと思ってしまう。

 もっと彼女と一緒にいたいと思ってしまう。

 彼女を離したくないと思ってしまう。


「あっ、私のワンピースは汚れているから、あなたの洋服が汚れます」


 彼女は俺の腕の中で暴れる。

 でも俺は彼女を離さない。


「汚れますよ?」

「いいよ。君が俺の腕の中にいるなら」

「分かりました。あなたの気が済むまで、あなたの腕の中にいますね」


 彼女はクスクスと笑いながら、俺の背中をトントンと優しく叩き続けている。

 なんだろう?

 この気持ちは?


「くしゅんっ」


 彼女が可愛いくしゃみをした。


「大丈夫?」

「少し寒いです。でもあなたの腕の中にいるので、暖かくなってきています」

「家に来る?」

「えっ」

「あっいやっ、下心なんてないからね」

「分かってますよ。私みたいな小娘が、相手にされる訳がないですよね?」

「そんなことはないよ。年齢は関係ないんじゃなかったっけ?」

「あっ」


 彼女は自分の口を押さえた。

 俺は彼女を俺の腕から解放し、彼女を見る。

 彼女はまだ口を押さえている。


「ねえ、俺の家に来る?」

「私が、あなたの家に入ってもよかったら行きます」

「君だからいいんだよ」

「それなら、あなたの洋服を貸して下さい。このワンピースはもう着れないので」

「それなら俺のワイシャツを着てよ。君が来たら絶対、ワンピースになるよ」

「あっ、虹だぁ」


 俺の話なんて聞いてない彼女は、虹を指差しながら俺に向けて笑った。


 なんだろう?

 ずっと気になっていた事。

 分かった気がする。


 彼女は自分に正直なんだ。

 そんな彼女だから、俺は助けられたんだ。


 急いでいて転ける彼女は、ドジなんだと思う。

 自分のことのように悲しんでくれる彼女は、優しいんだと思う。

 間違っている事を指摘できる彼女は、強いんだと思う。



 虹を指差しながら笑っている彼女に、俺も笑ってしまった。

 そして彼女は、笑顔で幸せを分けてくれるんだと思う。


 それからのんびり過ぎる時間を、彼女と虹を見ながら楽しんだ。

読んでいただき誠に、ありがとうございます。感謝です。

楽しく読んで頂ければ幸いです。


次のお話は、可愛い幼馴染みの彼女が、起こしてくれないと起きれない主人公の彼の物語。

そんな彼に彼女は、自分で起きてほしくて彼を起こさなくなります。そして二人の間に邪魔者登場。

そんな彼は自分でちゃんと起きられるのでしょうか?

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