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恋愛小説短編集~ハッピーエンドストーリー~ - 【八十一人目】 何度言っても幼馴染みに伝わらないなら言わないでみよう
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【八十一人目】 何度言っても幼馴染みに伝わらないなら言わないでみよう

ブクマや評価など誠にありがとうございます。

「ねぇ、さっきすれ違ったカップルの彼氏さんが、彼女さんにすごく怒られていたよ?」


 幼馴染みが、不思議そうに言ってきた。


「それは彼氏さんが、彼女さんよりも君をずっと見ていたからだよ」

「私を? どうして?」

「そんなの決まってるじゃん。君が可愛いからだよ」

「またそんなことを言うの? 何度も言うけど、私が可愛いんじゃなくて、この制服が可愛いのよ」


 俺の幼馴染みは可愛い。

 だから男の視線が彼女に注がれる。

 それなのに彼女は、自分が可愛いことに気付かない。


 俺が、何度も可愛いと言っても、彼女には伝わらないんだ。


 俺が初めて彼女の可愛さに気付いたのは、まだ幼稚園に通っていた頃だ。

 彼女は、色んな人に笑顔でお礼を言っていた。

 彼女の笑顔は周りの人も笑顔にする。


 彼女は自然に笑顔が出ているんだ。

 だからなのだろうか。

 誰もが彼女の笑顔に見惚れる。

 幼稚園の先生もそうだった。


 男も女も関係なく、彼女は好かれていた。

 しかし高校生になると、彼女に嫉妬をする人がでてきた。


 だから俺は彼女を守る為に、彼女から離れないようにしていた。

 だが、俺が彼女を守っていても、彼女は傷つけられた事がある。


 彼女はその時も、自分が可愛いから女子の嫉妬で、傷つけられたとは思っていない。

 彼女は今でも、自分が悪いんだと思っている。


 俺は何度も、可愛いからだと言っているのに、彼女は信じない。


「ねぇ、あなたはどうして私から離れないの?」


 彼女は学校からの帰り道に、俺に言った。


「君が可愛いということに気付いてくれないからだよ」

「でも私は可愛くないわ。だからあなたは、私と一緒にいなくてもいいのよ?」

「もしかして俺が一緒にいたら嫌かな?」

「そんなことはないけれど、友達に言われたの。付き合ってもいないのに一緒にいたら、私に恋人なんてできないよってね」

「恋人がほしい訳?」

「そうじゃないの」

「それなら何? 俺が邪魔だった? だいたい、君が恋人を作れないなら、俺も作れないよ」


 俺の言葉に、彼女は傷ついている顔をしている。

 俺だって、こんなことは言いたくないんだ。

 でも彼女が嫌なら離れるしかない。


「いいよ」

「えっ」

「離れてあげてもいいよ。俺も早く恋人を作りたいからね」

「そうなんだね。やっぱりあなたは恋人が欲しかったのね」


 彼女は悲しそうな顔をして俺に言った。



 そして、その次の日から、彼女と一緒にいることはなくなった。

 学校へ一緒に行くことも、休み時間を一緒に過ごすことも、学校から家へ一緒に帰ることもだ。


 それでも俺は彼女を見かけたら、変わりはないのか確認はしていた。

 前のように、誰かに傷つけられていないのかを。

 彼女は、困っていることを隠そうとするから見つけるのに苦労する。


 でもそんな彼女でも、隠し事をすると歩き方が変わる。

 少し前屈みになり、長い髪の毛がいつもより少し顔にかかって、綺麗に整った顔が見えなくなる。


 今日もいつもと変わらない彼女。

 まだ誰にも傷つけられてはいないようだ。

 しかし、彼女に邪魔だと言われたのに、俺は何故まだ彼女を心配するのだろう?



「ちょっと、あんたさぁ、最近いつも一緒にいた冴えない男とはどうなってんの?」


 俺が彼女のクラスの前を通りかかった時に、女子の声がした。

 だから、なんとなくドアの隙間から中を覗いた。

 女子三人が、女の子一人に向かって言っているようだ。


「冴えない男じゃないわ。彼は私の幼馴染みよ」


 この声は幼馴染みの彼女だ。

 間違えるはずがない。

 彼女がいじめられている?

 だが少し様子を見る。


「分かったわ、冴えない幼馴染み君ね。しかし、あんたは何も知らないフリをして、本当は自分が可愛くて仕方ないんでしょう? だから冴えない幼馴染みを捨てて、他の男を探してんでしょう?」

「そんなことはないよ。だって、私が彼から捨てられたんだからね」

「えっ」

「あなた達は何も知らないのよ。彼がどれだけ優しいのかも、彼がどれだけ自分よりも相手を優先するのかを」

「あんた、そんな顔なのに男にフラれたの?」

「私は、フラれたんじゃなくて捨てられたのよ」

「それをフラれたって言うんだよ」


 彼女をいじめる三人の女子は、笑顔ではっきりと言葉にする彼女に呆れているようだった。


「それならフラれた記念に写真でも撮ろうよ?」


 さっきから話している真ん中の女子が彼女に言った。



 ん?

 何か仲良くなっている?

 やっぱり彼女の笑顔は、周りも笑顔にしてしまうんだ。


 しかし、仲良くなるのはいいけれど、彼女はフラれていないんだけどなあ。


 俺は、写真を撮ろうとしている彼女達がいる教室へ入る。


「なんでいるの?」


 彼女が驚いている。

 俺の姿を見て女子三人は彼女に、今度また写真を撮ろうよと言って出ていった。


「やっぱり君は可愛いよ」

「嬉しい」

「えっ」


 俺が彼女を可愛いと言って、初めて彼女から嬉しいという言葉を聞いた。


「あなたに可愛いって言われるとすごく嬉しいの。だって、私はあなたには可愛く見えるんでしょう?」

「そうだけど、俺だけじゃなくてみんなが可愛いって思うんだよ」

「そんなお世辞を言われても困るわよ」

「違うんだ……けど、まぁいっか。君は可愛いよ」

「うん。ありがとう」


 彼女は嬉しそうに笑った。

 彼女の笑顔は俺も笑顔にした。



 後日、何で俺が彼女に、可愛いと言うと嬉しいのか訊いたら、こんな答えが返ってきた。


「あなたと離れて気付いたの。あなたの可愛いの言葉は、私にとっては、なくてはならない言葉になっていたの」

「言葉だけなわけ?」

「違うよ。あなたが言うから嬉しいの。これからもずっと私の隣で可愛いって言ってね」

「それは、幼稚園児の頃から言ってるんだから、これからもずっと言うよ。君が言わないでって言っても、言い続けるからさ」

「それなら言い続けてよ。私は絶対に、言わないでなんて言わないわ」

「君は本当に可愛いよ」


 俺がそう言うと、彼女は嬉しそうに笑って、俺に抱き付いてきた。

 彼女は、恥ずかしいからあなたが見えないようにこうするのと言って、顔を隠すように、俺の胸に顔を埋めているが、耳が赤い。


 そんな彼女も可愛い。

読んでいただき誠に、ありがとうございます。


次のお話は、図書館で忘れ物の日記を見つけ、それを読む主人公の物語。

他人の日記を読むのはダメだと分かっているのに、読んでしまう。

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― 新着の感想 ―
[一言] あまーーーーーーーーい。 お砂糖たっぷり! いいですね。もっとやって^_^
2022/12/17 20:33 退会済み
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