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マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる - 焼け跡の片付けと来訪者
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マイペースな冒険者は今日も受付嬢に怒られる  作者: のんびり生きていきたいおっさん


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焼け跡の片付けと来訪者

領主の館での騒動が終わった次の日、ランド達は焼け落ちたノエルのお店を片付けていた。ガイゼルが処理の人手を派遣してくれると言ったのだが「焼け残ってる物の中で残しておきたいものがあるかもしれないから」とノエルが辞退したのだ。


「ノエル、これはどうする?」


「あ、それは素材を火に入れるときに挟む工具だね。それは鉄製だから煤を落とせば使えるから置いとく」


「わかったわ」


「ノエル、こいつは?」


「それはもう使えなさそうね、棄てるしかないかな」


「そうか」


「みんなごめんね、みんなも疲れてるのに手伝ってくれて」


「気にするな」


「そうよ、みんなでやった方が早くすむしね」


「あぁ、俺のマジックバックに入れたら運ぶのも簡単だしな」


「ランドさん…ありがとうございます」


「って言うかな…」×4


「おーい嬢ちゃん、コイツは棄てるのか?」


「は、はい!そちらに置いておいてくださると…」


「そうかそうか」


「なんで陛下がこんなとこにいるんだ?」


「普通に混じってるし…」


「煤まみれになりながらガラクタ運んでるぞ…」


「良いのかしらあれ…?」


「ま、まぁ元々冒険者をされていてこういった作業も嫌いじゃないそうだから」


そうランド達が会話する中…


「うぉースゲー!こんなデカイ火掻き棒初めて見た!なぁなぁこれどうやって使うんだ?」


「え、えーとそれはですね…」


子供のように目を輝かせて色んな物に興味を持ちノエルに尋ねているアルガスと戸惑いながらも答えるノエルをみてランド達は笑うしかなかった。


そんな感じで作業を進めていき、日が傾き暗くなる頃にはあらかた作業が終了した。


「みんなありがとう、みんなのおかげで早く片付いたよ」


「どうにか片付いたな」


「もう手が真っ黒ね」


「いい汗をかいたな」


「早くお風呂に入りたいわ」


「ノエルもお疲れ様、今日は宿屋に戻って休むか」


「ランドさん、ありがとうございます」


「いやー、久しぶりにこういった作業をしたな!あ、風呂に行くなら俺も一緒に行くぞ。構わないよなランド?」


「え、えぇ陛下がそれでよければ…」


「よしよし、たまには民との交流も大事だ。それにしてもランドよ…先程のお前の言葉だが取り方によっては誤解を招くから気を付けた方がいいぞ」


「は?」


「女性にたいして「宿屋で休もうか」なんて言ったら変な意味にとられるかも知れんぞ。もっとも、本当にそういう意味ならちゃんと相手の同意はとるようにしとけよ」


アルガスの言葉の意味が解らずランドは首を傾げるが他のメンバーは意味がわかって反応した。


「陛下ってあんな性格なんだな」


「なんかゼルと気が合いそうね」


「まぁ男としては堅苦しいよりは取っ付きやすいがな」


「この国大丈夫なのかしら?」


ノエルはそんなゼル達とはまた違う反応をして戸惑っていた。


「そ、そんなランドさんたら…でもラ、ランドさんなら別にそれでも…///」ゴニョゴニョ


ノエルの反応を見ていたリンは(これはノエルも相当重症ね…まぁ面白いから良いけど♪)と一人心で呟いていた。


そんな時にランド達に「そこの方々ちょっといいかね?」と声をかける人物が現れた。


ランド達が視線をやるとそこには一人の老人が立っていた。近くにいたゼルが「じいさんどうかしたのかい?」と声をかける。


「ちょっと聞きたいんだが、この辺にダイガンという男の工房があったと思うんだが知らないかね?」


「!」×6


老人がそう言うとノエルがそれに返答した。


「すいません、その工房はここにあったのですが燃えてしまったんです」


「なんじゃと?そうだったのか。数十年ぶりに近くに来たから線香でもあげようかと思ったんじゃが」


そう残念そうにする老人の顔をよく見たランドが「あれ?じいさんどっかで…」と口にした。


それに反応してランドの顔を見た老人が「ん?おぉ、ワシが山で迷ったときに麓まで送ってくれた兄ちゃんじゃないか!久しぶりじゃな」と言った。


二人の会話を聞いたゼル達は…


「ランド、知り合いか?」


「ん?ちょっと待ってたしか…」


「ランドが山で出会って…」


「助けた老人で…」


「おじいちゃんの知り合いってことは…」


そう言って考え込んだところでアルガスが「おぉ、アレックス!お前もこの街に来ていたのか?」と答えを告げる。それに老人も「おや、陛下ではないですか。久しぶりでございますな」と返していた。


「や、やっぱり…「伝説の魔道具師」アレックス!」そう言って驚きの声をあげた。


「あれが伝説の魔道具師か」


「ダイガンさんと知り合いだというからかなりのお年のはずだけど元気ね」


「まさか会うことができるとは…」


「魔道具の構造とか教えてもらえないかしらね」


そんな中ノエルは…


「あ、貴方がアレックスさんですか。おじいちゃんから話は聞いてましたがお会いするのは初めてですね」


ノエルはそう言ってアレックスに挨拶をした。


「おじいちゃん?」


ノエルの言葉に反応したアレックスはノエルの方に視線をやると「と言うことはお前さんがノエルか?ダイガンの手紙で名前だけは知っていたが…」とノエルを眺める。


「ふむ、なるほどな…ダイガンが言っていたように良い気配を持っているな。ダイガンは良い後継者に恵まれたようだ」


「おじいちゃんが?」


アレックスの言葉にノエルが聞き返す。


「あやつから最後に来た手紙に書いてあったわ。ほれ読んでみるか?」


アレックスが懐から一通の手紙を出してノエルに差し出す。ノエルは受け取ると中の手紙を開いた。


-古くからの友人アレックスへ-


元気にしているか?そろそろ歳なんだからあまり無茶をするなよ。俺はそろそろお迎えが来そうだ、おそらくこれがお前さんへの最後の手紙となるだろう。


俺は長いこと一人で金属を叩き続けた、鍛治こそが俺の全てであり他には何も要らないと思っていた。


だがあるときから俺はもっと大切なものを手に入れた、お前さんにも何度か手紙で書いている「ノエル」だ。


あの子は俺が本当の祖父ではないと知っても「私のおじいちゃんはおじいちゃんだけだよ」と言ってくれた。その事は俺にとっては今の国王陛下の武器を造ったときよりも嬉しかった、そしてあの子は俺の後を継いでくれるとまで言ってくれた。


あの子には才能がある、あの子には俺の鍛治人生で培ったモノを全て教えた。更なる経験を積めば俺なんかよりも腕のある鍛治職人になるだろう。


しかし、あの子はまだ若い。もしお前がジースに来たときにあの子が困っていたらどうか助けてやってほしい。


これが俺の最後の頼みだ、どうかよろしく頼む。


俺は先に向こうへ行くが、お前さんもこちらへ来たときはまた酒を酌み交わしながら互いの技術を競い合おうじゃないか。


重ねて言うがどうかノエルのことをよろしく頼むぞ。


-お前の古くからの友人ダイガンより-



「おじいちゃん……最後まで私を想ってくれたんだね…」


ノエルはダイガンの自分への愛情の深さに手紙を持つ手に涙を落とした。


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