第四話下水道探索⑧
◇◇◇◇◇
「ふむ、なるほどドワーフ族か…
だから地下にも詳しいって訳だ」
リーンもやっと顔を緩める。
「よ、良かったぁぁ…
扉が閉まった後…
背後から声がしたから、
僕は…てっきり幽霊に襲われて
道連れになるのかと思ったよぉ」
安堵しながら、盛大なため息を吐くイル。
助かった!という顔のイルと対照的に、
ドワーフ族のアーファは少し顔を曇らせる。
「ああ…
たまにゴーストがイタズラして
扉を閉めちゃうんだよね」
そう言い、困った困ったと(全然困った感は無い)
アーファは肩をすくめるが…
イルは緩んだ顔を再び歪める事になる。
「ぎゃぁぁぁ⁈」
「イル、うるさいぞ!
まだ実害は無いのだ、いいじゃないか」
閉じ込められるって実害が
有りまくりじゃないか!
…と、泣きながら訴えるも声にならない。
「まぁまぁ、ニ人共!
私の研究室から、外へ出られるから…
少し落ち着こ!」
ドワーフ族のアーファは苦笑いしながら、
案内する。
実はこのイタズラは度々起き、
清掃に来た下水管理人らを
恐怖させていたという。
扉がすぐに開かない場合は、
こうして、アーファが様子を見に来て、
出口へ案内するのだという。
「こっち!少し狭くなるから気をつけて」
アーファに案内されたのは、
下水道を探索してた先程の…
金網が壊れていた場所だった。
「ここから、一般民家へ繋がる下水道になるの」
なるほど、金網が壊されてる
理由はアーファにありそうだ。
リーンは一人納得し、
アーファに続く。
背丈の低いドワーフ族には
苦もなく通れる道だが、
身長のあるヒューム族には
屈まないといけないくらいの
狭さだった。
ましてや、高さもだが…横幅も狭く…
「狭いよう、あぁ!腹が金網に引っかかったぁ」
「キサマはやはり、もう少し痩せなければな」
実家に居た時より、
食べ物はかなり質素になり、
それなりに運動もして痩せてきたと思う
イルだが…
リーンはまだまだスパルタを
するつもりのようだ。
「もう少しだよ!ほら、
少し灯りが洩れてる場所!
そこが私の研究室だよ」
ドワーフ族アーファの居住地は
金網から程なくした場所にあった。
小さな入り口に、
またも苦労したイルだが
研究室は意外とこじんまりとしてながらも、
それなりの広さはあった。
室内には、整然と並べらるた書籍と…
瓶に入った、様々な形、色合いの
変わったキノコが標本として
陳列されていた。
「下水道探索後の
汚い姿で室内に入るのは申し訳ないな…」
室内の入り口で躊躇するイルだったが、
アーファは気にした風もなく、
部屋へ案内する。
「大丈夫だよ〜!
私もよく、下水道には行くし…
気になるなら後でタオルも用意するよ!」
「あ、ありがとう」
何とか小さな扉に体をねじ込ませて、
ほっと一息のイルは恐縮しながらも
感謝を伝えた。
そんなイルにアーファは声をかける。
先ほどの明るい声とは、打って変わり
甘く、熱をはらんだ声になる。
「ね、ねぇ?
…それよりも、君…」
「え?僕?」
アーファはイルの方をじっと見つめていた。
いや、顔ではない。
イルの股間付近を凝視しているようだ。
イルの股間を凝視したアーファは
更に衝撃的な一言を発する。
「素敵…」
アーファの様子がどこかおかしい⁈
◇◇◇◇◇
(第四話⑨へ続く)