夏葉の絶望 1
少し短いです。
入口で無力化されていく少年達を見つめる優太と夏葉。
あの中に加わっても足を引っ張るだけである。
万が一、彼等がこちらに来ても夏葉は守ると警戒だけは怠らないでいた優太はふっとあることを思い出し、顔を赤くすると慌てて上着を脱ぎ、自身の後ろに隠れているはずの夏葉に上着を差し出し言う。視線は部屋の入口付近でのびている少年3人を見つめて。
「夏葉ちゃん。今、着られそうな服無いから……申し訳ないけどしばらくはこれで……」
「…………」
夏葉は無言で上着を受け取った。
優太が夏葉に上着を渡しているその時。
「2人程逃げられてしまいました。申し訳ありません」
言って彩香に頭を下げるあさひ。
彩香は足元に転がる少年達に冷たい視線を向けて、
「1人でも確保出来れば大丈夫よ」
言った。
「芋づる式で捕まえられるから」
こうして事件は無事(?)に解決したと彩香とあさひは胸を撫で下ろしていたところ、ある問題が判明した。それは……
「彩香さん!」
「どうしたの優太さん?」
彩香達の視線が声の主である優太に集まる。その表情からただごとではないと駆け寄る。
「夏葉ちゃんが……」
夏葉に目を向ける。
彼女は小刻みに震え、真っ青な顔で呆然としていた。
「夏葉さん?」
「…………」
エサを求める魚の様に口をパクパクさせる夏葉に彩香は戸惑い、事情を知っているであろう優太に顔を向ける。
「夏葉ちゃん。しゃべれなくなってる」
それは、歌ってみたで売るYouTuber。KOYO-にとっては致命的な問題であった。
その事実に彩香とあさひの2人も青くなる。
「失語症? 直ぐに検査を……」
「は、はい!」
あさひは慌ててどこかに電話を始めた。
精密検査をうけたところ、失語症ではなく強烈なストレスから来る失声症であることが判明したのだった。
【夏葉の絶望 1】を最後までお読みいただきありがとうございます。
失声症を患ってしまった夏葉。
彩香さんも大変です。
最初のメジャーデビュー案件は婚約者の浮気で白紙。
次は失声症でメジャーデビューに暗雲。
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