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受験勉強していたら幼馴染みの彼女が浮気してた。 - 結末5 【れん】
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受験勉強していたら幼馴染みの彼女が浮気してた。  作者: タイラ・ヒラ・タイラ
結末
55/59

結末5 【れん】

明けましておめでとうございます。


今年もよろしくお願いいたします。

「糞がぁっ!」

 オレは一言吐き捨てると足元に転がるペットボトルに向かってふらふらと歩み寄ると怒りに任せておもいっきり蹴り飛ばす。

 ペットボトルはふわりと浮き上がり、ポコンと壁に当たる。

「………」

 手にした賞味期限間際の特売品発泡酒を口に運ぶ……酒はいつの間にか空になっていた。

「……くそっくそぉっ!」

 オレは雲一つ無い晴天を見上げ、むしゃくしゃする思いを吐き出すと手にした空き缶を前へと投げ捨てたのだった。



 一週間が過ぎた。

 彩香に浮気がバレてから全てがうまくいかなくなった。

 この一週間でオレは落ちぶれた。本当に……驚く程に落ちぶれてしまった。


 目前だったバンドのメジャーデビューは無くなり、バンドは解散。


 オレの有責での婚約破棄に数千万単位の損害賠償訴訟。


 そして、金の切れ目は何とやら。一週間前は数十人は居たはずの友人達は皆……オレから去って行った。


 たった一回の浮気がバレただけでオレは名声も金も友人さえも全てを失ってしまったのだ。浮気の結果がこれはあまりにも酷すぎる。

 納得のいかないオレは彩香に会うことさえ出来ず、不満から日に日に酒へと依存していくのだった。



「さけぇ……」

 その場に力無く座り込む。

 ズボンのポケットに手をつっこんで金を探す。

 もう。発泡酒を買う金さえ残って居ない。僅か一週間前ならば一本数万円はする酒を金など気にせず浴びるように飲んでいたというのに……

 うずくまるオレの視線の先に転がる小さな小石を見つめる。

 それはまるで……今のオレの……みじめだった。


「何で……バンドを解散するんだよぉ」

 オレのアイデンティティーだったバンドが解散した場面(その時)を思い出し、力無く笑い。そして泣いた。



「悪りぃ。メジャーデビュー一端白紙になっちまったわ」

 彩香から契約破棄を告げられてからはじめてバンドメンバーと集まったこの日、オレは開口一番メンバー達に笑いながら語りかけた。

 いきなりの事にポカンと口を開け、固まるバンドメンバー達。数秒程の時間を開けて、

「は?」

「その冗談は……タチが悪いぞ?」

「何でだ?」

 驚きの声をあげて彼等は慌ててオレの元へと駆け寄るのだった。


 オレは詰め寄るメンバーに出来る限り明るい口調であくまでも些細なことであることを強調して理由(わけ)を話す。

「彩香に女のことバレた。あのライブハウス経由で……」

『なっ!』

「悪いな。協力してもらったのに。あのライブハウスのオーナーは先を見る目がないな」

『…………』

 デビューの白紙化が相当ショックだったのだろう呆然と立ち尽くす三人。


 三十秒以上が経つも誰一人立ち直る気配を見せないメンバーに、『ここはリーダーらしく皆を安心させて引っ張っていかないとなっ!!』そう思いオレは胸を張り、

「ハハハ。そう落ち込むな。確かにメジャーデビューは少し遠のいたが……お前達は俺がヘッドハンティングして集めた精鋭だ。オレとお前等が居ればメジャーデビューなんてすぐ……」

「そうだよ!」

 オレの言葉を怒声が遮った。

 三人は怒気のこもった目をオレに向けると。

「お前に誘われて……俺は十年以上……十二年……か。十二年一緒にやって来た最高だった仲間とケンカ別れまでして……それなのに……それを……浮気でボツだとっ……糞!」

「えっ?」

 これまでイエスマンであったハズの彼等の変貌にオレは戸惑い焦る。

 理由は分からないが、このままでは不味いとオレの直感がそうささやいていた。



「だっだから、オレと……」

『そのお前が問題なんだよっ!』

 声をハモらせるメンバーの冷たい視線がオレに突き刺さる。

「お前は……ビジュアルだけだろ。

 お前の歌唱力のせいで彩香さんが死ぬ程苦労していたの忘れたのか?」

「ハハハ。今の時代、歌唱力なんて飾りだろ。人気アーティストだってだいたいしているだろ。歌の加工なんてさ!」

『…………』

 笑うオレの頬がひきつっているのがわかる。

 雰囲気から三人が何を考えているのか分かってしまったから。


 オレは慌てて口を開こうとするも一瞬遅く、

「ああ。うちも前に専門のクリエイターが『これなら工事現場の音を元に……それを歌っぽくする方が幾分か楽だ』って真顔でぼやいていたの聞いたことあるぜ」

「は?」

 何を言っているんだ?

 確かにオレの歌は……だがそれはいくらなんでも言い過ぎだろ。

 呆然としている間に三人の話しは進んでいき、そしてとうとう……

「プロさえも泣くレベルの音痴って逆に感心するわ。

 なあ、もうこのバンド先無いから解散でよくないか?」

「だな」

「俺も解散でいいぜ」


「ちょっと待てよ。ライブ(あの時)、協力してくれただろうが……お前等だって共犯……」

「ふざけるな!

 あのタイミングで致命的なスキャンダルを堂々と見せられたら……隠蔽(協力)するしかないだろうが!」

 そう叫ぶと彼はオレに背を向け、

「みんな行こうぜ!」

『おう』

 歩き出す三人。


 こうしてオレはメンバー全員を失ってしまったのだった。



 ビルの壁を背にしてオレは爽やかな青空を見上げ、

「バンド活動は自体はオレ等の実力でうまくいっていただろ……」

 独りになってしまったオレは再起をはかるためバンドメンバーを募集するも一人のメンバーさえ確保出来ずに借金だけが膨らんでいき……



 そして……



「ごらぁ。借りたカネ返せや。こらぁっ!」

 とうとうオレを訪ねてヤクザが姿を現すようになってしまった。

 以来、オレは一人部屋の隅で震える毎日を送っていくこととなる。ヤクザに捕まるその日まで……




〖結末5 【れん】〗を最後までお読みいただきありがとうございます。


すずの浮気相手の末路でした。

次は夏葉の親友である静のお話となります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 小さな違和感【すず視点】ですずが私の為に2人っきりで歌ってってお願いされた時顔を引き攣らせてたかられんは自分が音痴なの知ってたんだと思ってたが違ったのか
[一言] そんなに歌が下手なのによくライブハウスでやったな。
[気になる点] 幾ら相手が婚約者だからってビジネスで極度の音痴をメジャーデビューさせようとしてたって彩香も相当馬鹿じゃないか?
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