JAL・ANA…航空大手のLCC戦略が岐路に立っている、共同出資解消・運航休止
航空大手の格安航空会社(LCC)戦略が岐路に立っている。日本航空(JAL)は傘下のLCC「ジェットスター・ジャパン」から、共同出資していた豪カンタス航空が撤退することを受け、2027年6月にも新ブランドに移行する。ANAホールディングス(HD)は短距離国際線を中心に運航していた「エアージャパン」の運航を3月に終了。全日本空輸(ANA)ブランドに集約する。(高屋優理)
ジェットスター・ジャパンはJALが50%、カンタス航空が33・3%を出資し、11年に設立、12年に運航を始めた。カンタスは7月に保有する株式を全て手放し、日本政策投資銀行(DBJ)が引き継ぐ。残りの16・7%は東京センチュリー(東京都千代田区)が引き続き保有する。カンタスの撤退で、ジェットスターというLCCのブランドは使えなくなることから、新ブランドを10月に発表。27年6月から新ブランドでの運航を開始する計画だ。
JALの鳥取三津子社長は「日本におけるLCC市場の確立と発展に向け、パートナーシップを築いてくださったカンタス航空に対し、深く感謝する」と述べた。JALはLCC市場で先行するカンタスの知見とブランドを活用してLCC事業に乗り出した。だが、カンタスは25年11月にジェットスター・ジャパン事業で約30億円の評価損を計上。円安が進み、収益性を下げていることから、撤退に踏み切った。
JALの斎藤祐二副社長は今後の事業展開について「インバウンド(訪日外国人)を中心にアジアに需要があり、これから伸ばすのは短距離国際線になる」と述べ、アジア路線を中心に注力する方針を示した。JALは中距離国際線のLCC「ジップエア」を運航しており、ジェットスター・ジャパンは国内線を中心に路線を展開してきた。資本構成の変更により、事業戦略も変化しそうだ。
ANAHDは24年2月に就航した国際線ブランドのエアージャパンの運航を3月下旬で休止する。国際線のロシア上空通過の回避が長期化し、機材や人員がタイトになっていることから、リソースをANAに集約する。ANAHDはANA、エアージャパンにLCCの「ピーチ・アビエーション」を加えたマルチブランド戦略を打ち出していたが、芝田浩二社長は「マルチブランド戦略から選択と集中のデュアルブランド戦略に切り替える」と述べた。
2000年代からLCC市場が拡大し、航空大手もブランドを立ち上げて参入するなど路線を拡充してきた。だが、主力のフルサービスキャリアとの共存は課題となっており、事業環境の変化の中で、ブランドの淘汰(とうた)、すみ分けが進むことになりそうだ。