本当のお金持ちはどんなことにお金を使っているのか。『「新」富裕層ビジネスの教科書』(集英社インターナショナル)の著者で、クレディセゾン セゾンAMEX事業部で富裕層向けのビジネスを展開している岸田大輔さんは「かつては高級時計、高級外車、ゴルフやワインなどステータスを象徴する趣味が定番だったが、その傾向は大きく変化している」という――。(第3回)
突然降ってきた「富裕層ビジネス」
私はクレディセゾンのAMEX事業部で富裕層ビジネスを展開し、2020年からこれまでに1000人以上の富裕層の方々と会ってきました。彼らと交流し、さまざまなサービスを提供することをいまとなっては楽しめていますが、部署異動の辞令を受けて最初に思ったことは「なんで自分が富裕層ビジネスを担当するのか」という後ろ向きなものでした。
それまで私は、東南アジアを拠点に、金融サービスの恩恵を受けられていない「アンダーサーブド層」と呼ばれる顧客をターゲットとしたビジネス開発をしていました。
そんな中で、突然、会社で富裕層向けのクレジットカード開発プロジェクトが立ち上がりました。当時の私にとって、富裕層とは「お金の力を使って偉そうに振る舞う人たち」というネガティブなイメージがあり、率直に言ってあまり気が進みませんでした。
ですが、最終的には「やらなければならない」という状況を受け入れ、富裕層ビジネスの扉を叩くことにしたのです。
