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エロトラップマスター俺くんと被害者イオリちゃんの初夜①② – Telegraph
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エロトラップマスター俺くんと被害者イオリちゃんの初夜①②

エロトラップマスター俺くんと被害者イオリちゃんの初夜①②



「う、うぅ…………」

流れ落ちる水の音を聞きながら、銀鏡イオリはひとり頭を抱えた。

……も、もしかしてこれ、「そういう」展開か……?

何度確認しても今自分はシャワーを浴びているし、ドアの向こうの部屋ではこの間晴れて恋人となったアイツが髪から水を滴らせつつ震えている。

「いつかは、なんて思ってなかったわけじゃないけど、そうか、今日かぁ……」

スポンジにボディソープを取り、何度か手の中で潰して泡立たせる。

肩から首、そこから腕の先まで戻して反対の肩を通って腕まで。

脇の下を念入りにスポンジでこすりながら、シャワーのお湯以上に熱く感じられる頬をイオリは確かに認識していた。

きっかけは、本当に普通のデートだったのだ。

今日はどんなトラップも仕掛けないと何度も念押ししてから取り付けたお出かけで、前から気になっていたゲヘナ郊外のネモフィラ畑を見にいって、近くのカフェで足を休めて、陽が落ちる頃には帰ってくる、そんな普通のデート。

それがネモフィラ畑から出たところで予報外れの大雨になり、あわてて2人で駆け込んだビジネスホテルの一室で今、イオリはシャワーを浴びている。

2ヶ月ほど前、急に恋愛感情をアピールしてきた彼に絆され付き合うようになってから、覚悟はしていたし、デートの日はそういうことになっても大丈夫な下着を着けるようにしていた。

そもそもこれまでも破廉恥なトラップやいたずらを多数しかけてこられるうちに、仄暗い興奮を覚えて「見られてもいい」ものを常用するようになっていたから、下着的には問題ない。

あるとすれば、急に来たチャンスへの戸惑いと、それ以上に彼と繋がりたいという気持ちへの青い期待感。

ぐるぐるとめぐる感情を泡に隠すように、イオリは脚も胸も肩も首も、あらゆるところを3回は磨くように洗っていった。



「あ、あがった、ぞ……」

「あ、うん、ってイオリ、その恰好……!」

「なに? 服が雨でびしょびしょなんだから、仕方ないでしょ。……あんまり見ないでよ」

「ご、ごめん」

何とか雨からは無事だった下着のうえからホテル備え付けのバスローブを着、イオリはそっと客室に戻った。

まだ髪が濡れたままの彼はシャツを脱いで上半身裸の状態で、テレビ横の椅子に座っている。

その向かいの席に腰を下ろす。

ハーフコート程しかないバスローブの裾が座ることで引っ張られ、太もものほとんどが露わになって。そこにじっと視線が注がれているのを、何度もトラップにかけられてきたイオリの感覚は逃さなかった。

……やっぱり、こいつも……。

何度も何度も、逆さ吊りにされたり穴に埋められたり、ローションまみれにされたりくすぐり触手にまさぐられたりしているときに感じた視線だ。

恋人からの欲を含んだ視線に今はもう不快感もなく、ただイオリのへそ下のあたりにどうしようもないほどのむず痒さが広がっていく。

「ねえ、イオリ」

「なっ、なんっ、なんっ!?」

つい、と近くなった顔に心臓が跳ねる。

風紀委員の前線要員らしからぬ声をあげてしまったが、彼のほうはといえば相変わらず濡れた前髪を鬱陶しげにかきあげつつ、こちらの様子に首をかしげていた。

……う……。

いつもと違い前髪をあげる動作を見て、また心臓が跳ねる。

なんで私ばっかりと思うものの、無自覚な色気を振りまいているバカはそのことに気づいた様子もなかった。

「きゅっ、急に近寄るなっ!」

「なんでよ」

「なっなんでって……その……心の準備が必要だから!」

とがった耳の先まで真っ赤になっている感覚のまま、イオリはバスローブの胸元をかき抱く。

その様子にまた首を傾げ、彼はスマホの画面を見せてきた。

「まあいいや。見てこれ、雨、明日の朝までこんな感じだって。電車もゲヘナ区間は止まっちゃってる」

「なんでまた、こんな急に……」

「ミレニアムの試作天候操作マシンが暴走して爆弾低気圧を刺激したみたいだけど、詳しいことはわかってないみたい」

「へぇ…………?」

そういうこともミレニアムならあるだろうか、と頷く。

「じゃあやっぱり、今日はこの部屋に泊まりだね」

「う、うん……。…………うん?」

――泊まり。

おとまり。

つまり――一夜を、このエッチないたずらばかりしてきていた恋人と過ごす?

「とっ……とりあえず、シャワー浴びてきなよ。そのままだと風邪ひく」

「あ、うん」

軽い足音と、流れ始める水の音が聞こえ、イオリはベッドに仰向けに倒れこんだ。

「……ああ、そっか」

……私、今日、あいつに抱かれるんだ。

そう認識した途端、胸の先がじんじんと痛むくらいに固くなりはじめているのを、イオリは意識して意識しないようにした。



テレビの中ではクロノスの生徒がしきりに今回の大雨の影響を騒ぎ立てている。

特にゲヘナ周りがひどいらしく、ハイランダーのゲヘナ学区便責任者の生徒は疲れた目で「運航再開は少なくとも日をまたぐ」とかぶりを振っていた。

「…………なあ」

そっとしぼりだした声に、なぜか彼のほうが肩を震わせ、驚いていて。

並んで腰かけたベッドのマットレスを通じて動揺を受け取って、「なにやってんの」と自然と笑みがこぼれた。

「ご、ごめん」

「緊張、してる?」

「……じつはね。部屋入った瞬間から、めっちゃ緊張してる」

「ふふ。……実は、私も」

つい、と尻を浮かせる。

10センチほどのもどかしい距離を自分から詰めて、バスローブ越しにお互いの腿と肩が触れ合って。

そっと左にいる彼に体重をかけると、おっかなびっくりではあるが、こちらの右肩を抱いてくれた。

「私のこと、好き?」

「好きだよ。もちろん」

「あ、ありがと。…………私も、す、すき」

少し言葉に詰まったのは、やはり気恥ずかしさが舌を鈍らせたから。

二人きりで、肩を抱かれて、じんわりと彼の体温が右肩に置かれた手から伝わってきて。好きと即答してくれたことも、いまのこの状況も。全てがどくどくと心臓を早めて、指先が痺れるように痛い。

……キス、したいな。

そう思ったとき、右頬に感触があった。

そのまま彼の手によって優しく顔を左に向けられ、唇が触れ合う。

「ん……」

「ぁ、ふ……」

最初は触れ合わせるだけの柔らかいキス。

そのまま3センチだけ離れて、すぐに開いた唇どうしでついばみあい。

舌先がこちらへ割って入ってくるから、こっちも舌で受け止めて、横のざらざらした部分を引き込むように絡む。

何度も唇を離して、舌を絡ませて、吐息を口内で混ぜあって。

そっと離れると、ばっちり目と目があった。

「ふ、ふふ」

「はは……」

なんとなくおかしくて、キスができる近さのまま額を触れ合わせて笑いあう。

「なんでいきなりキスしてきたんだ?」

「イオリがしたそうにしてたから」

違った? と右の手指でこちらの髪を梳きながら首を傾げられ、イオリはそれに「違わない」と頭を彼の手に摺り寄せた。

「でも、ほんとはもっと別のことをしたいんじゃないのか?」

「別のことって……」

「そ、それはっ、その――」

――自分で言えと!?

耳が熱い。

暴れだしてしまいそうなぐらいに羞恥心がぐるぐると頭の中をめぐる。それと同時に、胸の先がしびれるほどに固くなっている感触もあって。

どうにも発散できない恥ずかしさを内に押し込めて、その先への期待だけで体を動かしていく。

「つ、つまり……」

背中からベッドに倒れる。

息をゆっくりと吐く。

枕を首の後ろに、彼が見下ろしている体勢のまま、緊張で震える指先で。イオリはそっとバスローブの結び目をほどいた。

「い、イオリ――」

「こういうこと……したいんじゃないの?」

見られている。

このヘンタイエロトラップマスターの罠にかかるようになってから、いつの間にか着けるようになった大人びた下着を。

上下ともに白いレースで、ショーツは左右が紐で。細かいレースの花柄が織り込まれて肌だけがわずかに透けて見える、可愛さと大人っぽさを両立できる下着を。

毎日風紀委員の現場担当として走り回っているうちに、うっすらと浮かぶようになった腹筋のラインを。

割と自信のある、すらっとした脚を。

じっくりと――見られている。

なにより、トラップにかけられていない状態で、自分の意志で、彼に肌を晒していることが、とてつもなく恥ずかしく感じてしまう。

そして、それ以上に。

「いいよ、しても……」

イオリ自身の熱が、もう限界まで来ていた。

「ほ、ほんとに……?」

そう問いかける彼の視線は、自分の躰の上をなぞったり、大きく外れたりとせわしない。

……さんざん罠にしかけてぐちょぐちょにしたり撮影したりしてるのに、まだ恥ずかしがってるのか。

その様子がなんだかかわいらしく、ついくすりと笑みが出た。

「ほんとに。来なよ」

つい、と両の腕を持ち上げる。

目を隠すように腕を置くと、「じゃあ」とベッドが軋んだ。

「ん、っ……」

最初に指先が触れたのは、腹だった。

おなかのハリを確かめるように少し沈み込むくらいの優しい力で、上からへそ下までそっと撫でられる。

自分でなでるのとは違う感触に、ぞくりと肌が粟立つ。

「すごい、すべすべで、やわらかくて……」

「いうっ、なぁっ……!」

腰のくびれから肋骨のあたりまで撫でる範囲が広がっていく。

彼の指が触れた場所がどんどん熱くなっていく感触。

そして、するりと、彼の指が背中側に回るように動いた。

「…………」

その意図するところを察して、イオリが上半身をわずかに浮かせる。その隙間に入り込んだ指が2つ縦に並ぶホックをつまみ、外して抜いていく。

ブラジャーが胸から外され、腕紐がするりと抜かれて。

「……なんか、慣れてないか」

「イオリをトラップにかけるうちに、自然と……」

「…………ヘンタイ」

ごめん、と謝りながら、それでも彼の手は止まらず。上半身からバスローブの袖も、ブラの肩紐も取り去られた。

「…………すごい、綺麗だよ、イオリ……」

「うるさい、言うな、ばか……」

つんと立つ先端が空気に触れる。そのかすかな風の刺激ですら、今のイオリには甘い痺れになっている。

「ぁ、っ……」

胸の端に指が当たる。

そっと下から支えるように全体を揉まれる。その時指先が乳首にかすって。

「あっ、やっ、ん、やだ、やだ、うそ、やぁっ――」

体が勝手に跳ねた。

ほんのすこし、指先がかすっただけ。

その刺激だけで、数々のトラップで開発され切り、そのうえで雰囲気に焦らされ続けたイオリの体はあっけなく絶頂した。

……うそっ、やだ、きもちいいっ、とまらない、やだ、やだぁっ――

ぱちぱちと頭のうちがわが弾けて音を立てる。

視界が白く光って瞬く。

体が跳ねて、ぎゅっと伸ばしたつま先でシーツをつかむ。

「あっ! ぁ、ひっ、いっ、イ――」

どろりと股の奥から熱い塊が押し出されている。自分でもよくわかっていないが、尿にも似た感触で何かが噴出しているのがどんどん濡れていく下着でわかった。

「はっ……は、あ、ぅ…………」

「もしかしてイオリ、乳首触られただけで、イった……?」

「お……」

耳も頬も熱い。

恥ずかしさをごまかすように、彼の後頭部をつかんで、引き寄せて。

強引に甘いしびれが残る唇を彼のそこへ押し付けて、涙を浮かべたままの目でせいいっぱい睨みつける。

「――おまえがこんな体にしたんだからなっ……! せ、せきにんとってもらうからな!」

宣言の返事は、倍の数のキスで来た。


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