
どの業種においても共通して言えるのは、ブランディングやマーケティングの本質は「現場」にあるということ。
どれだけ理論やフレームワークを活用しても、実際のお客様の声や、企業が現場でどのように価値を提供しているかを見なければ、戦略はただの机上の空論になってしまいます。
だからこそ、リコルクでは必ず現場に足を運び、一次情報をもとに戦略を構築します。
現場での会話や空気感こそ、何倍もの示唆を与えてくれるからです。
今回は、岡山県の住宅会社・株式会社en’to様の現場を訪問しました。
en’toさんは、「Life Creative Partner」をコンセプトに、お客様にベストな住空間やライフスタイルを提案する企業。
上棟の現場、お客様インタビュー、施工中の打ち合わせを通して、ブランドづくりの根っこにある「現場のリアル」を見つめ直す時間となりました。
この記事は、具体的なノウハウを紹介するものではなく、プロジェクトの過程を丁寧に記録した現場レポートです。
ブランドづくりの裏側で、何をしているのかを少しでも感じていただけたら嬉しいです。
現場で感じた関係性づくりという強み
伺った当日は、ちょうどお客様の上棟の日でした。
上棟とは、住宅の建築において、柱や梁などの骨組みが完成し、屋根の一番高い部分にある「棟木(むなぎ)」を取り付ける作業のことです。
上棟を終えてからお客様と設計士の方の会話を隣で聞いていたりしたのですが、関係性が本当に素晴らしかったです。会話の節々から、信頼関係がきちんと築かれていることが伝わってきて、終始和やかな雰囲気でした。
お客様とこうした関係性を築けるのもen’toさんの魅力。
さらに、大工さんとのコミュニケーションも非常にスムーズで、互いに相談しながら進めている様子から、en’toチームの連携力を強く感じました。
こうした現場での一体感こそ、最終的にお客様が「安心して任せられる」と感じる理由の一つだと思います。


選ばれる理由をお客様の声を通じて再確認
建築前・建築中・完成後のお客様3組にインタビューを行いました。
質問したのは、住宅会社選びで重視したこと、比較していた他社との違い、そしてen’toを選んだ理由などです。
en’toさんを選ばれた理由については、驚くほど共通していました。
それは「対応の丁寧さ」と「スピード感」です。
- 打ち合わせでの説明が分かりやすいこと。
- 要望を受け止めながら、できる範囲を正直に伝えてくれること。
- 途中の変更や調整にも瞬時に対応してくれたこと。
- 「予算的にできない」ではなく、できる方法を一緒に考えてくれること。
言葉にすればどれも当たり前のようですが、それを別々のお客様から共通して聞ける会社は多くありません。
このインタビューを通して、私たちがこれまでヒアリングや資料から想定していた“ブランドの軸”が実際の顧客体験によって裏づけられた感覚がありました。
このリアルな言葉が、これからのブランド支援を考える上で欠かせない材料になっていきます。
▼お客様インタビューコンテンツ
家づくりの途中で──「“どうすればできるか”を考えてくれる姿勢が嬉しかった」T様インタビュー

設計士のこだわりに見た“誠実なものづくり”
次に、施工したお家を見ながら、設計士の方にこだわりを伺いました。
話を聞いてまず感じたのは、「ここまで細部に意識を向けているのか」という驚きでした。
図面には現れない工夫や、完成後には見えなくなる部分の精度まで丁寧に仕上げている。
普段は知ることのない“見えない努力”に触れた時間でした。
また、現場では、図面通りに進まないこともあります。
今回偶然その場面に立ち会いましたが、en’toの設計士や大工さんたちはすぐに連携し、冷静に対応していました。
素材を変えて空間全体のバランスを整えたり、照明の位置をその場で再設計したり。
どの判断も、「どうすればお施主様にとってより良いか」を軸に即断されていました。
想定外をより良い方向へ転換する柔軟さ。
その姿勢も、en’toさんの大きな強みだと感じました。
一つひとつの対応の積み重ねが、「安心して任せられる会社」という信頼を生んでいるのだと思います。


「見学会をブランドにする」という新しい課題の発見
en’toさんの現場をいくつも訪ねて感じたのは、どの現場にも共通して“誠実さ”と“信頼の積み重ね”があるということ。(とにかく透明性があるブランド)
その姿勢は、完成した家だけでなく、お客様と向き合うあらゆる場面に表れています。
中でも印象的だったのが、完成見学会。
設計士の方が来場者一人ひとりに丁寧に向き合い、間取りや素材、家事動線、収納の工夫まで、暮らしをイメージできる言葉で説明されていたのが印象的で、
「そこまで考えているんですね」「参考になります」といった声が多く聞かれ、ご来場されたご家族はとても満足されているようでした。
少し話が逸れますが、
en’toさんと関わる中で、さまざまな住宅会社の見学会を調査してきましたが、率直に感じたのは、この「見学会」という機会を十分に活かせていない会社が多いということ。
多くの会社では、見学会が“お客様との接点のひとつ”として扱われており、体験としての価値づくりまで踏み込めていない印象を受けます。
ですが本来、見学会は、来場された方が家づくりのヒントを得たり、つくり手やお施主様の想いを感じ取っていただく場のはずです。
どんな工夫があり、どこに時間をかけ、どんな要望にどう応えたのか。
そうした背景を来場者が感じ取り、自分たちの暮らしを想像できることこそが、理想的な見学会だと思います。
一方で、多くの方にとって「住宅会社の見学会」はまだ少しハードルの高いもの。
営業されそう、専門的で分かりにくい。そんな不安を持つ方も少なくありません。
その点、en’toの見学会ではお客様に寄り添う姿勢が徹底されていたんですね。
だからこそ、見学会を単なるお客様との接点の一部にするのではなく、「en’toの見学会」自体の体験価値やコミュニケーション戦略を見直し、ブランド化させるべきなのではと思いました。
こうした現場で得た気づきをもとに、早速見学会の伝え方を見直しました。
より“体験を通じて伝える”ことを意識し、内容や打ち出し方、導線設計等を細かくチューニング。
その結果、見学会の予約数も着実に増加しており、方向性の手応えを感じています。



最後に
今回の現場視察での発見は、お客様とどう接し、どんな姿勢で家づくりに向き合っているのかを、リアルな現場で体感しなければ気づけなかったことでした。
見学会は、住宅会社にとっても貴重なブランド体験の場です。
今後も現場に足を運びながら、en’toの家づくりだけでなく、見学会そのものの価値をさらに高めていきたいと思います。
答えはやっぱり現場にありますね。
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▼株式会社en’toさんのWEBサイトはこちら
https://ento8.com/
この記事を書いた人

クリエイティブディレクター
萩原 雅貴
これまで100を超えるブランドのWEB・デザイン・クリエイティブディレクションを担当。固有の価値を伝える現場において、ビジョン・コンセプト開発、事業戦略設計、制作クリエイティブディレクション、執筆まで。ものづくりに情熱を注ぐ人や組織と手を組み、情報ではなく情緒でつなぐことを指針に活動。ブランドマネージャー1級