白いデルタ 〜序章〜
◆ZrONIBKxMk「アムロ大尉、どうでした?このデルタプラスは。こいつはかつてお蔵入りした可変機を今の技術で実現させた、自信作ですよ。……あまり浮かない顔ですが、もしかして問題でもありましたか?」
「いや……良い機体だ。前に使っていたΖタイプに比べても遜色ない性能だし、Ζプラスの時のように空戦能力に難があるわけでもない。」
「だったら何があったんです?」
「この機体、確か百式の系列だと言っていたな。……かつてあれに乗っていたのは、エゥーゴでクワトロ・バジーナと呼ばれていた男だぞ。」
「あぁ、なるほど……意外ですね、アムロさんってそういうことは気にしないと思っていたんですが。」
「そういうわけじゃない……しかし奴の機体だけはどうしてもな。」
「だったら良いものがありますよ。こいつに搭載してあるんですが、昔お蔵入りになった方の機体と戦える、仮想シミュレーターです。……ちょっと待っててください。アムロさんの気分が乗るように調整してきますので。」
「調整完了です。以前配備の予定があった実戦仕様のデータを反映して、ついでに色も変えてます。向こうのパイロットデータは、当時までの彼の戦闘データで構築したものですよ。どうです、気分上がります?」
「ここまで徹底されるとむしろ悪趣味だよ……」
「良いじゃないですか。作り物でも、同系の機体に乗ってる彼を倒せば、アムロさんだってこいつに気兼ねなく乗れるようになりますよ。それに、ガンダムタイプならあなたの方が使いこなせる自信、あるでしょう?」
「俺だってこっちに戻ってきてからあまり経ってない。買い被りすぎは困るな。」
「あなたがそんなこと言わないでくださいよ。アムロさんが駄目なら、彼を倒せるパイロットなんて連邦軍にはいないんですぜ?」
「分かったよ。ただ期待外れの結果だったとしても文句は言ってくれるなよ?……デルタプラス発進用意。アムロ機、出るぞ!」