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絶対的な暴力 – Telegraph
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絶対的な暴力

絶対的な暴力

VerdictDay13日目

RABBIT小隊が山海経自治区に偵察に向かっていた同時刻、空崎(そらさき)ヒナは救助要請のシグナルを頼りにゲヘナ自治区へと足を踏み入れた。

—ゲヘナ温泉街—

バサッ!

トッ…

ヒナ「…………疲れた」

ヒナ(どうしてその場のノリで飛ぼうと思ったんだろう……。先生に可愛くないと思われてないといいのだけれど……)

ヒナ「さて……」

ヒナ(最後にシグナルが確認できたのはこの地域。ここは未だに人が多い……。人混みに隠れやすい……)

ヒナ「………あれは…………焔揚魔巣会………だっけ。救助要請を出した人物を追って来たのかしら。………あの焔揚(えんよう)ゼルが、誰かの下につくだけでも有り得ないのに、まさか群れを作るとはね」

ヒナ「………………」

ゼル(一年)『天降(あもる)サン……。憶えとく。あたしは焔揚ゼル、これであたしら『友達』だな!』

ヒナ「友達………なのかしら、本当に。だとしたら、合点が行かないこともない」

ヒナ(キヴォトスがこうなる以前、焔揚ゼルは度々連邦生徒会を襲撃し副会長を誘拐していた。連邦生徒会からゲヘナ風紀委員会に異議申立が鬼のように来ることはあったけれど、当の天降サン本人からは一度だって苦情の類が来たことがなかった)

ヒナ「だから何だと言う話でもあるけれど、先生に話してみてもいいかも……。それより今は……」

剛肩の若頭補佐「……………!」

魔巣会若頭「…………」

ヒナ(何の話をしているんだろう……。周りの喧噪もあってよくわからない)

ヒナ「ねぇ。少しいい?」

饅頭屋の看板娘「ン?どしたァ?」

ヒナ「あの二人組、見える?片方はやたら背が大きいのだけど」

饅頭屋の看板娘「ン~?あァ、あの二人ね。さっきここに来たぜ。知り合いか?」

ヒナ「違う。でも同じ人物を捜している」

饅頭屋の看板娘「………よくわかンねェけどよ。あの二人は、銀髪で、ツインテールで、褐色肌の女の子を捜してるってさ。お嬢ちゃんもそうなのか?」

ヒナ(イオリだ)

ヒナ「うん、一緒。ありがとう。……あっ、お饅頭売ってくれる?」

饅頭屋の看板娘「もちろン!!粒餡、潰し餡、漉し餡、小倉餡に白餡、鶯餡にずんだ餡なんでもござれだ!何個でも買ってってくれ!!何がいい?」

ヒナ「そうね。………貴女のオススメは?」

饅頭屋の看板娘「そうだなァ~………ンン~!!!」

ヒナ「凄い悩み様ね」

饅頭屋の看板娘「一番はキメられねェよォ~全部ウメェからなァ!強いて言うなら小倉餡とずんだ餡かな」

ヒナ「ならそれを五個ずつちょうだい」

饅頭屋の看板娘「あいよ!」

ヒナ「……………」ウキウキ

饅頭屋の看板娘「小倉餡五個とずんだ餡五個な!また来てくれよなァ~!」

ヒナ「えぇ。機会があったらまた来る」

コツッ…コツッ…コツッ…

饅頭屋の看板娘「…………」

シュルリ…

饅頭屋の看板娘「店の衣装に身を包んで、髪と顔隠すだけで気付かないモンかねェ?」

ゼル「なァ?空崎ヒナ」ニィ

 

 

—ゲヘナ温泉街—

魔巣会若頭「銀鏡(しろみ)イオリを見つけた……?」

尻尾の長い魔巣会若衆『うん。今山間部に入った。ちょっと挑発したらすぐノって来た。扱いやすい。でも……』

魔巣会若頭「でも…?」

尻尾の長い魔巣会若衆『強いよやっぱ。逃げながら戦ってるけど、そろそろ負けそ』

魔巣会若頭「うちで一番……ってか、姉御の次に足早いんですから、追いつかれないでくださいね。自分もすぐ向かいます」

尻尾の長い魔巣会若衆『えっと……名前なんだっけ。そう、火宮(ひのみや)チナツだっけ?それと雑兵半分くらいは分断できた』

魔巣会若頭「おっ、流石ですね~!」

尻尾の長い魔巣会若衆『でも、火宮チナツの方にもまぁまぁのヤリ手いるから、気を付けて。銀鏡イオリ程じゃなかったけど』

魔巣会若頭「ご忠告どうも~肝に銘じときます」

プツッ

剛肩の若頭補佐「どうすんだい?」

魔巣会若頭「ふぅ~む…………トウマ、イオリをお願いしてもいいですか」

剛肩の若頭補佐「よっしゃ来たあたいに任せな~!」パシッ

魔巣会若頭「自分は後方から追いかけてるであろう火宮チナツを先にシバいてから行きます。これ、アナ(尻尾の長い魔巣会若衆)のGPSです。銀鏡イオリに対して正面からブチ当たってください」

剛肩の若頭補佐「いいねいいね!そういうの大好き!!じゃ後でなー!!」ダッ

ドタバタドタ!

魔巣会若頭「騒々しいなぁ……」

魔巣会若頭「…………」ポチポチ

魔巣会若頭『姉御、魔巣会の一部が銀鏡イオリと交戦。そろそろ空崎ヒナを引きずり出せるんじゃないですか?』

魔巣会若頭「…………返信なし。どこ行ったのかなぁ……」

 

 

 

 

—ゲヘナ温泉街山間部—

タタタタタタタタタタタタンッ!!

ダァン!ダァン!ダァン!

イオリ「この……っ!待て!!」

尻尾の長い魔巣会若衆「……………」

タッタッタッ!

イオリ「木々の間をちょろちょろと……!!」カチャコン

目隠れの風紀委員「い、イオリ隊長!深追いし過ぎです!!一旦戻りましょう!?」

イオリ「バカを言うな!相手はあいつ一人だし、今まで好きなようにやられてきたんだ!!やれれっ放しでいられるか!」

目隠れの風紀委員「イオリたいちょぉ~……」

尻尾の長い魔巣会若衆「そぉそぉ。やられっ放しはイライラするでしょ~?」

イオリ「———っ!!」

尻尾の長い魔巣会若衆「いいじゃんやり返しちゃえば。噛みつかれたら、嚙み返せばいい。それともあんたは、やり返す度胸もない腑抜けだったり?」

イオリ「こ、こぉのぉ~~~っ!!!!」

尻尾の長い魔巣会若衆「…………」

ピッピッ♪ピッピッ♪

尻尾の長い魔巣会若衆「あたしの仕事はここまで……」

イオリ「はぁ?」

スパパパパパパッ!!

ドゴンッ!

イオリ「————っ!?」

剛肩の若頭補佐「どこ見てんだぁ゛あ゛!?そこ横っ腹、食い破ってやらぁ゛あ゛あ゛!!!」

イオリ「ウソ———!」サッ

剛肩の若頭補佐「オ゛ラ゛ァ゛ア゛!!!」ブンッ

ガギィインッ!!

イオリ(重———!!)

ドヒュンッ!!

目隠れの風紀委員「イオリ隊長!?」

悪魔尻尾の風紀委員「フッ飛ばされた!?」

ドガッ!!

イオリ「~~~~~っ!?」

ドシャッ

イオリ「ガハッ……!っは……!っは……!」

イオリ(い、息が……!)

剛肩の若頭補佐「ゲヘナ風紀委員会の鉄砲玉サマも、形無しだなぁ!?」

目隠れの風紀委員「イオリ隊長から離れ——!」

尻尾の長い魔巣会若衆「邪魔」ブンッ

フォンッ!!!

目隠れの風紀委員「きゃっ!!」

悪魔尻尾の風紀委員「きゃん!!」

イオリ「くっ……!」

剛肩の若頭補佐「さぁ泣けよ叫べよ!!必死にお祈りしたら、風紀委員長サマが助けに来てくれるかもなぁ゛あ゛!!!」

イオリ「………………だろ……!」

剛肩の若頭補佐「あ゛ぁ゛?」

イオリ「そんなこと、できる訳ないだろ…!!」

剛肩の若頭補佐「は?」

イオリ「私はゲヘナ風紀委員会の銀鏡イオリだ!そんな情けないこと、する訳がないだろうが!!!」

剛肩の若頭補佐「…………」

??「くっだらねェプライドだなァ?」

イオリ「!?」

剛肩の若頭補佐「おっ!」

イオリ「お前……!焔揚ゼル!!」

ゼル「なァお嬢ちゃん、聞かせてくれよ。そンな下らねェプライド抱えて何ができるンだ?そのプライドに、どれだけの価値があるンだ?」

イオリ「なんだと……!」

ゼル「そンな下らねェプライド持っててもよォ!自分のケツすら拭けてねェじゃねェかよォ!!!」

イオリ「………っ!?~~~っ!!」

尻尾の長い魔巣会若衆「今までどこいたの、姐御」

ゼル「オメェらがこのお嬢ちゃん追いかけるって聞いたから、後ろをコソコソとな。さっきは饅頭屋にいたぜ」

剛肩の若頭補佐「ん~?あっ!もしかして、あの看板娘!?」

ゼル「そうだ!気付かなかったなァ~オメェ」ニヤニヤ

剛肩の若頭補佐「何やってんですかい姐さん!」

尻尾の長い魔巣会若衆「隠れてたんなら、どうして今出てきたの?」

ゼル「あァ?そらオメェ……」

イオリ「…………っ!」キッ

剛肩の若頭補佐「?」

尻尾の長い魔巣会若衆「………」

ゼル「釣りてェ大物が、ドデケェ釣り針に掛かったからよ」

剛肩の若頭補佐「………ってことは姐さん……」

尻尾の長い魔巣会若衆「風紀委員長が来てるの?」

イオリ「!委員長……!」

ゼル「あァ、来てるぜ」

剛肩の若頭補佐「ど、どこですかい?姐さん……」

ゼル「ンン~…………上だ」

剛肩の若頭補佐「うえ……?」

尻尾の長い魔巣会若衆「!?危ない!!」グイッ

ズドンッ!!!!

剛肩の若頭補佐「おわっ!?」

ゼル「へへへへっ♪」

イオリ「うっ……!くっ……!な、何が……」

ヒナ「お待たせイオリ」

イオリ「………ひ、ヒナ委員長……!あ、えっと……ご、ごめん委員長……」

ヒナ「どうして謝るの?貴女は十分頑張ってみんなを守ってくれたわ。ここからは選手交代」ガシャン

イオリ「…………お願い、委員長」

ヒナ「でも、まだ頑張ってもらう。チナツたちを助けにいかなきゃならない。貴女も必要よ、イオリ」

イオリ「………うん…!」

ヒナ「軽くこいつら捻るから、その間に少しでも回復して」

イオリ「わかった…!」

ヒナ「さて」ギロッ

尻尾の長い魔巣会若衆「うっ……!こわ……」

剛肩の若頭補佐「へっ…!」

剛肩の若頭補佐(背筋凍るぜマジで……!)

ゼル「ちょっとマチェーテ借りんぜ♪」パシッ

剛肩の若頭補佐「あっちょ!あ、姐さん!?」

ゼル「ひひひっ♪」

ヒナ「———ッ!!」ダッ

ゼル「おりやァああ!!」ブンッ

ヒナ「ふんっ!!」ブンッ

ガキィインッ!!

ゼル「アハハ☆キャハハハハハハハッ!!!使えねェ部下のケツ拭くのは大変だなァヒィナァア!!!」

ヒナ「いい加減聞き飽きた。他にもっとマシな煽りはないのかしら!!」ブゥン!!

カァンッ!!

ゼル「オっ?……ほっ!!」クルッ!

トサッ…

ゼル「ヘヘヘヘヘッ!」

ヒナ(お饅頭食べて頭も冴えてるし体力も漲ってる。分断されてるチナツも心配だし速攻で終わらせ———)

ヒナ「………ねぇ」

ゼル「ア?」

ヒナ「貴女もしかして、あのお饅頭屋にいた?」

ゼル「は?アァ……オメェに饅頭売ったやつのことか?そりゃあたしだ」

ヒナ「…………なんてこと。気付かなかった……」

ゼル「あたしの変装は先生だって見抜けねェぜ?」

ヒナ「まぁ………」グッ…

ゼル(来る…!!)

ヒナ「どうでもいいか!」ダッ!!

ドヒャア!

ヒナ「ッ!!」ブォン!!

ゼル「———ッ!!」サッ

ヒナ(躱した?)

ゼル「ヘアッ!!」ブン!

シュッ…

ヒナ「———っ!」プシッ

ヒナ(掠った……)

ゼル「チィ!浅いかァ!!」ポイ

ヒナ「マチェーテは本来草を切る道具、人を切るものじゃない!」ブォン!!

ゼル「(サッ)あぶね!……ハハハ!用法が違ェって?銃で槍術やりだすオメェが言うな!!」ジャキ

ヒナ「!」

バサァ!

ゼル「そのキレイな羽に穴開けてやるよォ!!!」

バララララララララララランッ!!!

ガガガガガガガガッ!!!

ヒナ「……………すぅ………はぁ………」キィイン…

バララララララララララランッ!!!

ゼル「チッ!」

ゼル(小鳥遊(たかなし)ホシノの盾並に硬ェな!?)

ヒナ「マ・ノン・トロッポ!!」

ズドォオンッ!!!!

ゼル「~~~~!?い゛っ……!」

尻尾の長い魔巣会若衆「姐御……!」

ゼル「下がってろオメェらァ!!!」

尻尾の長い魔巣会若衆「………!」

ヒナ「…………」キィイン…

バサァアッ!!

ゼル(勝負掛けてやンよ……!!)

ゼル「はっ!!」ダッ

タッタッタッ!!

ヒナ「どこまで耐えられるか見物ね」カチャ

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!

ゼル「くっ………!ふっ…!はっ………!ほっ……!」

ヒナ「…………ふぅー」キィイン!!

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドギュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!

ゼル「!?」

ドガァアアアアアアンッ!!!!

剛肩の若頭補佐「姐さぁああああああん!!!?」

尻尾の長い魔巣会若衆「姐御……!」

ゼル「………………」

尻尾の長い魔巣会若衆「姐御……?姐御……!!」

ゼル「………………………」

尻尾の長い魔巣会若衆「………」カチャ

剛肩の若頭補佐「………」ビキキ

ヒナ「はぁ………オススメしない。さっさとその子を連れて逃げるといいわ。戦意のない相手を虐める程性格悪くないから」

剛肩の若頭補佐「大将が身体張ってんのに、あたいらだけが何もせず逃げる訳いかな———」

ゼル「………ま………て……」

尻尾の長い魔巣会若衆「姐御?」

ゼル「負け…………だ。きょ………うは……もォ、終い……だ」

尻尾の長い魔巣会若衆「………姉御」

ヒナ「……………イオリ、みんな、立てる?」

イオリ「う、うん…」

目隠れの風紀委員「はい……」

ヒナ「チナツたちを助けに行く。着いて来て」

イオリ「あ、あぁ!行くぞ!」

ゲヘナ風紀委員「「「はい…!!」」」

タッタッタッ!

ゼル「お手柔らかに………頼む……ぜ。ヒ……ナァ……」

ヒナ「……………確約しかねる」

ゼル「そ………うか……」

ヒナ「貴女、結構優しいのね」

ゼル「はっ………バカに………してン……だろ……」

ヒナ「そう聞こえたなら、それでいい」

ザッ…ザッ…ザッ…

ゼル「………」

ゼル「…………」

ゼル「アナ……」

尻尾の長い魔巣会若衆「何?姐御……」

ゼル「トウジ(魔巣会若頭)に………撤退……命令……を」

尻尾の長い魔巣会若衆「わかったよ。姉御……」

ゼル「トウマ………体が動かねェンだ。悪ィが……背負って……くれね……ェか?」

剛肩の若頭補佐「もちろんですぜ、姐さん」

ゼル「………………」

 

 

 

 

—ゲヘナ温泉街山間部—

チナツ「はぁ………!はぁ………!はぁ……て、撤退して行きます……」

金髪ポニテの風紀委員「なんとか………耐えた……?イオリ隊長が………やって……くれたのかな……」フラッ

ドサッ

チナツ「ミヤ……?ミヤ!しっかりしてください!ミヤ!!」

ザッザッザッザッ!!

イオリ「チナツ——ッ!!」

チナツ「イオリ……!」

ヒナ「………」

ザッ…ザッ…ザッ…

チナツ「ひ、ヒナ委員長!?」

ヒナ「救助要請のシグナルを受けて、助けに来たわ」

チナツ「あ、ありがとうございます……!そして、申し訳ありませんでした…!お手を煩わせてしまって……」

ヒナ「構わないわ、先輩だもの。でも、貴女たちは決して弱くない。相手が悪かっただけ」

イオリ「…………」

チナツ「そう……ですね……。委員長、これからは……」

ヒナ「一先ず、今拠点として使っているミレニアム自治区のエリドゥという場所まで一緒に来てもらう。そうしたら、暫く休んで」

イオリ「わかった……」

チナツ「了解しました…」

ヒナ「(ピッ)エリドゥ指令室。こちら空崎ヒナ。ゲヘナ自治区で確認された救助要請者の救出に成功。これから戻る」

ハナコ『指令室のハナコです♡ヒナさん、お疲れさまでした。怪我人はいらっしゃいますか?』

ヒナ「いる。貨物用のヘリが………えっと…………五台くらいあれば嬉しい」

ハナコ『了解しました。ヒナさん、今どちらに?』

ヒナ「ゲヘナ温泉街の山間部。ヴァーディクターズに見つかりたくないし………私のGPS座標から東に約500mに開けた草原がある。そこまで来て欲しい」

ハナコ『了解しました~♡怪我人がいるのであれば、ヴァーディクターズからの追撃にご注意してくださいね』

ヒナ「わかった」

プツッ

ヒナ「…………疲れた」

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