ミレニアム戦役④
VerdictDay9日目カンナ「貴女は……」
サン「お久しぶりです。先生」
“サンちゃん…!”
サン「……………」
サン(なぜ先生がミレニアムに………。イレニア君を退けたと報告は受けていましたが…………まさかこれ程早くミレニアムに来られるとは……。生徒が困っていれば、どこにいようと、どのような状況であろうと駆けつける………。素晴らしい…!それでこそ私の知る先生です)
サン「ふふ……ふふふっ…♪」
トオル「……?」
“サンちゃん…?”
ネル「くそっ…。何をニヤニヤしてんだよ……。おい、まだ動けるか?」
ツルギ「ケヒッ……。お前よりは断然元気だ」
ネル「そうかよ………。なら!(ムクリ)もうひと暴れしてやろうじゃねぇか」
ツルギ「あぁ…」
ツルギ「…………(ジッ)」
サン「?」
ツルギ(天降(あもる)サン……。こうしてマジマジ見ると、印象が随分変わった…。二年前は、頭脳明晰の大人しい人だと思っていたが………こんな過激なことをする人物だったとは…)
ツルギ「……………」
ツルギ(返せ……!!!!)
ツルギ「………ギ……ギギギ…!」
ズズズズ…
サン「ツルギ君…?」
ツルギ(私の……!私たちの『青春』を………返せッ!!!!!)
ツルギ「(ギンッ)血の海を見る……時間だぁあ!!!」
ネル「!?」
ツルギ「グギギ…!ギィヤアアアアアア!!!(ダッ)」
ドギュンッ!!
ネル「はやっ!?」
サン「!」
ツルギ「————ッ!!(カチャ)」
トオル「させるかぁッ!!(サッ)」
ツルギ「!?」
トオル「ッ!!(シュッ)」
ボギュッ!!
ツルギ「グッ……グガッ…!」
トオル「さっきのお返しだ……。(グッ)ぶっ飛べ!!」
ボヒューーンッ!!
ドガァァアアアアンッ!!
“ツルギ!!”
ドガンッ!!
ツルギ「ガァアアアアアアッ!!!」
ネル「おいコラァ!一人で突っ込んだってしょうがねぇだろ!!相手は二人いんだぞ!」
ツルギ「………くっ!」
“(いつも落ち着きがある訳じゃないけど、あんな戦い方、いつものツルギらしくない…!)”
“ツルギ、落ち着いて!”
ツルギ「わかって……います…!」
トオル「ふんっ…」
サン「トオル君。お怪我の加減はいかがですか?」
トオル「あんたのおかげでほぼ回復できた。十分動ける」
サン「そうですか。それは何よりです。貴女がいると、私も安心して戦えます」
トオル「!」
トオル「…………」
トオル「(ニッ)オレもあんたと一緒なら、心置きなくやり合える」
ゾワッ…
サン「!」
トオル「?どうした?」
サン「いえ…」
サン(この感じはまさか………まさか『彼女』もここに…?………いえ、今は目の前のことに集中しなくては…)
サン「ふぅー……行きますよ、トオル君」
トオル「了解だ」
バラララララララララランッ!!バラララララララララランッ!!
ダンダンダンダァンッ!!
ズダァンッ!!ズダァンッ!!
ドガァアアアアアアンッ!!
サン「———ッ!(カチャ)」
タタタタタタタタンッ!
ネル(もう少し……!)
サン「………(カチャ)」
ネル「!?」
サン「!」
ボヒューーー!
ドガァアアアアアアン!!!
ネル「あっぶねぇ!!クソッ!!!!!」
ネル(トオルを上手く抜けたところで、あの高飛車女に近づけねぇ!ライフルの射撃を搔い潜ってもランチャーで自分諸共フッ飛ばして来やがる……!!)
ネル「なんであいつは自分でダメージ喰らわねぇんだよクソッ!!」
サン「諦めてもいいんですよ?」
ネル「あぁ???ぶっ殺すぞ??」
ツルギ「はぁ………はぁ………はぁ……」
“(ネルはまだまだ元気に見えるけど……ツルギが目に見えて消耗してる………。本調子じゃないから…?)”
カンナ「先生………。このままではジリ貧です。どうにか退避する手立てを…」
ネル「おいポリ公!何勝手に諦めてんだよ。まだ終わってねぇだろうが!」
カンナ「しかし…」
ネル「…………」
サン「先生。貴方/貴女にも言いましょう。諦めてもいいんですよ?」
“サンちゃん…。こんな……こんなやり方、間違ってるよ!!”
サン「先生。私はここに、問答をしに来たわけではないのです。私の決意は固く、揺らぐことはありません……。あの子たちに、報いなければならないのですから」
カンナ「……!」
サン「だから先生?私が諦めないのであれば、貴方/貴女が根負けする他ないんですよ?」
“だからって、暴力で全てを解決しようだなんて…!”
サン「それが『キヴォトス』です。暴力なくしてキヴォトスを変化させることはできません。それが、私が今日(こんにち)までで痛感し、見出した答えです」
“サンちゃん……”
サン「………先生。今一度問いましょう。私の手を取り、私と共に…」
ぞわり…
サン「!」
ガシャコン…キュルル!!
トオル「!?サン避けろぉッ!!!」
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!
サン「くっ……!!」
ガラッ!
サン「きゃっ!?」
トオル「地面が……!サンッ!!!(ダッ)」
タッタッタッタッタッタッタッ!
ヌッ!
トオル「!?」
??「お久しぶりです、警備局長様?」
トオル「なっ!?」
??「破ぁッ!!!(ブンッ)」
トオル「栗浜(くりはま)アケ…!」
メギャア!!
ドガァアアアアアアン!!!!
ネル・ツルギ「「………」」
ポカーン
??「やっと見つけたわ、先生」
“えっ!?ヒナ!!”
ヒナ「元気そうでよかったわ」
ネル「あいつは…」
ツルギ「ゲヘナ学園風紀委員長の空崎(そらさき)ヒナ……。それと…」
カンナ「『伝説のスケバン』……栗浜アケミ!?」
コノカ「なんであいつが…」
カツッカツッカツッカツッ
??「ごきげんよう、シャーレの先生」
“君は……”
ニヤニヤ教授「私。犯罪コンサルタントをしている者です。『ニヤニヤ教授』とお呼びください」
コノカ「姉御、知ってるっすか?(ヒソヒソ)」
カンナ「いや……初めて聞く(ヒソヒソ)」
アケミ「お久しぶりでございます、シャーレの先生。海でお会いした時以来ですわね」
“…………ヒナ”
ヒナ「先生。一応言っておくけど、この二人とはさっき偶々会っただけよ」
ニヤニヤ教授「空崎ヒナさんの仰る通りです、我々はさっき会ったばかりなので。……コホン、本日先生の前に姿を現したのは訳がありましてですね」
“…………”
ニヤニヤ教授「今回の一件。解決されるまで先生に手をお貸ししようかと」
“手を貸す…?”
ニヤニヤ教授「はい。私としても、彼女の言う『平和な世界』が実現してしまうと、仕事どころではないので、何としてもそれは阻止しなければならないのです。なので、先生に協力しようかと。お止めになられるんですよね?天降サンを」
“……………(チラッ)”
ヒナ「…………(フルフル)」
“………手を貸してくれるって言うのは、とてもありがたいと思ってる”
ニヤニヤ教授「では…」
“でも、君の手を借りることはできないかな”
ニヤニヤ教授「…………そうですか。では、私のやりたいようにやらせていただきましょう」
ガッ
一同「「「「!?」」」」
サン「空崎ヒナァァァアアアアアッ!!!!」
ネル「………おめぇ、あいつから何か恨みでも買ってんのか?」
ヒナ「知らない」
ツルギ「数の上では、こっちが有利……」
ヒナ(と言っても、二人はかなり消耗しているし、私も弾薬が殆どない。この栗浜アケミも、ハッキリ言って信用なんてしていない……。天降サンは強い。このまま正面戦闘を続けるのは、得策とは……)
サン「————ッ!!(ギリギリギリ)」
ガララ…
トオル「チッ………。顎が外れそうだ…」
サン「トオル君……」
トオル「あぁ、まだ動けるぞ」
サン「帰りますよ!!」
トオル「………………なに?」
―ミレニアム売店前―
COM『損壊甚大。作戦行動不可能』
トキ「くっ…!」
アリス「トキ!」
トキ「問題ありません。アビ・エシュフは壊れてしまいましたが、パワードスーツは健在です。まだやれます」
Mk-Ⅱ「……………はい?撤退……ですか?」
トキ「?」
Mk-Ⅱ「了解しました。量産型全機に、自爆シーケンスを起動させます。その間に撤退を」
アリス「一体誰と話しているんですか!」
Mk-Ⅱ「オリジナル。またお会いしましょう。その時は、このMk-Ⅱが責任を持って貴女を処分いたします」
モモイ「逃がす訳ないでしょーっ!!」
Mk-Ⅱ「いいえ。Mk-Ⅱは行きます」
壊れた量産型AL-1S:Mk-Ⅱ「(ピピッ!)———ッ!!」
カシャンカシャンカシャンカシャン!!
モモイ「はえっ!?アリスのニセモノ!?壊したハズなのに…!」
トキ「…………………!?いけません!残念なモモイ!!急いでそれから距離を取ってください!それは……!」
―ミレニアム図書館前―
カタクラフト「————ッ!!!(ガシャン!!)」
ズダダダダダダダダダダダダンッ!!
アスナ「うわっ!危な~い♪」
アカネ「アスナ先輩、C4仕掛け終わりました」
アスナ「ぃよ——し!ドカンッ☆と行っちゃおー!!」
アカネ「はい♪(カチッ)」
ズドドドドンッ!!
バギンッ!!
アスナ「おっ!?装甲が少し剥げたよーっ!!」
アカネ「はい。カリン、装甲が薄くなったところを狙えますか?」
カリン「もちろんだ。一発で吹っ飛ばす」
バァアンッ!!
ガィインッ…!!
ドガァァアアアアンッ!!
アスナ「………どうかな~」
―カタクラフト内部―
ヒノエ「くぁあ~いっっっった~~~い!!!!よくもやってくれたなこのぉ~!コノエお姉ちゃん、次はミサイルの操作お願い!」
コノエ「任せてくれ我が妹よ!」
ツノエ「(ピッ)はい、ツノエです……。はい!?」
コノエ・ヒノエ「「???」」
ツノエ「…………わかりました(ピッ)」
コノエ「姉さん、如何いたした?」
ツノエ「コノエ、ヒノエ……。作戦中止、撤退しますよ」
コノエ「なんと!?押しているのは我らではないか!何故…」
ツノエ「わかりません……が、サン様のご命令であると」
コノエ「うぅむ………我らが太陽の命であるか……。承った。ヒノエ、聞いていたであろう。撤退である」
ヒノエ「えぇ~!???目の前にいるのにぃ——!!」
ツノエ「サン様のご命令とあらば、従うのが我ら聖陽党です」
ヒノエ「………は~い」
―ミレニアム図書館前―
カタクラフト「……………」
ガガガガガガガガガガガッ…
アスナ「あれあれっ!?帰っていくよ!?」
アカネ「攻撃が効いたので逃げ出した……訳ありませんよね」
アスナ「もしかしてリーダーが敵の大将を打ち倒しちゃったとか!?」
アカネ「どうでしょうか……とにかく、部長を探しましょう」
アスナ「うん☆」
―ミレニアムタワー前―
エイミ「ふぅ………はぁ……」
アスモ「何ですか……。何なんですか貴女は!そんなに傷を受けているのに、痛くないんですか!?痛みを感じないんですか!?」
エイミ「うん、まぁ……。慣れてる……かな?」
アスモ「あり得ません……。痛みという意義ある素晴らしいものを知覚できないだなんて…………壊し甲斐のない、詰まらない人…」
ベル「アスモ!!(ペシン)」
アスモ「きゃんっ!?………あれ?ベル…‥さま…?私……」
ベル「やっとベルの方を見ましたね!アスモ、作戦は中止です。帰りますよ!!」
アスモ「へっ?あっ……はい…」
エイミ「まんまと逃がす程、私はバカじゃないよ(ダッ)」
アスモ・ベル「「!」」
??「ほっ!(バッ)」
エイミ「!?(ピタッ)」
ダンッ!
??「待ちなよエイミちゃん……。そんなの、お姉さんが許さないよ~?」
エイミ「ルキさん」
アスモ「ア…!ルキ様!」
ルキ「………」
ユウカ「退いてくださいルキさん!私たちは彼女たちから『事情』を聴かなければなりません!貴女に銃を向けたくは…」
エイミ「私もユウカと同じ気持ち。ルキさんを撃ちたくない」
ルキ「なら、そのままそこから動かないことだね。あたしはこの子たちの味方なんだから、ここを退くってのはぜ~ったいにありえないことだよ」
エイミ「なら、実力行使(ダッ)」
ルキ「ムリじゃな~い?」
壊れた量産型AL-1S:Mk-Ⅱ「———ッ!!(バッ)」
ガシッ
エイミ「!?」
ルキ「アディオ~ス♪」
エイミ「まさか…」
ユウカ「!?エイミ、今すぐそれを引き剥がして!!」
ベル「もう遅いですよ(ニヒッ)」
壊れた量産型AL-1S:Mk-Ⅱ「———(ピピッ)」
カッ!!
―フィットネスセンター付近―
トオル「サン…………いいのか?」
サン「はい。このままやりあっても、勝つことはできません。(クルッ)行きますよ、トオル君」
ネル「逃がす訳ねぇーだろうがぁ!!(カチャ)」
サン「いいえ。それはできませんよ、美甘(みかも)ネル君」
バッ
ネル「!?」
ガシッ
壊れた量産型AL-1S:Mk-Ⅱ「…………(ピッピッ)」
ネル「こいつ……!ブッ壊したハズなのに…!」
カシャンカシャンカシャンカシャンカシャンッ!!!
壊れた量産型AL-1S:MkⅡたち「「「————ッ!!!」」」
アケミ「これは……」
ニヤニヤ教授「ほむ……アケミ、私を守りなさい」
アケミ「畏まりましたわ(ガバッ)」
ヒナ「先生!」
“な、なに!?”
ヒナ「私の翼の中に!早く!!(バサッ)」
“えっ!?う、うん!!”
壊れた量産型AL-1S:Mk-Ⅱ「…………」
ネル「こいつ……まさか…!!ざけんじゃねぇぞ、てめぇ!!!!」
サン「…………さようなら」
カッ!!
ドガァァアアアアンッ!!!!