ハイランダーの白い狩人
???『皆様、本日はご乗車いただきありがとうございます。大変申し訳ございませんが、この電車は暫くの間、目的地に着く事はございません』
イオリ「!?」
レイサ「ええぇ!?」
???『驚いている方がいらっしゃるようですが、ご安心ください。間もなく乗務員による清掃が行われます。それが済み次第、順次駅に到着していきますので今暫くお待ちください』
チナツ「清掃?」
カズサ「嫌な予感…」
カチッ!
レイサ「うわあ!?きゃ、客が一斉に消えましたよ!?ままま、まさかゆう…」
チナツ「いえ…これはホログラムを投影するシステム…このような物を大規模に…しかも列車で運用しているとすれば!」
カズサ「私達、誘い込まれたって事!?」
ガララッ!
ハイランダーモブA「指名手配犯達がいたぞ!」
ハイランダーモブB「サン様に逆らう反逆者共だ!」
ハイランダーモブC「捕らえろー!」
レイサ「なな、何ですかぁ!?」
カズサ「どうもこうも私らはお尋ね者って事でしょ!」
イオリ「くそっ!ハイランダーにもヴァーディクターズが紛れ込んでいたのか!」
チナツ「今までそんな素振りを見せてこなかったのにどうして!?」
イオリ「あっちも先生側の戦力を削ろうと躍起になってるんだろ!」
レイサ「列車という狭い空間で戦うんですか!?」
カズサ「なら戦わずに捕まれって言うの?」
イオリ「そんな事、絶対にしないぞ!」
???『ご乗車中の皆様へ、お詫び申し上げます。只今より2番車で大規模な清掃を開始いたします。その影響で列車に大きな揺れが発生する可能性がございます。ですが、直に収まりますので安心してお待ちいただけると幸いです』
イオリ「くそっ…嘗められたアナウンスだ!」
ハイランダーモブA「おらぁ!検挙の時間じゃあ!」
カズサ「来るよ!」
イオリ「備えろ!」
チナツ・レイサ「「はいっ!」」
ハ
イランダーモブA「そんな…馬鹿な…」(バタリ
イオリ「フーッ…伊達に列車での事件に巻き込まれて無いっての」
レイサ「前に列車で戦った事があるんですか?」
イオリ「あ、ああ…まあ、な…」(トオイメ…
レイサ「(マズい事を聞いちゃいましたか…?)」
カズサ「(絶対聞いちゃマズい奴だ)」
チナツ「こ、コホン。ともかくこの乗務員達を捕縛しましょう」
イオリ「そうだな…」
???『ご乗車中の皆様へ、重ねてお詫び申し上げます。現在、2番車での清掃が滞っております。故に更なる衝撃と振動が発生しますので、乗客の皆様は手摺りや吊り革、シートベルトを付ける事を推奨いたします。それでは暫くの間、ご辛抱の程よろしくお願いします』
レイサ「何ですかこのアナウンス?」
カズサ「援軍が来るって事?」
カチャッ!
イオリ「っ!?チナツ危ない!」(バッ!
ダァン!
チナツ「きゃっ!?」
レイサ「イオリさん!」
イオリ「このっ!」(ダァンッ!
パリンッ!
???「やれやれ…とんだ厄介客が乗り込んだものです」(ガララッ!
レイサ「………」
カズサ「ちょっと宇沢!どうし…」
イオリ「お、おい二人ともどうしたんだ!」
レイサ「…ハッ!?つ、つい見惚れてしまいました…あの人が滅茶苦茶綺麗で…」
カズサ「(くぅ…見た感じほぼスッピンであの肌の白さと瞳の輝き…羨ましい!)」
イオリ「敵に見惚れるなんて………って見惚れてない!私は見惚れてないからな!」
チナツ「………コホン!その声、ずっとアナウンスをしていた人ですね!」(バッ!
???「はい。ボクはハイランダー鉄道学園2年生の管理監督官『松風オキナ』と言います」
レイサ「松風オキナ…さん?」
オキナ「そしてそこにいるのは銀鏡イオリさん………『例の件』の時は色々とお世話になりましたね」
イオリ「ぐっ……(こうも立て続けに電車でのトラブルに巻き込まれるなんて…私と電車の相性は最悪なのか?)」
オキナ「この度はハイランダー…いや…ヴァーディクターズが製造した客車、『カギカゼ』へのご乗車、ありがとうございます」(ペコリ
カズサ「…ヴァーディクターズはハイランダーの客車まで製造していたのね」
オキナ「はい。天降サン様から私達の学園に対して沢山の車両を寄付していただきました。そのおかげでブラックリストに登録されている乗客のみこの専用の客車に乗せる事ができるようになりました」
イオリ「ちっ…」
チナツ「乗せられた乗客は客車内で取り押さえられ、矯正局に連れていかれる…そういう事ですね」
オキナ「ええ。その通りでございます」
カズサ「で、何であたし達がブラックリストに登録されてるのよ」
オキナ「貴女方は表立ってサン様に楯をついている叛逆者…リスト入りしてない方がおかしいでしょう」
レイサ「うっ…」
オキナ「さて、おしゃべりはこれくらいにしてそろそろ始めましょうか」
イオリ「たった一人で私達に勝てるとでも?」(チャキッ!
オキナ「ええ。準備はすでに整っておりますので」(パチンッ!
カズサ「何?今の指鳴らし」
ブブブブブブブブブブ……
レイサ「?………皆さん!外!」
チナツ「なっ!?」
カズサ「複数のタレットドローン!?」
オキナ「狩れ」(スッ…
イオリ「皆伏せろーっ!?」
パリパリパリパリパリパリパリパリパリパリパリパリパリン!!!
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!
レイサ「うひゃああああああああ!?」
カズサ「電車の速度について来れるドローンなんてズルでしょお!?」
イオリ「このぉ!」(ダァンッ!
オキナ「…」(ダァンッ!
ガァン!
チナツ「弾丸を撃ち落とした!?」
オキナ「いけませんねぇ…こちらの備品を壊すのは」
レイサ「現在進行形で客車を壊しているじゃないですかぁ!?(チュインッ!)わひゃあ!?」
オキナ「PLドローン!」
ブブブブブブブブブブ!
カズサ「(?何あの等間隔で突っ込んでくる二つのドローン…)!」(ダダダダダッ!
カキンカキンカキンカキン!
カズサ「堅い!?」
レイサ「はっ!杏山カズサ!」(ガバッ!
カズサ「わわ!?一体何!?」
イオリ「!?あぶっ!?」(ダァンッダァンッダァンッ!
チュインッ!
チナツ「あれはピアノ線!?堅牢なドローンにピアノ線を張って突撃させるなんて!?」
オキナ「よそ見してる暇は無いですよ?」(ダッ!
レイサ「速い!?」
カズサ「はあ!」
イオリ「らぁ!」
ガキンッ!
オキナ「反応速度が良いですね」(ググッ!
カズサ「思っていたよりインファイターなのね!」
イオリ「だがここまで近づいたらドローンは撃てないだろう!」
オキナ「(そろそろ…)」
キキキーッ!!!
カズサ「うわっと!?」
チナツ「ここでカーブでのブレーキ!?」
オキナ「今!」(バッ!
カズサ「(しまった!一瞬で距離を取られた!)」
ダガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!
イオリ「がぁ!?」(ヂュン!
レイサ「わぁ!?」(バヂュン!
カズサ「うぐっ!?」(ヂュン!
チナツ「皆さん!」
オキナ「ボクの頭の中には全ての路線図が入っています。そしてどのタイミングで列車がブレーキを踏むか、速度を上げるかも全部わかっています。つまり列車での戦いは…常にボクの独壇場という事なんです。どうでしょう?ここで降伏しておいた方が身のためですよ?」
イオリ「かもな…だが…」
カズサ「生憎とこっちもむざむざとやられる訳にはいかないのよ!」
レイサ「その通りです!イオリさんに杏山カズサ!」
チナツ「そういう事です…存分に抵抗させてもらいます!」
オキナ「仕方がありませんね。ですが逆境に抗うその気骨と精神には敬意を表します。それでは…特別客車『カギカゼ』による『ハイランダーの白い狩人』の特別狩猟ツアーを存分にご堪能下さい」