「2025年 日本国際博覧会(略称:大阪・関西万博)」の開催も終盤を迎えている。英国パビリオンでは、リバティの美しいテキスタイルアーカイブに焦点を当てた特別展「I AM. WE ARE. LIBERTY.」を8月30日(土)〜9月12日(金)まで開催中だ。約6万点のオリジナルアートワーク、テキスタイルデザイン、貴重なパターンの中から厳選された300点以上の作品とリバティのデザイン資料の数々を見ることができる。
見どころは、色鮮やかで遊び心に満ちた美しいテキスタイルの数々。本展は、2025年夏にロンドンのリージェント・ストリート本店で先行開催されたものの巡回展であり、国内外から多くの注目を集めた。長年リバティを研究している美術史家のエスター・コーエンとシルヴィア・スパニョールが共同でキュレーションを行っている。
150年にわたるリバティの歴史
1875年、アーサー・ラセンビィ・リバティによってロンドンに開店したリバティ。オープン当初から、ロンドンで最もスタイリッシュな店の一つとして名を馳せ、輸入品や生地、ショールなどを販売していた。その後、アーツ&クラフツ運動に大きな影響を与える存在となる。本展は3つのテーマに区分され、リバティによる芸術・文化・デザインの歩みを辿っていく。
1.GENESIS(起源):リバティの世界観に触れて
展覧会は、1つ目のテーマ「GENESIS(起源)」からスタート。ここでは、様々な文化や古典、アンティークにインスパイアされたデザイン群を展示。日本、エジプト、ローマ、ギリシャ、ペイズリー模様など、グローバルな世界観が特徴だ。
また、ショーケースの中には、貴重な写真や資料が多数ディスプレイされており、1965年にイヴ・サンローランがリバティの生地を使ってデザインしたガウンのデザイン画も展示されている。
2.NATURE(自然):馴染みの人気モチーフが盛りだくさん
リバティのテキスタイルを語る上で外せないのが、自然のモチーフ。中でも、19世紀末のアール・ヌーヴォーから、1930年代のノスタルジックな花柄など、今もなお愛され続けている緻密で多様な抽象模様は見応えたっぷりだ。
ウィリアム・モリス・ギャラリーから貸与されたタイルも展示
イギリスを代表する芸術家で、アーツ&クラフツ運動の主導者としても知られるウィリアム・モリスとアーサー・ラセンビィ・リバティの結びつきは大きい。同年代にそれぞれの会社を立ち上げ、経営者として、芸術を愛する者として良きライバル関係にあった両者。モリスが手がけたパターンはリバティでも多数展開された。本展では、イギリス・ロンドンにあるウィリアム・モリス・ギャラリーに収蔵されている貴重なタイルの数々もディスプレイ。
3.PEOPLE(人々):デヴィッド・ボウイが着用したスーツの生地デザインも展示
3つ目のテーマ「PEOPLE」では、リバティのムーブメントを形づくった知識人、芸術家、デザイナーたちを讃えている。たとえば、デヴィッド・ボウイはリバティの生地で作られた衣装を数多く着用していた。1972年に発表された「ジギー・スターダスト」のアルバムジャケットでは、ボウイはリバティのモノトーンの抽象パターンをセットアップに仕立て着用。この貴重なテキスタイルのモダンさも必見だ。
また、1968年にリバティで最も影響力のあるデザインディレクターの一人、バーナード・ネヴィルが手がけた「Prospect Road」も展示。生き生きとしたデザインと大胆かつ鮮やかな色使いは今見ても新鮮。
展示の鑑賞を終えたら、1Fにあるギフトショップにもぜひ足を運んでみてほしい。ここでは、リバティと京都・丹後ちりめんの名門「丸仙」のコラボレーションによって誕生した「150周年記念 限定風呂敷コレクション」を販売中。リバティを象徴するアート性の高いプリントに、丸仙が誇る丹後縮緬の上質な風合いを融合した逸品だ。万博を訪れた記念として、ぜひチェックを。
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大阪・関西万博
会期/4月13日(日)〜10月13日(月)
https://www.expo2025.or.jp/
リバティ150 周年記念特別展「I AM. WE ARE. LIBERTY.」
会期/8月30日(土)〜9月12日(金)
展示会場/英国パビリオン
入場/無料(予約不要、先着順)
https://www.ukatexpo2025.uk/