第35期竜王戦の本戦3回戦、稲葉陽八段と伊藤匠五段の対局が15日、関西将棋会館で始まった。若手実力者相手に2連勝して勢いに乗る伊藤五段とランキング戦1組5位の稲葉八段。準々決勝に進出するのはどちらの棋士か?
先に対局室に姿を現したのは稲葉八段。記録係が駒を磨いている最中の早い到着だった
着座して集中を高める
腕を組んだり、お茶を飲んだり。静かに伊藤五段の到着を待つ
伊藤五段も入室。稲葉八段にちらりと目を向けた
ランキング戦1組の壁を乗り越えることができるか
稲葉八段が駒を取り出し
静かに駒並べが進んだ
居飛車党で攻防のバランスが取れた棋風の稲葉八段。2021年1月に結婚し、順位戦でA級復帰を決めるなど昇り調子だ
対する伊藤五段は藤井竜王と同学年の19歳。昨年度は勝率8割1分8厘で、勝率一位賞を受賞した
先後を決める振りごま
先手は伊藤五段に決まった
定刻の午前10時、両者一礼
戦いの始まりだ
昼食休憩の盤面
対局開始から両者ほぼ時間を使わず進んだが、38手目、稲葉八段が△8八歩と打ったところで伊藤五段が大長考に入った
昼食は稲葉八段が「肉なん定食」(やまがそば)、伊藤五段が「珍豚美人(チントンシャン)」(イレブン)
先に対局室に戻ったのは伊藤五段
時折、うずくまるように丸くなり、前髪を指でくるくるとねじったり、扇子を開閉させながら目を閉じる
続いて対局室に戻ってきた稲葉八段
ばさっと音を立てて、ジャケットをはおり
長考する伊藤五段と対峙した
稲葉八段の消費時間は午前中はわずか1分。研究通り進んでいるのか
記録係も入り、午後の対局が再開される
好調同士の一戦。午後の戦いでペースを握るのはどちらの棋士か
夕食は、稲葉八段が「珍豚美人Cセット(ごはん、カップスープ)」(レストランイレブン)、伊藤五段が「肉なんばうどん」(やまがそば)
夕食休憩中の盤面。50手までの稲葉八段の消費時間はわずか1分。深い研究がうかがわれる戦いで、伊藤五段は受けに回る展開に
伊藤五段は夕食を早めに切り上げ、対局室に戻ってきた
厳しい展開に打開策を探る
別室で少し横になって体を休めていた稲葉八段。再開5分前に対局室へ
伊藤五段が席を外すと、鋭い目で盤を見つめた
緊迫した空気が漂う対局室
決戦を前に、両者ぐいと身を乗り出し、思考に沈んだ
終局直後の対局室
準々決勝進出を決めたのは稲葉八段。中盤から着実にリードを広げ、勝ち切った
50手までほぼノータイムで指し進めたことについては研究の範囲だったが「それで良いとは思っていなかった」という
悔しさをかみ殺し、感想戦に臨んだ伊藤五段
ランキング戦6組から続いた、長い長い竜王戦ドリームの道は、1組の高い壁に阻まれた