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戦禍を生き抜く アゾフの戦士を待つ家族:読売新聞
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戦禍を生き抜く

アゾフの戦士を待つ家族

読売新聞オンライン
制作・著作 読売新聞

結婚後会えぬ夫 生死不明 ナタリア・ザレツカさん(36)

 夫のボフダン・セメネツさん(31)は、南東部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所で、ロシア軍に最後まで抵抗した武装組織「アゾフ大隊」の兵士だ。

ナタリア・ザレツカさん(8月5日、キーウで)

 4年前に友人の紹介で知り合った。大隊の拠点があるマリウポリと、ザレツカさんが住むキーウとの遠距離恋愛だったが、厳しい訓練に耐える力強さと、英語やドイツ語が得意な知性に、「男の中の男」とほれこんだ。2人が最後に会ったのは2月14日のバレンタインデー。その10日後、露軍の侵略が始まった。

 激戦地となったマリウポリは4月、壊滅状態となり、製鉄所も露軍に包囲された。2人は4月17日、マリウポリとキーウをビデオ通話でつないで結婚式を挙げた。
 5月中旬、製鉄所は陥落した。7月29日には東部ドネツク州オレニウカの収容所が攻撃され、大隊の捕虜ら50人以上が死亡した。夫の生死は不明のままだ。

アゾフスタリ製鉄所でロシア軍に抵抗を続け、捕虜になった夫を思う妻のナタリア・ザレツカさん

 「夫をこの手で抱きしめられないのはとてもつらい。でも、泣いている暇はない。アゾフの戦士の妻は、強くなければならないのです」
 ザレツカさんは、大隊の捕虜解放を求める活動を続ける。夫がくれた護身用ナイフを常に持ち歩き、その笑顔を思い浮かべながら。
写真・冨田大介、文・工藤彩香(2022年8月25日公開)

「夫の運命はわからないが、泣いたりはしない。アゾフ大隊の妻は強くなければならないから」

ナタリア・ザレツカさん

 8月4日、ウクライナの首都キーウで、南東部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所でロシア軍に抵抗を続け、捕虜になったウクライナ兵士らの解放を求める集会が行われた

捕虜になったウクライナ兵士らの解放を求める家族や市民ら(8月4日、キーウで)

7月下旬にはドネツク州オレニウカの拘置施設が攻撃を受け、多数の死傷者を出している。涙を流す人も見られた

集会には子どもたちの姿も見られた

集会で涙を流す参加者

集会にウクライナ国旗をまとって声を上げる参加者

同じく捕虜となった家族を待つ人たちがいる

アゾフスタリ製鉄所でロシア軍に抵抗を続け、捕虜になった息子を思う父親のエブヘニ・スハルニコフさん(46)。息子が小さい頃、よく一緒に遊びに来た公園を歩いた(8月5日、キーウで)

よく一緒に乗った公園の中を走る列車に乗って車窓を眺めた。「息子は周りによく気を使うやさしい子だった。あんなにやさしい子に育てなければ、国民を守るために前線に行くことはなかったかもしれない」と涙を流した

アゾフスタリ製鉄所でロシア軍に抵抗を続け、捕虜になった息子を思うタチアナさん(43)(8月5日、キーウで)

「息子は祖国のために死ぬ覚悟ができていると言った。彼は強いが、彼の命は彼一人では守れない」と、連絡の取れなくなった息子を心配している

【撮影】読売新聞写真部・冨田大介
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