Google Classroom + Google Hangouts Meet を使ったリモート講義のテストのまとめ 2020.04.09 東北大学 大学院情報科学研究科 伊藤康一 青木・伊藤(康)研究室 学生有志
目次 準備したこと テスト用のGoogle Classroomの立ち上げ 事前説明資料の作成 事前アンケートの作成 Classroomの立ち上げ Classroomは,科目名などの最低限の情報を入力すれば立ち上げることができる.クラスコードが発行されるので,それを学生に通知することでClassroomに参加することができる.
事前説明資料の概要 Meetを使った講義を行うため,Meetにログインしたらビデオとマイクをオフにする 講義資料(4up版)を印刷する 筆記用具を準備する 事前アンケートに回答する
以上をPowerPointのスライドとしてまとめ,PDFに変換したものをClassroomにアップロードするとともに,「ストリーム」に事前説明資料を必ず読むことを指示した. 事前アンケートの概要 各学生の環境をGoogleフォームでアンケートを採った.Classroomの「授業」から「作成」で「質問」を選択する.その後,「+作成」から「フォーム」を選択するとGoogleフォームを作成することができる.アンケートでは,
使用デバイス ネットワーク環境(回線速度) マイクの種類 カメラの種類 スピーカーの種類 を回答させた.学生のうち,1名を講義をサポートするTAとした.学生の環境は以下の通りである.
デバイス ネットワーク 回線速度 カメラ マイク スピーカー 場所 参加登録 TA ノートパソコン Wifi(研究室) 44Mbps デバイス附属 デバイス附属 イヤホン 研究室 事前登録 学生1 デスクトップパソコン 有線(研究室) 200Mbps なし ヘッドセット ヘッドセット 研究室 コード配布 学生2 ノートパソコン Wifi(自宅) 30Mbps デバイス附属 Airpod Airpod 自宅 コード配布 学生3 スマートフォン Wifi(研究室) 170Mbps デバイス附属 イヤホン附属 イヤホン 研究室 コード配布 学生4 タブレット Wifi(自宅) 80Mbps デバイス附属 Airpod Airpod 自宅 コード配布 学生5 ノートパソコン Eduroam 360Mbps デバイス附属 イヤホン附属 イヤホン ゼミ室 事前登録
Meetを使ったリモート講義のテスト Classroomの「授業」から「Googleカレンダー」をクリックすると,Googleカレンダーに飛び,Classroomの共有カレンダーが作られる.ここでHangouts Meetの予定を入力した. 講義で使用する資料(PowerPointスライド)は,印刷用の4up版とディスプレイ表示用の1up版を用意した.印刷できる学生には4up版を,印刷できない学生には1up版を使わせた. PowerPointウィンドウの共有をし,スライドショーで普段と同じような講義を行った.必要に応じてスライドショーのポインタを使った. 質問などについては,Meetのチャットに書かせて,チャットを監視しているTAに回答させた. はじめの30分くらいは音声や画面共有の確認を行い,その後,簡単に講義を行った.講義を行っていた時間は26分くらいで,そのときの通信量は51.3MBであった(PowerPointのスライドショーをウインドウ共有). マイクテスト 以下の2つのマイクを使って音声のテストを行った.
Logicoolの会議システム
少し離れた場所に座っていたTAの学生の声もはっきりと聞こえていた. 発言してからマイクがONになるようで,話しはじめの声が聞こえない場合がある. Let's Note SV の附属マイク
スピーカーテスト 学生側から1人ずつマイクをONにして話をしてもらったが,基本的にはクリアに聞こえた.1人だけ曇ったように聞こえたが,マイクと口との距離が少し遠かったためと思われる.
6人で同時にマイクをONにして会話ができるかを確認したところ,問題なく会話をすることができた.感覚としては,会議室で話をしているくらいである.ただし,同時にマイクをONにした数秒間だけスピーカーから大きめのノイズが聞こえた.おそらくノイズを増幅してしまったためと思われる.すぐに収まったので問題にはならなかった.
画面共有テスト Meetでは,ウインドウ共有と全画面共有の2通りの共有方法がある.ウインド共有では,現在開いているウインドウの1つのみを共有する.全画面共有では,デスクトップ全体を共有する.PowerPointのスライドショーやPDFの全画面表示で講義を行う場合は,ウインドウ共有でよい.PowerPointとPDFを切り替えたり,ブラウザで表示させたりする場合は,全画面共有の方が適している.
PowerPointのスライドは,4:3 と 16:9 のいずれかのアスペクト比で作成する.画面全体が表示されているかを確認した.
4:3の場合
PowerPoint のスライドショーをウインドウ共有した場合に下が少しだけ切れる.全画面共有の場合は問題なかった.(全てで下が少し切れるという報告が1件あり.) PDFの全画面表示のウインドウ共有および全画面共有は問題なかった. 16:9の場合
PowerPointでのフォントサイズについて確認したところ,どの環境においても 24pt 以上で作成すると見やすいということであった.スマートフォンだと 20pt から少しずつ見にくくなるということだった.
学生の感想 Google Classroom への参加について スマホで参加すると3つのアプリ(Classroom, Calendar, Meet)が必要になる.アプリのダウンロードなどに手間取ってしまい,授業に参加するのが遅れました(結局デスクトップから参加しました). メールのリンクをクリックしてコードを入力するだけなので分かりやすかったです. DCメールに送られてきたリンクからClassroomに参加しようとしても,別のアカウントでClassroomに入ろうとしてしまい,分かりにくかった. クラスへの入り方がわからなかったです. あともう一文手順が書いてあったらよかったです. カレンダーからMeetに参加する部分が分かりにくいと感じました.カレンダーで参加を選択する画面がどこかに掲載されているといいと感じました. スマートフォンのアプリをインストールすることを書いた方がいいかもしれません.ブラウザからも参加は可能かもしれませんが,アプリの方が使いやすいかもしれません. ストリームでの事前準備の指示について ストリームに色々投稿されていて,生徒のコメントとかも増えると「参加後の指示」がどこにあるのか分からなくなると思います.「参加後の指示」をストリームの上の方にピン止めした方がいいと思います. 事前準備のスライドにどこをクリックするべきか書いてあった方が分かりやすいと思います Meetへの参加方法が分かりづらかった.ストリームで参加方法の説明があると嬉しい.ただしこれは,スケジュールに反映されていなかったため,分かりづらくなっていた可能性あり. 事前説明資料について 最初は,授業を Meet で視聴するのがよく分からなくて,Classroom から直接視聴できると勘違いをしていました.Classroom → Calendar → Meet (授業の視聴)というのが最初よく分かりませんでした.
Meetへの参加方法が分かりにくかったので,それについても説明(環境毎に)があるとより良いかと思います. Meetに入るまでの手順が分からない人もいると思う(GoogleClassroom→Googleカレンダー→Hangouts Meets) ipadを使用する際は縦画面と横画面があるので、どちらが最適かを指示する必要があると思いました。 事前アンケートについて ネットワーク速度測定についてですが,サイトのリンクを貼っておいてもいいのではないかと思いました クライアント(生徒)側のカメラを使う予定はなさそうなので、項目として不要かと思いました。 Hangounts Meet への接続について リンクの場所が分かればあとは何も問題なく接続できました. ipadで接続していたのですが、スクリーンショットをするときに間違えて電源ボタンのみを押してしまい、何度か電源を落としてしまいました。その度に接続しなおしになったので、少し面倒でした。 自分の問題ですが,ブルートゥースイヤホンから音声が流れませんでした.有線イヤホンを使用すると音声が流れるようになりました. Meetへの接続方法が分からず手間取った.ストリームでのURLの告知があると嬉しい. Meet を使ったオンライン講義のメリットとデメリットについて メリット
パソコンだと講義を聞きながら,分からないこととかをすぐ google などで調べられるのが便利だと思いました. チャットがあるので質問がしやすい 質問が簡単にチャットでできる 先生のスライドをスクリーンショットをできるので、演習以外で板書する必要がほとんどない 座席特有の板書の見え辛さ,聞き取り辛さが無い点.実際に授業を受けている場合よりも音声が聞き取りやすかった. 教室で受ける場合と比べて,声の聴きやすさやスライドの見やすさに優れていた.スライド等を保存しやすい. デメリット
細かいリアクションがしにくい(教員側が「分かる?大丈夫?」などの確認をした際に対面な ら頷いたりなどして反応ができますが,Meetの場合はチャットしかないのでやりにくいと感じました) 先生に対する反応をどうすればいいか困る(わかりましたか?っていうのに対して,チャットで反応するべきか)反応するにしても、多くの人が参加していた場合コメントが埋もれてしまうと思う 意思表示が難しい.授業を受けている者としては,通常の授業と変わらずに受講できました. 通信速度によっては,スライドがカクついて見えることあった.音声が終始聞きとりやすかった.1枚のスライドしか表示されないため,話だけでは,前述の参照がどこを指しているかが分かりづらい点があったこと. スマートフォンでは,講義を受けながらチャットに参加しにくい.友人に相談できない.教員側で生徒の理解度や進捗具合を判断しにくい. その他の意見 ①ポインタやスライドの動きが少し重かった.②先生側のスライドの表示方法を変えたときにGoogleChromeが落ちた.③スライドの表示について,PDFでもパワポでも4:3のスライドは下が切れてしまっていた(ウィンドウ表示でも全画面表示でも).④16:9のスライドはすべての場合で見切れることはなかった. 最後の方にマイクの接続が切れてしまっていました。原因を確認したところ、おそらくアプリケーションにマイク使用の許可が取り消されていました。マイク自体は正常でした。今回Google classroomのアプリケーションを使用しており、Meetの接続開始に許可を出した場合、使用しないでしばらくすると許可が取り下げられる可能性があります。初期設定として、常に許可できるかどうかを調べています。 授業への入り方を明確に指示していただければ,授業へ遅れることがなかったかなと思います. 他人の入退室時に出てくるバナーが邪魔に感じました(設定の問題?) 人数が多い場合にチャットが流れてしまって、対応が難しくなる可能性があると感じました. ipad環境のマイク使用ですが,Meetに参加するときに常に許可としていたみたいでした.ただ,アプリケーションを再起動してMeetに参加してもマイクが使用できなかったので,原因不明です.Airpodsの接続の問題かと思い,ipad内蔵マイクでも試しましたが解決しませんでした.直後に別のアプリケーションでマイクテストを行いましたがマイク側には問題ありませんでした. まとめ 問題点 Classroom の左上の「≡」からアクセスできるカレンダーは「授業」の課題の締め切りなどのみが掲載される.Hangouts Meet が掲載されるClassroomの共有カレンダーは,「授業」の上部にある「Googleカレンダー」を一度クリックして共有カレンダーがインポートされてはじめて利用できる.2つのカレンダーの違いがわからなかったため,Meetへの参加方法がわからない学生がいた. 「授業」の「+作成」の「質問」からGoogleフォームでアンケートを作成して回答してもらったが,Google ClassroomとGoogleフォームが連携されていないので,フォームで回答してもClassroomで提出済みにならない. Meetで講義をしているときに,チャットで質問されても対応が難しい.TAなどの監視役が必要となる. Meetには同じアカウントで複数のデバイスから参加できるため,Meetの参加人数で出席人数とすることができない.出席を取る場合は,講義の後にClassroomにて簡単な課題をといてもらうのがよさそう. あらかじめ準備すべきこと テストをした教員側の感想 Classroomを講義の掲示板と資料置き場として使い,MeetでPowerPointスライドによる講義を行うのは,問題なかった.ただ,学生からの反応がないため,1人で話し続けているだけでペース配分がわかりづらかった.おそらく全体的に速度が速くなってしまうので,ゆっくりめを心がけた方がよい.TAの学生がいれば,チャットの様子を聞きながら行うといいかもしれない. Classroomに参加したら事前説明資料を読むようにと指示をして,学生があまり迷わずに参加できたようである.ただし,不十分なところがあったため,毎回の講義で学生からフィードバックを得た方がよさそうである.例えば,講義後に課題を解かせるだけではなく,感想なども書いてもらえば,次回にフィードバックできる. 通信量は,PowerPointのスライドと音声の場合に90分で150MBくらいになる.思ったよりは少なかった.