【6月26日 AFP】米国のロバート・F・ケネディ・ジュニア厚生長官によって任命された疾病対策センター(CDC)の予防接種実施諮問委員会(ACIP)は25日、初会合を開き、小児の予防接種スケジュールを再検討し、反ワクチン派が長年支持してきたテーマを推進する考えを表明した。

ワクチンに関する誤情報を数十年広めてきたケネディ氏は、ドナルド・トランプ政権の厚生長官に就任。

今月に入り、バイデン前政権下で任命されたACIP委員には利益相反があると非難した上で、委員17人全員を突然解任し、新たに8人を任命した。この中には、新型コロナウイルスの感染拡大期に虚偽の主張を広めたことで知られる科学者のロバート・マローン氏も含まれている。

委員長に就任したマーティン・クルドルフ氏は、2020年10月、新型コロナウイルスワクチンが承認間近であることが分かっていた時期にロックダウン(都市封鎖)の終了を求めた政策提言「グレートバリントン宣言」の執筆者の一人でもある。

クルドルフ氏は会合の冒頭で、小児のワクチン接種スケジュールを再検討するための新しい作業部会を発表。ワクチン同士の潜在的な累積効果や、「出生時」のB型肝炎ワクチン接種の推奨についても疑問を呈した。

専門家らは、この発表に懐疑的な反応を示している。

26日には、妊娠中にRSV(呼吸器合胞体ウイルス)ワクチンを受けなかった母親の乳児に対して、新たに承認された抗体製剤の注射を推奨するかどうかを投票で決定する。

議題には、チメロサール(エチル水銀系の保存剤)に関する長年の議論を再検討する計画も挙げられている。

ケネディ氏がかつて代表を務めた反ワクチン団体の元指導者の看護師は、26日にチメロサールについてプレゼンを行う予定だったが、事前に公開されたスライドには、「新生児期における低レベルのチメロサールへの曝露:脳への長期的な影響」と題した2008年のRF・バーマン氏の論文が引用されていることが分かった。このような論文は存在しない。

バーマン氏は同年、確かに論文を発表しているが、別の学術誌に掲載されたもので、チメロサールと自閉症との関連は認められなかったとしていた。

プレゼン内容は、説明もなく、いつの間にか修正されている。

ACIPは、まれに発生する副作用を精査する一方で、麻疹(はしか)ワクチンが公衆衛生にもたらす多大なメリットについての議論は予定していない。ワクチンには、数百万人の入院を未然に防ぐというメリットも含まれる。

2000年に麻疹の根絶を宣言した米国では、ここ数十年で最悪の流行が広がっており、今年に入ってからは1200人以上の感染と、3人の死亡が確認されている。

ACIPの勧告は、全米の学校の入学要件や保険適用範囲を左右するなど、広範な影響を及ぼす可能性がある。(c)AFP